ロシアのプーチン大統領の長女、マリヤ氏が非営利団体のインタビューに応じ、「最も価値あるものは人の命」などと述べ、注目を集めている。

プーチン大統領の長女がメディアに登場

プーチン氏の長女マリヤ・ボロンツォワ氏(38)は、小児内分泌学者で、モスクワ大学基礎医学部の副学部長を務めている。

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インタビューの中でマリヤ氏は、専門分野である遺伝子研究がロシアの経済に与える影響について問われ、「ロシアは経済ではなく人間を中心とした社会」と述べたうえで、「最も価値があるのは人間の命だ」とコメントした。

プーチン大統領の家族がメディアに出るのは珍しく、2023年12月にSNSで公開されたこの映像は、22万回以上再生されている。

プーチン大統領の私生活は、これまであまり表に出てきていない印象だった。突然長女がインタビューに出てきて、海外メディアも驚きを持って取り上げている。

今回、インタビューに答えた長女のマリヤさんは現在38歳で、プーチン大統領と2013年に離婚した、元妻のリュドミラさんとの間に出来た子供だ。

リュドミラさんとの間にはもう1人、カテリーナさんという娘がいる。プーチン大統領は離婚後、2004年のアテネ五輪のメダリストのカバエワさんと愛人関係にあり、カバエワさんとの間にも複数の子供がいると報じられている。

ウクライナ戦争が始まる前の2021年に、ロシアのサンクトペテルブルグで行われたユーラシア女性フォーラムの映像にも、マリヤさんの姿が捉えられている。当時のマリヤさんはまだ30代半ばだが、非常に貫禄があり、表情もプーチン大統領を少し彷彿とさせる印象がある。

マリヤさんはモスクワ大学で基礎医学部の副学部長になっている。

そして、次女のカテリーナさんは、ウクライナ侵攻後にロシアの輸入関連団体のトップに就任し、オンライン会議などに出席している。

いずれも若くして要職に就いていて、父・プーチン大統領の影響があるのではと考えられる。

アメリカ政府は「プーチン大統領が家族を利用して資産を隠している」として、マリヤさんとカテリーナさんの2人も経済制裁の対象にし、重要なターゲットとみている。

各国のウクライナ支援の足並み乱す狙いか

今回、その長女が突然インタビューに出てきて「命の大切さ」を訴えている。その狙いはどこにあるのだろうか。

ロシア側は、今占領しているウクライナの領土を維持したままの停戦案をちらつかせているようだが、今回、娘のマリヤさんが「命が大切」と呼びかけることで、現時点で徹底抗戦を訴えるゼレンスキー大統領を和平に応じない人物と印象付けられる。

また、各国のウクライナ支援の足並みの乱れを加速させようとしているのではと思われる。

長女の発言は、どこに向けてのメッセージなのだろうか。

弁護士の橋下徹氏は、長女の発言はグローバルサウス向けのメッセージとも考えられると指摘する。

「西側諸国から見るとプーチン大統領は国際法秩序を踏みにじる侵略者だが、グローバルサウス側から見ると、そういう見方ではない国々もある。そのため、娘のいる父親像というものを見せながら、人間性なども出して、娘を使って『人の命が大切だ』と、プーチン大統領がグローバルサウス側の方にメッセージを投げていると思われる。グローバルサウス側から見れば、一つの父親像ということで共感を得る国もあるのではないか」

スーツ姿で歩くプーチン大統領
スーツ姿で歩くプーチン大統領

侵攻が長期化している中、次はどんな展開が今後考えられるのだろうか。
グローバルサウス側から、停戦などの和平交渉を進めるべきではないかと、水面下でそういう話し合いが行われているという報道もあるという。
(「イット!」 1月15日放送より)

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