2023年12月、産業用ロボットのアイデアを競う『ロボットアイデア甲子園』の全国大会に出場した熊本高専の女子学生が見事日本一に輝いた。女子学生のロボットへの思いとは。

ラーメンが大好きな高校生・鍋島さん

自家製麺にとんこつとは思えない澄んだスープが特徴の熊本市中央区にある『天和ラーメン』。この店を訪れたのは、熊本高専3年の鍋島優羽さん(18)だ。

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熊本高専3年 鍋島優羽さん:
父がラーメン大好きでよく一緒に行っていたけど、それがきっかけで高校生になってからも1人でとか友達とラーメンに行くようになった

週に1、2回は 店に食べに行くほどラーメンが大好きな高校生だ。熊本市の繁華街にあるラーメン店はほとんど制覇したという。

鍋島優羽さん:
おいしいです。率直に『おいしいっ』てなるのが、食べ物として一番好きなのでラーメンを食べるとテスト終わって疲れた時とかでも元気になるのでよく行く

ラーメンのロボットで全国1位に輝く

そんなラーメン好きな鍋島さんは2023年12月、東京で行われた産業用ロボットのアイデアを競う『ロボットアイデア甲子園』の全国大会に出場。
ラーメンに関わるロボットを提案し見事、全国1位に輝いた。

この大会はロボットシステムを作る企業の団体が主催したもので、地区大会を勝ち抜いた25人がプレゼンテーションで競った。

鍋島さんが考えたのは、いつでもどこでも屋台でおいしいラーメンを作ってくれる『ラーメンロボット 大将』。

鍋島優羽さん:
カップ麺ではない本場のラーメンを楽しんでほしい。ラーメンロボット大将は日本ではなく海外でラーメンを提供するためのロボットです。注文が入ると自動でコンベアに器がセットされます。と同時に大将が『てぼ』を使って器用に麺をゆで始めました

注文はアプリを通して行い、文化や宗教に対応したオーダーも可能で海外進出も視野に入れている。

鍋島優羽さん:
湯切りに十分なスピードですし、このようなダイナミックな湯切りは見る人の心をわしづかみにすることでしょう

独創性や社会的課題の解決になっているのか、実現の可能性や市場ニーズなどの項目で審査され、鍋島さんは高い評価を得て、頂点に立った。
このアイデアは、2023年の夏にタイ人の留学生がインスタントのラーメンしか知らないことに衝撃を受け思いついたものだ。

教授やクラスメートも太鼓判を押す

鍋島さんは熊本高専熊本キャンパスのロボット工学を幅広く学ぶ『制御情報システム工学科』に在籍している。ロボットアイデア甲子園の担当をした柴里教授は鍋島さんのアイデアについて次のように話す。

熊本高専熊本キャンパス制御情報システム工学科 柴里弘毅教授:
面白いと思った。素直に面白かった。彼女がゼロから生み出したアイデアでロボットだけにとどまらずにそれを文化につなげているのがとても面白かった。
とてもまじめで何事にも一生懸命。ロボットの技術者として活躍できる人材になって育ってほしい

クラスメート:
革新的なアイデアと思う。彼女と地区大会に出たけど彼女のアイデアは市場的、技術的に見ても バランスが取れていて素晴らしいアイデアだと思う。
日頃からよく考えて行動する人。勉強する時もそれ以外の時も周りを盛り上げる。よくアイデアが湧き上がってくる

男子部員に囲まれロボコン部でも活躍

2年生からロボコン部にも所属。女子部員の人数は40人中6人、そのうち3年生では1人。

主な活動は全国の高専生が課題に応じたロボット技術を競うコンテストに出場するためにロボットを作ることだ。
アイデアだけのロボットとは違い、機械設計やプログラミングなどとチームでそれぞれ役割分担をして一つのロボットを作り上げる。

鍋島さんたちが製作したのが、障害物を乗り越えながら高いところにあるフルーツを収穫するロボット「韋駄天ダッシュ!!」だ。

鍋島優羽さん:
私が担当したのは足回り。タイヤが上下して段差とかを乗り越えてくぐったりとか、上下する機構によって安定してボコボコ道とかを越えていくことができる。
心が熱くなるというかロボコン部のみんなが肩組んで喜ぶとそれは共感できるところ。

熊本地震の経験をきっかけに…

そもそも鍋島さんがエンジニアを目指すきっかけとなったのは、小学4年生の時に経験した熊本地震だ。

鍋島優羽さん:
目をつむりたくなるような被災の様子を毎日見て、自分にできることはなんだろうと考えた時に得意だったものづくりを人命救助にいかせたらいいなと

元日に襲った能登半島地震にも心を痛めている。

鍋島優羽さん:
熊本地震を思いだすし、だからこそ早く大人になりたい。早く人命救助ロボットを作りたいという気持ちが焦る。
危険な被災地でも人にリスクなく救助活動ができる点でロボットに任せられるとメリットはあると思っている。
人を助け笑顔にするロボットエンジニアになりたいと、これは自分の信念として今後も持って初心を忘れることなく頑張っていきたいなと思っている

(テレビ熊本)

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