元日を襲った能登半島地震から8日で1週間となった。現地では、7日夜から雪が降り積もるなど、寒さが一層厳しさを増すなか、安否不明者の捜索が懸命に続けられている。

石川・穴水町由比ヶ丘では7日、家族と親族10人が安否不明になっている寺本直之さん(52)が、祈るような思いで捜索の様子を見守っていた。

地震発生後のメッセージは「既読なし」…家族10人が安否不明に

雪が降り積もる穴水町由比ヶ丘の捜索現場。この地区では土砂崩れで家屋が倒壊し、多くの住民が下敷きになった。

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正月に集まっていた家族や親族、合わせて10人の安否が分からなくなった寺本直之さん(52)。寺本さんは、妻と子供4人の6人家族で、毎年正月には穴水町の妻の実家に集まるのが恒例だったという。

寺本直之さん:
1日、年を越えてすぐに起こったこの地震で、(家族)全員いませんって。だったら、今までおった人が次の日にはいないと思ったら苦しいでしょう。なんか信じられんというよりも考えたくないっていうか。

2024年の元日実家にいたのは、寺本さんの妻と子供たちに、妻の両親ら親族を加えた10人。寺本さんは、仕事のため遅れて向かっていたところで地震が起きた。

寺本さん:
(地震発生の前)「今年もよろしく」と私は送って、あっち(次男)から「あけましておめでとうございます」って来たんです。震災後にLINEしたんですけど、既読がつかない。

寺本さんは妻や子供たちにメッセージを送ったが、既読がつくことはなかった。家族と親族10人の捜索現場では、7日、妻の両親と次男の駿希さんが遺体で発見された。

「何でこんなことに…」10人全員の死亡を確認

寺本さんは、その後も祈るような思いで捜索の様子を見守っていた。

寺本さん:
最後の最後まで私は諦めたくないなっていう気持ちはあるんです。だって1日、一緒に本当はここに帰ってきて、みんなで11人で正月を迎えたかったんですよ。

三男の京弥さんは19歳。本来なら7日に成人式に出席する予定だった。長女の美緒寧さんは中学3年生で今年高校受験を控えていた。そして、次男の駿希さんは2023年4月から東京の日本料理店で働き始めたばかりだったという。

寺本さん:
1年間ずっと修行しながらっていうか、働きながら「おせち持ってくるよ」って。

息子が作ったおせちを食べながら、家族そろって迎えるはずだった正月。しかし、7日の捜索開始から約7時間後、寺本さんが身元確認のため呼ばれた。

身元確認の結果、見つかったのは、寺本さんの2人の子どもと親族、合わせて5人の遺体だった。

寺本さん:
何なんですかこれ。何で私がこんなことにならなきゃいけないのかなって。それも1日違いで、生と死の境界線って何なんですかねって思って。

そして7日午後6時半ごろ、土砂の下から、安否不明者が発見されたものとみられる。寺本さんによると、妻の弘美さん、長男の琉聖さんとみられる遺体が発見され、家族と親族合わせて10人全員の死亡が確認されたという。
(「イット!」 1月8日放送より)

<フジネットワーク サザエさん募金>能登半島地震救援

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