2024年の元日に、石川県の能登地方で発生した最大震度7を観測した地震。一時、福岡県の日本海沿岸にも津波注意報が発表された。福岡の地震や津波のリスクは?

2011年以来の大津波警報…福岡にも避難指示

石川県内では多くの建物が倒壊し、これまでに死者・安否不明者、あわせて300人以上が発表されている(※1月5日午後0時現在)。

地震翌日の1月2日、石川県の小松空港から福岡空港に到着した人に地震発生当時の状況を聞くと「揺れはすごかった。(石川県)小松出身ですけど、今まであそこまでひどい地震はなかった」や「余震で夜は、ずっと揺れてた感じ」など、それぞれに恐怖や不安を口にしていた。

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元日に福岡に戻る予定だったものの、地震の発生を受けて小松空港のロビーで一夜を過ごした男性は、「津波警報が解除されるまでは空港にいるということだったが、それで結局、最終的に駄目だった。空港内で航空会社の人たちがいろいろ手を回してくれたんで、それで何とか一夜を過ごすことができました」と語った。

2016年の熊本地震も経験した女性もいた。

福岡空港到着客(熊本地震を経験した女性):
私、熊本なんです。だから震度5でもちょっと怖かったです。机の下にもぐり込んだ

今回の地震では、2011年の東日本大震災以来となる大津波警報が発表された。

石川・輪島市で1メートル20cm以上、金沢市でも90cmの津波を観測。日本海に面した福岡・古賀市の一部と玄海原発がある佐賀・玄海町の全域にも一時、避難指示が出された。

南海トラフ地震 福岡県も津波のリスク

突然、身に降りかかる自然災害。実は、福岡でも短時間で、高い津波に飲み込まれるおそれがあることは広く知られていない。今後、30年以内に太平洋側を震源に70%~80%以内の確率で起きるとされる「南海トラフ地震」。

国の想定では、周防灘沿いにある福岡県の6つの市や町にも最大4メートルの津波が到達する可能性があるのだ。

3年前の2021年、当時、九州大学の准教授だった杉本めぐみ氏(現大阪大学准教授・防災教育、災害リスクマネジメントが専門)は、取材に対し、「太平洋側」だけでなく、短時間で押し寄せる「日本海側」の津波にも警鐘を鳴らしていた。

「日本海側」の津波想定
「日本海側」の津波想定

福岡県内では8つの断層が確認されているが、この中で、杉本准教授が特に注目していたのが玄界灘から朝倉市に至る「西山断層帯」だ。

九州大学・杉本めぐみ准教授(2021年当時):
国の想定で、西山断層で大きな地震が起きた場合、2分間で4.2メートルの津波が福津市、宗像市、岡垣町まで届くと言われています。さらに深刻なのは、津波が起こる地震というのは30秒以上揺れ続ける可能性が高いので、30秒、身を守るために待っていたら、残りの1分30秒の間にきちんと安全を確保する避難をできるかということにおいて、非常に短い時間でということに対して、私は大変心配しています

生死を分ける2分間。津波から身を守るためにはどうすればいいのか?

九州大学・杉本めぐみ准教授(2021年当時):
4メートルの津波というのは、高さが3階建て以上の建物を見つけておく必要があります。そういったものを事前にどこにあるかということを知っておかなければ、2分の間にそれを見つけてそこに逃げるのは難しいです

福岡県内の8つの断層
福岡県内の8つの断層

今回の地震、能登半島の沿岸部には地震の発生から1分以内に津波が到達している。西山断層に起因する地震では、福津市や宗像市などで地震発生から2分で「4メートル以上」の津波が到達する可能性がある。さらに、地下鉄赤坂駅の西側を通り、福岡市のほぼ中心部を貫く活断層「警固断層」で直下型の地震が発生すると、死者が1,000人以上、約1万8,000棟の建物が全壊、避難者は4万人以上に達すると想定されている。

2005年に最大震度6弱を記録した福岡。大地震は、いつ、再び起きるかわからない。緊急事態に対する日頃からの「備え」と、いざというときの一秒でも早い「行動」が求められる。

(テレビ西日本)

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