2年連続20回目の春高を決めた長崎・大村工業高校には絶対的エースが存在する。アタッカーの土井優太選手だ。1、2年の時には悔しい思いをした土井選手だったが、2024年仲間とともに最後の大会での飛躍を誓う。
仲間も認める“絶対的エース”の存在
2年連続20回目の春高を決めた男子・大村工業。注目は世代別の日本代表にも選ばれた経験を持つ絶対的エース土井優太選手だ。
この記事の画像(15枚)身長184cmの高い打点から放つ力強く、そして重いスパイク打つ長崎・大村工業高校3年の土井優太選手は、バレー界の名門に久しぶりに現れた本格派のアタッカーだ。
大村工業 エース・土井優太選手:
春高など自分のプレーを見て多くの方々に感動を与えられたら自分は一番うれしい。
大村工業 セッター・富永誠心選手(3年):
土井は1年生からずっとエースでやってきているので、3年の最後の集大成ということで今まで以上にチームを引っ張る気持ちやプレー中の迫力は増していると思う。
11月の春高県大会、土井選手は、力強さだけでなく「バレーセンス」もみせた。
スパイクを打つと見せかけ、トスを上げるという「フェイクセット」を見せ、意表を突いたプレーでスタンドを沸かせた。フェイクセットはパリオリンピック出場を決めた男子代表「竜神NIPPON」も武器としている。
大村工業の土井選手は「できるチャンスがあったのでフェイクセットをやったがもう1回春高に向けて自分のプレーを見直してフェイクセットも自分の武器にしたい」と話した。
どんなプレーもそつなくこなす土井選手は、世代別日本代表の経験もある。2022年のU-18アジア大会では守備力の高さも買われスターティングメンバーとして全試合に出場し、日本の大会3連覇に貢献した。
大村工業の朝長孝介監督は「土井選手は日本代表の高橋藍選手を目指していると思うので、ディフェンスのある、そしてジャンプして決定力のある選手を目指してほしい」と話す。(※高橋藍選手の「高」ははしご高)
文武両道の土井選手 過去には屈辱も
制服姿の土井選手はごく普通の高校生だ。大学に進学し高いレベルでバレーを学ぼうと、苦手だという勉強もおろそかにしない。
昼休みも母親の手作り弁当を片手に仲間たちとのバレー談義に花が咲く。弁当のポイントはミニトマトが入っているところだそう。土井選手は、「母が栄養の面で気にかけて作ってくれている」と話す。
大村工業 エース・土井選手:
家族のサポートがなかったらこんなにいい環境で仲間と一緒にバレーができていなかったと思うので、親のサポートがあると助かる
土井選手の高校でのバレー生活は、決して順風満帆だったわけではない。入学後すぐにレギュラーの座をつかんだが、1年生のときは県大会で敗れ全国大会出場はならなかった。
2年生になりWエースの一角として臨んだ春高全国大会。圧倒的な強さで日本一をつかんだ東京都代表の駿台学園を相手に、3回戦でわずかに5得点とエースの役割を果たせず敗戦し屈辱を味わった。当時の土井選手は、「絶対春高に戻ってきて日本一を取れるようにまた一から練習する」と誓っていた。
再び春高へ “土井に全てを託す”
そして1年後。土井選手は一回り成長して春高の舞台に帰ってきた。
大村工業 エース・土井選手:
2022年、2023年の春高ともに3年生を自分のせいで負けさせてしまって本当に悔しい思いをしたし、自分は情けないなとどん底の気持ちも味わった
土井選手はプレーはもちろん、周囲への感謝を忘れない「人間性」の高さも持ち合わせた選手で元日本代表の朝長監督も太鼓判を押すほどだ。「自分が練習している時、ボール拾いをしてくれる仲間に感謝の日本一を届けたい」と口にする。仲間たちも最後の全国大会・春高ではチームとしてエース土井に全てを託すと決めている。
大村工業 セッター・富永選手:
土井選手で勝てなかったらしょうがないと自分は割り切っているので、最後は自分の心からのトスを託したい
大村工業 エース・土井選手:
身長は低いが前衛でも後衛でも全部決めてこのチームを勝たせられるように、リバウンドを取ったりうまいプレーをして、色んな工夫をして決められたらと思う。目標は日本一だが、まずは1回戦をしっかり勝ちきって、どのチームも力があるチームだと思うので1試合1試合勝つたび成長していけたらと思う
大村工業は2012年以来の全国制覇へ。絶対的エースは、最後の大会での飛躍を誓う。初戦は1月4日、山形県代表の山形中央と対戦する。
(テレビ長崎)