自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金疑惑で閣僚が辞任する事態に発展している。こうした中、田中真紀子元外務相が現在の国会議員に物申した。12月8日に開かれた会見の詳報をお伝えする。

11年ぶりの永田町に…「相変わらず澱んでいる」

11年ぶりに永田町の土を踏みました。なんか空気が相変わらず澱んでいるし、きな臭いし、暗い感じがするなというのが第一印象でした。

田中真紀子 元外務相
田中真紀子 元外務相
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こんな立派な議員会館ができて、関係者が呆れた顔をしておられるけど、議員に相応しくないほど立派な議員会館ができているなという印象を持ちました。

安倍内閣ができた頃から、これはちょっと日本が危ない方向に行くかもしれないし、国際情勢も大変厳しくなってくると見通しもついていたので、政治改革を具体的にやらないといけないんじゃないかなとずっと思っていました。

「政治に国民が飢えている」

過去10年間くらいの政治を見ていて、与党とか野党とか政党の話じゃないんですね。日本の政治、国民の政治のための意識、投票率の低さ、世界がこれだけ複雑に動いていて、そんな中で日本は立ちすくんでいるというか、はぐらかしばかり言っているんですよね。

田中真紀子元外務相の父・田中角栄 元首相(「日本列島改造論」の著者)
田中真紀子元外務相の父・田中角栄 元首相(「日本列島改造論」の著者)

これは大変なことになると思い「日本列島改造論」という51年前の本を復刻致しました。

どういうことかというと、政治にみんなが飢えているということです。国民が。投票率が低いというより、政治に期待できない。それは困るんですよ。

政治ほど素晴らしい職業はない

私は本当に政治というものは、すごいものだと思って育ってきている。今もそう思っています。

政治は一番チャレンジングでやりがいのある仕事だと思っています。現実を夢に非常に近づけられるのは政治。夢を実現することもできる。これが政治でしょ。こんな素晴らしい職業はないと私は信じています。

であるのにも関わらず、どこの議員がどうだとか、何党がどうとかそういうことを言う気はないんですけど、とにかく意識がみんな下がってきて、友達も内閣の対談とか、プロの方にお会いする時も、みんな「政治はダメだ期待できない。なぜかと言うと、国会議員は面白くない。へなちょこばっかりだ」と平気で言うわけですよ。

本来、国会議員というのは尊敬されて、みんなから憧れられるような存在でなければいけない。政治家を志す人たちが、色んなルールも変わってきていますけど、やっぱり夢がないんでしょうね。天下国家に対する境地がないというか。そういう人たちが平気で議員になっているということで私はおかしいと思っています。

安倍さん以降、彼も含めて、安倍さんは同期だから仲良しだったんですけど、客観的に見て、やっぱりもう人として全て終わってしまったというか、賞味期限が切れたと言いますか。そういう人たちが総理になり、閣僚になり、議員になっている。

活力が充実していて、やる気満々、どんな批判があってもいい、自分の夢を実現したいというような人たちがポストについていないということなんです。

世襲で政治資金まで引き継いじゃだめ

議員定数を減らすということも色々言われていますし、それから議員の勤続。通年国会にしたほうがいいとか、一年中やるとか色々あると思います。

それから、ペーパーテストをやればいいとか、世襲議員を辞めさせればいいとか。世襲が政治資金まで引き継いでやるからいけないんです。

うちは息子が出なかったからよかったんですけど。希望していませんから、能力もないし。

みんな親も子どもも有権者も「出ろ、出ろ」と言う。うちの息子のところにも各党の党首が来て、仕事をやっていても仕事にならなかったと言いますね。「僕は出たかったら北海道でもどこでも出るよ」と。

みんな息子を出したいんでしょ。一生懸命、外遊に連れて行ったりして色々とやっているんじゃないですか、買い物させたりしてね。

それだったら一回休むとか、親が北海道だったら、沖縄から出るとか、東京から出るとかね。そうやってやったらどうですか。政治資金なんか引き継がれちゃダメ。

世襲でも良い議員はいます。世襲じゃないからみんな良いとは言いません。要するに、最初に言ったように本人の能力・やる気。

民主主義は言論 どれだけ分かりやすく命がけで喋るか

そして一点だけ、どうしても私がやりたいと思っていることがあります。それは選挙の度に、地方も都知事選挙も区議会議員も全部“立会演説会”をすること。

うちの父が「あれでお父さんは鍛えられた」としょっちゅう言っていました。私、子どもの頃から聞いています。

候補者が全部出るんです。2週間選挙期間があると、その地域の公園かなんかに候補者が全部並ぶんです。3日に一回。そうすると有権者が集まって「これがそうなのか」と見て質問するんです。

「財政再建するには、どこからどうしますか」と。それから「COP28では環境問題こう言っていたけど、環境問題と経済成長、企業はどうやってやるんですか」と。「戦費をこれだけ使っているのに、環境問題とバランス考えたら環境問題をやるほうが安上がりで済むかもしれないのに、どう思いますか」とかね。あるいは「同性婚、結婚どう思いますか」色々聞くんですよ。

それに候補者は答えなきゃいけません。「わからない~」とか言っている人はダメですよ。

そういう有権者が見極めるチャンスが立会演説会で、絶対にやるべき。父が一番言っていたのは「とにかくしつこいやつがいて、ヤジってヤジって仕方ないから『あんた、ヤジってばかりいないで私の言うこと聞きなさい』と言うと、相手がバンバン政策を聞いてくる。そして、むきになって答えたんだよ。そしたら、相手が最後に『よし分かった。角さん頑張れ!』と言って去っていったので『いや~、やったな』と思った」と言っていました。

それで候補者も鍛えられる。民主主義は言論ですから、言葉でもってどれだけわかりやすく、命がけでしゃべるかなんですよ。

「答弁を差し控えるなら、国会議員になるのを差し控えた方がいい」

しゃべらないでなんですか。最近のなんか…変なこと「答弁を差し控えさせていただきます」。

差し控えるのは、やましいから答えられないということでしょ。そう言えばいいじゃないですか。国民はそんな馬鹿じゃないですよ。差し控えちゃいけないの。

じゃあ、国会議員になるのを差し控えたほうがいいですよ。いくらでも候補者がいるんだから、なりたい人が。

そういうすっとぼけた言葉の使い方をしちゃダメ。一度でも言ったら即、議員辞めてもらいますから。おかしいですよ。

国民が鍛えて立派な第2政党を

―このタイミングで会見を開いたことについて

父の没後30年、12月19日が命日ですけども、それとは関係ありません。

私、ずっと友達と話していても、報道を見ていても、本当に主権者たる国民がみんな選挙したくないと。それから一番多いのが、自民党がいま起こっている問題にしても何でもけしからんと。

お金の問題にしろ何にしろ、天下りも何も役人じゃなくて子どもたちのなんでしたっけ、息子が世襲で出るとかね。

「自民党は大っ嫌いだ、絶対投票しない!」と言うのに「しかし、野党がだらしない体たらくだから、やっぱり自民党に入れる」これがダメなんです。

私は何党の応援なんかしていませんよ。やっぱり野党を支えているのは国民なんです。それが自分のためなんです。主権者がね、野党にもっとやってもらったらいい。

主人も私も野党の囲みをやりました。学歴は皆さんよりか頭はいいんですけど、経験がないんですよ。企業でいったら平社員か課長くらい。

しかし、自民党は戦後ずっと担ってきていますから70数年。自民党は色んなノウハウがある。外交においても、役人との使い方・お金の使い方、そのほか役所との付き合い方。色んなノウハウがあって、社長や専務並みなんですよ。

だから基本的なところでもって、ひっくり返っちゃう野党が。そうすると「やっぱり野党がダメ、自民党ね」と。

国民が考え方をやめて、マインド選択を変えて、野党にやらせる。潰れてもまたやって、もっと教える、鍛えて立派な第2政党を作りませんか、ということなんです。

政権交代しちゃえば、チェックアンドバランスが効くんですよ。

有権者から「結局、最後は自民党」と聞くと、私ガッカリします。周りの友達もみんな言いますよ。結局、野党がだらしない。育てないからですよ。野党を育てましょうよ、しっかりしてもらいましょうよ。それが我々の為になるんですから。風通しを良くしたいと思います。

ですから、きょうのこの会も、たまたま一番問題が起こっている時に、バッチリぶつかってしまいましたけれども、これを打ち上げ花火にする気はありません。

これをちゃんとまとめて、皆さんの意見・我々の意見をまとめて各政党に出します。厳しい話をちゃんと質問状で出します。空砲にしませんこの会。

せっかく皆さんもいらしてるんですから。我々本気なんですから。良くしたいですよ。「良い政治だ、やっぱ日本はすごいな」と思われるようにしましょうよ。

それには皆有権者が頑張らなければダメなんですから、必ずまとめて公表致します。

(NST新潟総合テレビ)

NST新潟総合テレビ
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