宝塚歌劇団の25歳の俳優の女性が2023年9月に急死した問題で、女性の遺族の代理人弁護士が7日夕方東京都内で会見し、歌劇団側に提出した「意見書」の内容を明らかにした。

この問題を巡っては、女性の死は長時間労働と、「嘘つき野郎!」などの暴言やヘアアイロンでやけどさせるなどの上級生のパワハラが原因として、遺族側は宝塚歌劇団や関係者による謝罪と、適切な被害補償を求めている。

一方歌劇団側は、「独立した調査チームが調査したが、パワハラやいじめは確認できなかった」としていて、遺族側の見解と食い違っていた。

そのため遺族側は、パワハラ行為の詳細と、調査チームの調査報告書の誤りについて指摘した意見書を12月5日付けで歌劇団側に送付したという。

その意見書には「主要な15のパワハラ行為」が列記されているほか、「やけどさされた」「ちゃいろになっている」などのメッセージがやりとりされている、被害女性のSNSの画像も添付された。またヘアアイロンでやけどしたあとの写真として、「黒く跡が残っている」などと付記された女性の頭部の写真も公開された。

意見書に書かれた「主要な15のパワハラ行為」は以下の通り。

1)上級生Aが被災者が断ったにも関わらず、ヘアアイロンで被災者の髪を巻き、やけどを負わせたこと
2)Aがやけどを負わせたにもかかわらず、真摯な謝罪をしなかったこと
3)Aが髪飾りの作り直し等、深夜に及ぶ労働を課したこと
4)上級生が、新人公演のダメ出しで人格否定のような言葉を浴びせたこと
5)週刊誌報道(※週刊文春によるヘアアイロンに関する報道)後、上級生がやけど事件加害者の責任を問わず、被災者を呼び出し、詰問し、劇団員の前で被災者を孤立化させ、過呼吸の状態に追い込んだこと
6)劇団幹部がやけど事件を「全くの事実無根」と発表したこと
7)劇団幹部が、睡眠時間が一日3時間程度しか取れないような、極めて過酷な長時間労働を課し、過大な要求をしたこと
8)宙組幹部が「振り写し」の復活により、一層過大な要求をしたこと
9)宙組幹部が「お声がけ」の復活により、一層過大な要求をしたこと
10)演出家が怠慢・不備により、到底対応不可能な業務を課したこと
11)宙組幹部が配役表事前開示に関し、9月初め2日連続執拗な叱責を行ったこと
12)宙組幹部が「振り写し」に関し、大声で宙組組員の面前で叱責を行ったこと
13)宙組幹部が「下級生の失敗はすべてあんたのせいや」等執政を繰り返したこと
14)宙組幹部が9月28日、幹部部屋で大声で叫び、威圧的な言動を行ったこと
15)宙組幹部が「お声がけ」に関し、詰問し、叱責し続け、罵倒したこと

また調査チームの報告書では、ヘアアイロンによるやけどの程度について看護師の証言のみを採用していて、遺族のリアルな証言を切り捨てていると批判。また、パワハラに関する劇団員の複数の証言があっても証拠として採用せず、結果としてパワハラと認定しなかったしている。

その上で、「総じて調査報告書は、過剰な『縦の関係』を規律としている劇団内の体質、劇団幹部・上級生による下級生支配の構造を理解せず結論に至っている」と厳しく指摘した。

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プライムオンライン編集部
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