イスラエル軍がこれまでで最大規模の空爆を行ったガザ地区南部では、避難生活を続ける市民たちがさらに厳しい状況に追い込まれている。また、イスラエル軍はハマスせん滅のため、ハマスが作った地下トンネルへの水攻めを検討しているという。

ガザ南部に最大規模の空爆

イスラエル軍は、イスラム組織ハマスせん滅のため、ガザ地区南部への攻撃を強めている。

現地から、FNNイスタンブール支局・加藤崇支局長が最新情報をお伝えする。

イスラエル軍は、ガザ地区南部にいる市民へ避難を呼びかけるとともに、空爆だけでなく地上侵攻を進めている。

イスラエル軍の幹部は、南部にも攻勢をかけていることをSNSで明らかにした。

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イスラエル軍幹部「我々は北部でも、南部でも戦闘を続けている。今後数日間、我々は止まらないだろう」

イスラエルメディアによると、南部・ハンユニスでは夜通し、これまでに最大規模の空爆が行われたという。これらの攻撃により、ガザ地区では電話やネットが遮断された状態だ。

ガザ保健省によると、南部にいる職員とも連絡が取れず、救急車が現場に到着できないなど、医療にも影響が出始めていて、さらに多くの犠牲が出ることに懸念が広がっている。

ガザ市民が行き場を失う

ここからは、フジテレビ取材センター・立石修室長がお伝えする。

イスラエル軍はガザ地区南部に、これまでで最大規模の空爆を行った。避難生活を続ける市民たちはさらに厳しい状況に追い込まれている。

イスラエル軍が、特に攻撃を強化させているのは南部最大の都市・ハンユニスだ。

戦闘に巻き込まれる住民も増えており、南部最大の病院・ナセル病院には多くの患者が運び込まれて人があふれており、混乱している。ロイター通信によると、12月1日の戦闘再開以降、約900人が死亡した。

これまでイスラエル軍は、ガザ市民に対して南部へ移動するよう促してきた。しかし、12月1日の戦闘再開以降、南部への攻撃が行われていることに対し、ガザ市民からは憤りの声も聞こえてきている。

病院で治療を受けている生後2カ月のアドナンちゃん
病院で治療を受けている生後2カ月のアドナンちゃん

イスラエル軍の空爆によって負傷し、ハンユニスの病院で治療を受けている生後2カ月のアドナンちゃんの映像。一家は北部での砲撃から逃れ、避難してきた南部で被害に遭ったという。

取材に対し父親は「南部に来てもこの有り様だ。この子はまだ出生登録でさえ出せていない」と話していた。

空爆により家が被害に合った女性は「南部ですら安全ではない。私たちは行く場所もありません。どうすればいいですか?」とカメラに訴えていた。

10月7日にハマスが襲撃して以降、ガザ地区の人口の80%以上に相当する約180万人が、家からの避難を余儀なくされている。

これまでイスラエル軍は、攻撃対象となる北部を避け、南部へ避難するようガザ市民に促してきたこともあり、避難民の多くが南部に集中しているのが現状だ。

南部最大の都市・ハンユニスには、戦闘開始前から43万人が生活していた。ここには34カ所の国連の避難所が設置されていて、国連が把握しているだけで21万人以上が避難してきており、かなり人が密集した地域となっている。

その避難先にまで攻撃が及んでくるとなると、ガザ市民は完全に行き場を失っていくことになる。イスラエル軍は4日、SNSやビラを巻くなどしてハンユニスの一部地域などの住民に対し、さらに南のエジプト国境に近いラファや西に移動するよう指示を出している。

ただ、ガザ地区全域では再び通話・通信が出来ない状況になっており、通信が遮断され、こうした情報ですら伝わらず混乱が続いている。

南部に避難した市民たちは、さらにその先に避難するよう指示され、追い込まれている。

イスラエル軍の目的は、南部に潜伏しているとみられるハマスのガザ地区最高幹部、ヤヒヤ・シンワル氏の殺害または拘束だ。

また、イスラエル軍は、解放されていない130人を超える人質が南部に囚われているとみている。イスラエル側によると、ハマスはノア・アルガマニさんら女性の人質について解放を拒否しているとのことで、こういった人質の救出作戦も念頭に置いているとみられる。ただ、ハマスを倒すことに重きが置かれている印象だ。

トンネルへの水攻めを検討

さらに、その人質が囚われている可能性のある地下トンネルについて、新たな情報がある。

イスラエル軍は、北部で「水攻め」を検討しているという。

ガザ地区には、ハマスが作った地下トンネルが張り巡らされていて、全長500kmに渡るとされている。この映像が水攻めに関連したものかどうかは不明だが、トンネルの入り口周囲でイスラエル軍が何かしらの作業をしている。

米・ウォールストリートジャーナルは、米当局者の話として「トンネルに海水をくみ上げ、注入するための大型ポンプをイスラエルが設置した」としている。

ポンプが設置されたのは、ガザ地区北部の難民キャンプ近くで、5台のポンプが地中海から海水をくみ上げる。1時間で数千立方メートルの海水を注入し、数週間でハマスのトンネルを浸水させることが可能としている。

しかし、まだ多くの人質が地下トンネルに囚われているとみられていて、この段階で水攻め作戦に踏み切るかどうかはわからないとしている。
(「イット!」 12月5日放送より)

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