福島県棚倉町で、外国語指導講師をしているシャノン・イエクリーさん(39)。日本の文化に魅了され来日、武道を通して子どもたちに日本文化の素晴らしさや奥深さを伝えている。「日本人よりも日本人らしいアメリカ人」と町の人からは呼ばれているシャノンさんの”日本愛”を取材した。
日本が大好きで面白い先生
シャノン・イエクリーさんは4つの小学校で英語を教え、棚倉町での生活は17年目になる。シャノンさんの授業は笑顔が溢れ、元気な声が響き渡る。
この記事の画像(14枚)児童は「シャノン先生の授業は、いつも聞いてて分かりやすくて楽しい」「シャノン先生は、この国の人じゃないけど、この国がとっても大好きで、とても面白い先生です」と話す。
宮本武蔵に影響を受ける
「日本人より日本人らしいアメリカ人」と言われるシャノンさん。日本文化に興味を持ったのは小学生のころ。宮本武蔵の「五輪書」の影響を大きく受けた。
「私が子どもの時に読んでいて、日本について興味を持つきっかけになった。奥が深くて、勉強すればするほど深くなって、武道・侍文化・歴史・哲学、どんどん広がっていきましたね」とシャノンさんはいう。
態度・人間関係…武道は奥深い
鋭い目つきで竹刀を振るシャノンさん。10年以上、子どもたちに剣道を教えている。シャノンさんは「武道は正しい態度とか、正しい人間関係のところも含んでいて、ただのスポーツより奥深い所がある」と話し、自分の心を磨き武道に励むよう基本から丁寧に指導する。
棚倉町剣道スポーツ少年団代表の水野準一さんは、シャノンさんについて「努力家で熱心。日本人でマネできないところが沢山ありますので、そこは私も見習う所があります」と話す。
温故知新
剣道は5段、居合道と杖道は4段、弓道は3段の実力者のシャノンさん。ほかにも、三味線に流鏑馬や日本舞踊の腕も磨いている。
「日本人より日本人らしいとはよく言われますが、昔のことを求めようと思っている。伝統とか生き方とか、古い事をもう一回考えたりとか、自分の生活とかに活かしたい」とシャノンさんは話す。
東日本大震災を経験
棚倉町をこよなく愛し「一生住み続ける」と決めていたシャノンさん。棚倉町に来て4年目のとき、東日本大震災・原発事故が発生した。福島第一原発からは80キロ圏内で、アメリカ政府から避難指示が出された。
しかし「ここにいる友達とか、先輩とか同僚とか簡単に帰ることは出来ないので、僕もズルく帰ることは考えられなかった」と話すように以前からの決意は変わらなかった。
住んでいる町を守りたい
震災後、食べ物に困ったときには米と味噌をもらい、改めて町の人たちの温かさに触れた。あの時、いつも見守ってくれた消防団への感謝の思いから、今は団に所属している。「大変なところもありますが、自分の住んでいる町を自分で守る事が気持ちいいというか、役に立って良かったなって気持ちが湧きます」と話した。
武道を通して恩返し
温かい人たちに自然豊かで歴史のある棚倉町。町を歩けば、多くの人に声を掛けられる。「城下町らしく、皆優しくて伝統があるところが良い。人と人との絆を感じています。長年の付き合いもあるし、ありがたい」という。
シャノンさんは「将来的に、弓道と剣道、剣術が出来る道場を開いて、武道に対して満足できる場所を開きたい」と話し、温かく迎え入れてくれた棚倉町にこれからも武道を通して恩返しをしたいと考えている。
「日本人より日本人らしいアメリカ人」シャノンさんの活動は、これからも続く。
(福島テレビ)