スキルス胃がんを患い、2023年4月に胃を全て摘出したグルメブロガーのユッキーさんを、沖縄テレビでは過去2回にわたり特集してきた。
今回は、手術から半年が経過した現在の様子と、未来を見据えて病と向き合うユッキーさんの思いを聞いた。
「経験の発信で誰かが助かれば・・・」
東京に本社を構えるIT企業に勤務しているユッキーさん(43)は、2023年にスキルス胃がんと診断され、4月に胃を全て摘出する手術を受けた。
全国の飲食店の情報を発信する自身のグルメブログで多くのフォロワーもいるユッキーさんは、病をきっかけに自身の闘病の記録も執筆している。
この記事の画像(14枚)ユッキーさんは、「病気が見つかって早く治療すれば長く生きられる可能性が高まると思うので、私の経験が誰かに伝わって誰かが助かれば」と思い、ブログでの発信を始めた。
2023年10月までに公開している記事は40本以上にのぼり、術後の経過・抗がん剤の副作用など、気が重くなりがちな内容もユッキーさんのユーモアを交えた明るくて柔らかい文章で綴られていて、あっという間に読み終えてしまう。
ユッキーさんは、「手術したら終わり、楽になるのかなと思っていたが、実際そうではないなというのは、自分の身に起こって初めてわかった」「その後の地味な投薬の方がしんどい」と話す。
また、胃の摘出手術の後に始まった抗がん剤治療は、想像していた何倍も副作用がきつく、身体的にも精神的にもこたえたものの、ある目標があったから頑張れたと振り返る。
彼らのアルバムを聴いて乗り越えた
2023年9月、ユッキーさんの姿が神奈川県の川崎駅にあった。
ユッキーさん:
来ちゃいましたね。来られると思っていなかったんで、川崎駅に着いたら感無量な感じですね
向かったのはライブハウス。その道中でユッキーさんは、「手術の後、ずっと彼らのアルバムを聴いたりして、それで乗り越えたりしました」「精神的にしんどいなという時は、それを聴いて頑張ろうとモチベーションにしていた」と笑顔で話していた。
ユッキーさんはこの日、20年以上に渡って追いかけているバンド・SEX MACHINEGUNSのライブを観戦した。
ユッキーさん:
バンドや音楽からパワーもらえますよね。こんなになっていましたね。見ました?(笑)ヤバい
ユッキーさんは「病気がわかる前に続けていた生活を継続するというのが、私的には一番のモチベーションになっている」と話す。
また、病気になったことで、以前よりも自然と周りへの感謝の気持ちが大きくなったとして、ブログにもその想いは綴られている。
8月26日:(毎日ノンアル.netより引用) がん治療は孤独な戦い。「人との繋がり」と「推しごと」が心の支えになっている。
「みなさんと会話してありがたいなと思ったのは、回復を喜んでもらえること」
「(ブログやSNS投稿を通じて)「定期検診/受診に繋がった」という報告をもらえること」「どんな反応でも嬉しいものです」
現在、休職中のユッキーさんだが、職場復帰に向けても動き出している。
ユッキーさんは「普通の生活をしたいな思いますし、あとは社会貢献的なところもあるかもしれない」「普通に働いて経済を回すみたいなところだったり、収入を得ることでできること、自分でできること、子どもに還元していく事とかなどあると思う」と思いを語った。
夫の言葉があと押しに
前向きなユッキーさんだが、今後も続く治療に向けてある大きな決断をした。
ユッキーさん:
(抗がん剤の点滴で)寝たきりになる日が10日ぐらいあって点滴は体に合わないと先生に伝えたところ、錠剤の薬だけの治療についても(主治医に)提案をいただいたが、最終的にそれを決めるのは自分だったんですよね
ユッキーさんはそれまで、飲み薬と点滴の2つの抗がん剤で治療を進めていた。
点滴による抗がん剤は高い効果が期待できるが、その分副作用も強く、やめることで、がんを再発するリスクが高まる恐れもある。
こうしたことから自分だけでは決断できず、頼ったのが夫であった。
夫は妻の不安を受け止め、「先を心配していても、わからないから仕方がない。病気になるかどうかなんてわからないから、なった時にどうするか考えればいい」とだけ伝えた。
ユッキーさんもは、「体が辛いから錠剤だけにしたいと思っていたが、そういった感情を一切取り払って、夫にスパッと言ってもらったことが、背中を押してもらった」と話す。
「母ちゃん頑張らないと」
病気になる前と同じ生活を送りたい。そして、職場復帰を目指していることからもユッキーさんは、これからも続く闘病を見据え、飲み薬だけによる抗がん剤治療を選択した。
そして、最愛の息子のためにも母としてやれることはやってあげたいと、また一つ目標をたてている。
ユッキーさん:
私の地元が北海道なんですけど、時々、子どもが雪を見たいというので、連れていってあげたいなと。色んな経験させてあげたくて。そうなんです。母ちゃん頑張らないといけないんです
最愛の家族、そして周りで支えてくれる人たちへ感謝の思いを抱きながら、ユッキーさんは病と向き合い、歩みを進めている。
(沖縄テレビ)