北朝鮮が10月に実施すると予告していた、衛星と称する弾道ミサイルについて、発射の兆候がみられないことが政府関係者への取材で明らかになった。

北朝鮮が8月に2度目の失敗をした際、弾道ミサイル技術に重大な欠陥が見つかった可能性があり、朝鮮労働党創立記念日がある10月の発射は断念したとみられる。

北朝鮮は2023年4月に、軍事偵察衛星と称する弾道ミサイルを発射すると宣言してから、5月と8月に2回発射を試みたが、いずれも失敗に終わっている。特に8月の失敗は、弾道ミサイルを打ち上げた後に飛翔コースの修正に失敗したとみられている。

北朝鮮が南方向にミサイルを発射する場合は、打ち上げ後、進路を微妙に東に修正しなければいけない。そのまま南に打ち込めばフィリピンにブースターが落下してしまうからだ。そのための進路の修正が上手くいかなかった可能性がある。
8月の失敗直後、北朝鮮の国家宇宙開発局は、「事故の原因は段階別のエンジンの信頼性とシステム上の大きな問題ではない」とし、「原因を徹底的に究明して対策を講じた上で、10月に3回目の偵察衛星打ち上げを断行する」と表明していた。

そのため、朝鮮労働党の創立記念日である10月10日前後に発射する可能性があると指摘されていたが、政府関係者によると現在、具体的な発射の兆候は見られないことが新たにわかった。
北朝鮮が今月の発射を断念した可能性がある。
11月以降、北朝鮮がいつ3回目の発射に踏み切るかについて、日本政府はアメリカ、韓国と連携しながら引き続き警戒を強めている。
(フジテレビ解説委員・上法玄)