全国選りすぐりのしょうゆが出品される全国醤油品評会で、2023年は福島県からは10点が入賞。都道府県別の入賞数日本一に輝いた。地元・福島県でも大々的に紹介される事が少なかったが、実は「福島のしょうゆ」はすごかった。

世界の調味料しょうゆ

福島県二本松市の国道4号線沿いに「世界の調味料しょうゆ」と書かれたひときわ目立つ看板がある。この看板が目印の「福島県醤油醸造協同組合」は、しょうゆ王国・福島の中心的な役割を果たしている。

しょうゆ王国・福島の中心的な役割を果たす「福島県醤油醸造協同組合」
しょうゆ王国・福島の中心的な役割を果たす「福島県醤油醸造協同組合」
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実は福島県はしょうゆ王国

2023年で50回目をむかえた全国醤油品評会で、福島県からは10点が入賞!都道府県別の入賞数日本一に輝いた。福島県の日本一は2年ぶり3回目となる。

2023年入賞数が日本一 2年ぶり3回目
2023年入賞数が日本一 2年ぶり3回目

日本一なのに扱いが小さい!?

福島県で日本一といえば日本酒。2022年まで、全国新酒鑑評会で9回連続金賞受賞数日本一を獲得。2023年は10連覇を逃したものの、大々的に報じられた。

福島の日本酒 10連覇を逃したが大きな話題に
福島の日本酒 10連覇を逃したが大きな話題に

それに比べてしょうゆは扱いが小さいが…醤油業界はどう思っているのか?「業界全体で頑張っているということに関しては、ぜひ今後も注目していただきたい」と、組合の理事兼工場長の紅林孝幸さんは、少し控えめに話す。

頑張りに注目を…と少し控えめ
頑張りに注目を…と少し控えめ

国内初導入の画期的な生産方法

日本一の秘密がきっとあるはず!ということで、工場を案内してもらった。ここでは、小麦の焙煎や麹の熟成など行っていて、しょうゆの基になる「生揚醤油」を福島県内58の醤油製造店に供給している。

しょうゆの基を福島県内58の醤油製造店に供給
しょうゆの基を福島県内58の醤油製造店に供給

これは「生揚生産協業方式」と呼ばれ、福島県が国内で初めて導入した画期的な生産方法だという。

福島県が国内で初めて導入した画期的な生産方法
福島県が国内で初めて導入した画期的な生産方法

色と香りが大事

続いて案内してもらったのは、麹を熟成させる「麹室」。甘い香りが漂っている。この「香り」が、紅林さんがしょうゆ作りで大事にしているポイント。

甘い香りが漂う麹室
甘い香りが漂う麹室

「色と香りは確かめて合格したものが外に出る。私が最後、ちゃんとチェックしてOKが出たものを出す」と紅林さんはいう。

色と香り 紅林さんが認めたものでないと供給しない
色と香り 紅林さんが認めたものでないと供給しない

これまでにない商品の開発も

「しょうゆ作り」に全力で向き合う紅林さんは、これまでになかった商品も開発した。その一つが「ハラールしょうゆ」。アルコールや豚肉を口にできないイスラム教徒のために7年前から製造・販売している。

7年前からはイスラム教徒も口にできるしょうゆを開発
7年前からはイスラム教徒も口にできるしょうゆを開発

また「ごちソース」は、しょうゆと味噌をブレンドして、マイルドな和風ソースに仕立てた自信作。

おいしさの追求はもちろん 新商品の開発も行う
おいしさの追求はもちろん 新商品の開発も行う

日本酒業界に追いつけ追い越せ

日本一獲得に新商品開発と、一見 順風満帆にみえるが、これまでの道のりは決して楽なものではなかった。紅林さんの呼びかけで2011年に発足した勉強会では、参加者同士が意見を交わしながら切磋琢磨。

勉強会を行い切磋琢磨
勉強会を行い切磋琢磨

一歩も二歩も先を行っていた福島県の日本酒業界に、追いつきたいという思いがあった。紅林さんは「その成果が12年間で10点の入賞という。これは非常に勉強会の意義が出てる」と評価する。

先を行く福島県の日本酒業界に追いつきたいという思い
先を行く福島県の日本酒業界に追いつきたいという思い

連覇の際には盛大に

今や全国から注目される存在となった福島県のしょうゆ。2024年の品評会で連覇を果たした暁には…「やるのであれば、みなさん呼んで表彰状を持った形で、県知事にもお祝いしてもらいたいな。恥ずかしがり屋さんが多いが、自分たちのやっていることが、こんなにすばらしいことなんだとわかっていただけるチャンスじゃないかと」と紅林さんは話した。

2024年も日本一に 連覇を目指す
2024年も日本一に 連覇を目指す

世界の調味料「しょうゆ」の可能性は無限大。連覇を目指しさらにおいしく香り高く、紅林さんの挑戦は続く。

(福島テレビ)

福島テレビ
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