命を救ったとっさの判断と行動。長野県安曇野市の旅館が浴場で倒れている80代の男性を発見し、救助したとして、消防から感謝状を贈られた。男性は入院中、医師から「あと2分遅かったら、命はなかっただろう」と言われたという、緊迫した当時の様子を旅館の社長に聞いた。
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80代の客が湯船で倒れる
長野県安曇野市にある温泉旅館、小岩岳旅館の社長・矢口昭さん(66)。
客の命を救った判断と行動を讃え、消防から感謝状が贈られた。
旅館で何があったのだろうか。
緊迫した当時の様子を矢口社長に聞いた。
この記事の画像(7枚)それが起きたのは8月1日の夜のことだった。
夜9時ごろ、女湯にいた旅館の女将が隣の男湯から「ものを打ち付けたような鈍い物音」を耳にする。
何かあったと思い、携帯電話で矢口社長に連絡した。
「男性のお風呂で何かあったようだから見てくれ」
矢口社長が事務室から急いで男湯へ駆けつけると、その日、夫婦で宿泊していた80代の男性が湯船にうつ伏せの状態で倒れていた。
急いで引き揚げたところ、男性は息をしていなかった。
命を救ったとっさの判断と行動
そこで以前、講習で習ったことがあった「胸骨圧迫」(心臓マッサージ)を始めた。
その間、女将が119番通報。男性の妻を呼びに行った。
矢口社長は、当時の状況をこう話す。
「最初は全然意識がなくて『あぁ…』と思って、何回も胸骨圧迫をやっていると、目が瞬きするように見えた」
矢口社長は、電話越しで救急隊の指示を受けながら心肺蘇生を続け、およそ10分後に到着した救急隊に引き継いだ。
男性客から感謝の手紙
病院に搬送された男性は一命をとりとめ、8日後に退院。
湯船で倒れた時の記憶はなく、気が付いたときは救急車の中だったという。
矢口社長は、「発見した人、救助した人、それと救急隊の皆さん、みんながそろい連係プレーで助かった命だと思う」と、当時を振り返る。
その後、旅館に男性から手紙が届いた。
(救助した男性からの手紙)
「機敏な行動で救命して頂き、一命をとりとめる事が出来ました。心身共に何の症状もなく無事です。本当に本当にありがとうございました」
男性は入院中、医師から「あと2分遅かったら、命はなかっただろう。仮に助かっても後遺症が現れただろう」と言われたという。
矢口社長は、「手紙をうれしいと言っちゃいけないけど、一番はこういうことがない方がいいんです。今回は良かったです、本当に」と、ほっとした表情で話した。
(長野放送)