2023年の国民体育大会は鹿児島県で開催される。選手はもちろん、運営にも多くの人が関わっている。その一人、10月7日の開会式で司会を務める高校生に密着した。

高校生が務める「国体開会式の司会」

「燃ゆる感動かごしま国体」は開会式に先立ち、9月17日から会期前競技が行われた。

この記事の画像(10枚)

初日の9月17日に行われた新体操の表彰式。「選手入場!会場の皆さま、選手が入場してまいります。盛大な拍手でお迎えください」と歯切れ良くアナウンスしていたのが、地元の私立高校、鹿児島純心女子高校の2年生、竪道夕夏さん(17)だ。

学校を訪ねると、竪道さんは昼休み、友人らとお弁当の時間を楽しんでいた。

この日のメニューは母親が作ってくれたタコライス。「朝起きて、お弁当を見るのが楽しみです」と笑顔で話す竪道さん、昼休みには大事な仕事がある。

鹿児島純心女子高校放送部2年・竪道夕夏さん:
時刻は12時40分になりました。気になるきょうの運勢ベスト3をお伝えします。第3位、うお座。喜びが広がります

その仕事とは「校内放送」だ。竪道さんが所属する放送部は創部約60年の歴史と伝統を誇る。テレビ局のアナウンサーになったOGも多い。

鹿児島純心女子高校放送部2年・竪道夕夏さん:
中学の時のオープンキャンパスで気さくに話しかけてくれた先輩がいて、その先輩が放送部の先輩だったので憧れて入部しました

迫る本番…放送部全体で特訓

NHK杯全国放送コンテスト準優勝など数々の実績を残してきた竪道さん。

そんな竪道さんが挑むのが、10月7日に鹿児島市の白波スタジアム(鴨池陸上競技場)で開かれる、かごしま国体総合開会式の司会だ。各県の代表選手など約1万2,000人が集まる会場で、他の2人の高校生らとともに式典の進行を務める。

式典の台本は実に100ページ以上。この日、竪道さんは他の放送部員の前で練習の成果を披露した。

鹿児島純心女子高校2年・竪道夕夏さん:
これから行われます式典のあらましを、順を追って説明いたします。お手元のプログラムをご覧ください

よどみない竪道さんのアナウンスだが、手厳しい“ダメ出し”も。

部員:
すごく聞きやすかったけど、「このあと」「そのあと」の「あ」が「わ」に聞こえた

「お手本を聞かせてほしい」という竪道さんの要望に応え、マイクの前に座ったのは1年生の青野杏珠さん。

7月に鹿児島で行われた全国高校総合文化祭で司会を務めた青野さんは、秋篠宮さまと悠仁さまが入場される時のアナウンスを再現した。

笑顔でアナウンスする青野さん。それを見た顧問の先生の「笑顔になると何がいいんでしょうか」との問いに、竪道さんは「声が前に出る」と答えた。

先生から「最初に目力も発揮した方がいい。さっき青野さん、キラッとしていたよね」というアドバイスをもらい、言葉だけでなく表情にも気を配りながら、放送部みんなで理想とする司会像を固めていった。

“亡き祖父への思い”も胸に…

竪道さんには特別な思いもあった。

鹿児島純心女子高校放送部2年・竪道夕夏さん:
国体の司会が決まったことを一番喜んでくれたのが祖父だったんですね。でも祖父は国体の前に、直接見られないようになってしまって…

竪道さんの祖父、輝市さんは7月に病気のため他界した。輝市さんは病床にありながらも、各種コンテストでの孫の好成績を、看護師や薬剤師に自慢していたという。

「祖父のためにも国体の司会のお仕事を全うしていきたいと思っています」と、竪道さんは力強く言った。

間もなく迎えるかごしま国体総合開会式。竪道さんが目指すアナウンスとは…。

鹿児島純心女子高校放送部2年・竪道夕夏さん:
日本全国から(選手や役員が)来て注目してもらっていると思うので、その方々にエールを送れるような司会をしたいと思います

来場者、仲間たち、そして家族への思いを胸に、竪道さんの声がかごしま国体を彩る。

(鹿児島テレビ)

鹿児島テレビ
鹿児島テレビ

鹿児島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。