10月7日に総合開会式が行われるかごしま国体。相撲競技の会場となる奄美大島からは、2023年大相撲秋場所の番付で、幕内に明生、十両に大奄美と2人の関取がいるほか、幕下以下にも多くの力士を擁する相撲どころだ。それだけに今特別な思いで準備が進められている。

奄美大島各地で行われる豊年祭 注目の余興は…

9月23日、島の南部、瀬戸内町嘉鉄集落で豊年祭が開かれた。旧暦の8月15日に合わせ、五穀豊穣や集落の安全を願う。サワラ釣りを模した芸能演目「ソーラ釣り」など、様々な余興が行われる中、ひときわ注目されていた土俵。

住民や出身者たちの土俵に会場が沸く
住民や出身者たちの土俵に会場が沸く
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住民や出身者たちが相撲を取り、会場を沸かせた。この時期、奄美大島の各地で開かれる豊年祭では、多くの会場で相撲が行われる。

地元の住民は「今75歳だが、若いころは集落の相撲で個人戦があって、そこで優勝した」と話す。

相撲を取っていた小学生も「相撲は最初は嫌だと思った」が、今は「やってみたら楽しいから好き」だという。

古くから受け継がれてきた奄美の相撲

なぜ奄美大島には相撲が根づいているのか。島の歴史に詳しい久伸博さんは、このように推測する。

元奄美博物館館長・久伸博さん:
起源についてはっきりしたことは分からないが、江戸時代には南島雑話(幕末の奄美大島に関する書物)に島の人の相撲が描かれていた。過酷な自然条件のもとで作物ができた喜び、そして神様に感謝する気持ちを表すために、この相撲は取り入れられたと思われる

幼いころから相撲に親しみ、親子で相撲を取る風習が脈々と受け継がれている奄美大島。かごしま国体では、相撲競技が行われる。

奄美群島で国体初開催 地元の歓迎ムード高まる

会場となる奄美市の市役所にはカウントダウンボードが置かれ、商店街には島の伝統工芸品、大島紬柄の垂れ幕が下がる。歓迎ムードが高まっている。

鹿児島で国体が開かれるのは1972年の太陽国体以来51年ぶりだが、奄美群島で国体競技が開催されるのは今回が初めて。地元関係者も期待を寄せている。

奄美市通り会連合会・森幸一郎会長:
(新型コロナの影響で)商店街も3年くらい沈む時期があったが、2022年くらいからどんどん盛り上がってきて、その流れで国体が開催されることに非常に期待している

試合会場の準備も着々と進んでいる。奄美市郊外にある名瀬運動公園サンドームでは、屋外に練習用の大型テントと、選手や監督の控室となるテントが組み立てられていた。10月からはドーム内に、メインの土俵を設置する作業が始まる。土俵には、「荒木田土」と呼ばれる、大相撲で使われるものと同じ土が使われる。

奄美市教育委員会国体推進室・岩切貴人室長:
国体を開催するために、土俵の土は荒木田の土と決まっているので、実際その通りに荒木田の土を埼玉から運搬してもらってこちらで使用する

がっちりとした体格の岩切さん、実は国体の相撲競技に出場した経験がある。国体競技の地元開催に特別な思いもあるようだ。

奄美市教育委員会国体推進室・岩切貴人室長:
2023年は奄美群島が日本に復帰して70周年記念という特別なこともあり、先人の方々の思いであったり、奄美の相撲は伝統文化の一つである競技なので、県外から来る人へ心からおもてなし、大会の成功に向けて頑張っていきたい

奄美にとって節目となる年に開催されるかごしま国体。相撲競技は10月13日から15日までで、奄美大島も徐々に熱を帯びている。

(鹿児島テレビ)

鹿児島テレビ
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