10月7日に総合開会式が行われるかごしま国体と、国体に引き続き行われる全国障害者スポーツ大会(かごしま大会)。両大会で優秀な成績を収めた選手たちをたたえる記念の品に、鹿児島ならではのこだわりや魅力がたっぷり詰まっている。

蒲生和紙と鶴田和紙が表彰状に

かごしま国体で男女総合と女子総合、それぞれ8位までの都道府県と、競技別総合成績で8位までだった都道府県に贈られる表彰状を見ると、手ですいた和紙の風合いが残っている。この和紙に、鹿児島ならではのこだわりがある。

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かごしま国体競技式典課・川原敏幸係長:
男女総合成績が蒲生和紙になります。女子総合成績の方が鶴田和紙の表彰状ということで贈呈されます

男女総合の表彰状には蒲生和紙を使用
男女総合の表彰状には蒲生和紙を使用

鹿児島市の隣、姶良市の蒲生和紙は紙質が強いのが特徴で、油をこしたり、障子に貼ったりするのに多く使われてきた。

鶴田和紙を使った表彰状
鶴田和紙を使った表彰状

また、さつま町の鶴田和紙は手もみ茶を作る際に使う茶取り紙として高い評価を得ている。いずれも今なお手すきの技を継承していて、鹿児島県の伝統的工芸品に指定されている。

“躍動する木目”額縁には屋久杉を使用

さらに、表彰状を入れるために男女総合と女子総合、それぞれ8位までの都道府県に贈られる額縁にも秘密がある。材料として使われているのは、世界遺産の島・屋久島で樹齢1000年を超える「屋久杉」だ。

美しく細かい木目が特徴で、枠はもちろん、額縁を飾るための脚までふんだんに使われている。心が安らぐような香りが漂うのも屋久杉ならではだ。

米玉利工芸・米玉利真一社長
米玉利工芸・米玉利真一社長

そんな額縁の外枠の加工を担当したのは、屋久杉の加工品を製造する鹿児島市の米玉利工芸だ。米玉利真一社長は、額縁に込めたこだわりをこう語る。

米玉利工芸・米玉利真一社長:
木には必ず正目(まっすぐな木目)と板目(曲がった木目)がある。屋久杉は板目がきれいなので、「屋久杉」という風に(正面にする)

さらに米玉利社長は「国体で屋久杉の額縁が使われることは、県外の人にも認知してもらうチャンスだと思うので光栄。屋久杉の躍動する木目を感じてほしい」と語った。

額縁の内装には本場大島紬が…
額縁の内装には本場大島紬が…

額縁には屋久杉以外にもこだわりがある。それが内装に使われている国の伝統的工芸品・本場大島紬だ。屋久杉の光沢と、本場大島紬の落ちついた色合いのコラボレーションが国体に花を添える。

火山灰を加工したプレートがメダルに

全国障害者スポーツ大会(かごしま大会)では、各競技の1位~3位の選手にメダルが贈られる。

“鹿児島ならでは”が詰まったメダル
“鹿児島ならでは”が詰まったメダル

8角形のデザインに、鹿児島県の花ミヤマキリシマ、龍郷柄と呼ばれる大島紬の絵柄、鹿児島の伝統的陶磁器・薩摩焼の籠目透かし彫りがあしらわれている。これ以外にも鹿児島ならではの素材が使われている。

火山灰を加工したプレートも素材に
火山灰を加工したプレートも素材に

鹿児島県 かごしま国体全国障害者スポーツ大会課・若山深志係長:
鹿児島の火山灰をプレスして加工したもの(プレート)。かなり圧縮して2ミリくらいにしたものを加工して使用している

さらに、このメダルには「2020」と刻まれている。実は当初、大会は2020年に開催される予定だったが、新型コロナの影響で3年間延期された。2020年開催を前提に準備されたメダルを、今回そのまま活用する。

“夢や希望が描けるようなメダルに”思い語る
“夢や希望が描けるようなメダルに”思い語る

かごしま国体全国障害者スポーツ大会課・若山深志係長は「このメダルを選手が実際手にした時に、『鹿児島でこういうことがあったな』と未来に向けて夢や希望が描けるようなメダルになればと思う」と語る。

鹿児島への愛がたっぷり込められた表彰状に額縁、そしてメダル。熱戦の行方はもちろん、活躍した選手たちをたたえる鹿児島ならではの品々にも注目だ。

(鹿児島テレビ)

鹿児島テレビ
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