介助が必要な人でも旅を楽しめる「ユニバーサルデザインツアー」が8月に熊本市で行われた。医療職を志す学生たちもボランティアスタッフとしてサポートした日帰りの旅に密着した。
車いすでも旅を楽しめるバスツアー
8月に行われたとあるバスツアー。参加者がリフト付きバスに車いすで乗り込み、普通のバスツアーではない様子だ。

これは、熊本市の旅行会社「旅のよろこび」が企画した、障害などで介助が必要な人たちも旅を楽しめるユニバーサルデザインツアーだ。
旅のよろこび・宮川和夫社長:
旅のよろこび、ユニバーサルデザインツアーにご参加いただき誠にありがとうございます。きょう一日、旅のお供をさせていただきます添乗員の宮川と申します、よろしくお願いします
「旅のよろこび」は、介助を必要とする人などを対象にしたツアーを18年前から行っている。

参加者:
遠いところは(2人では)行けない。行くだけで楽しみ
参加者:
ゆっくり行けるから、皆さんに迷惑かけないで…。だからこのツアーで行くと本当に安心
この日、一行は本場のイカを味わおうと佐賀・呼子(よぶこ)を目指した。
熊本保健科学大の学生もサポートに
また、この旅に欠かせないボランティアスタッフとして、熊本保健科学大学の学生もツアーに同行した。

呼子に着くと、スタッフたちは参加者のサポートの準備に取りかかる。学生たちも、看護師やヘルパーなどの資格を持つボランティアの人と一緒に移動や食事をサポート。
本場のイカ料理に、参加者たちも舌鼓を打った。
参加者:
(ツアーは)自信がつく。これなら行けるんだなと

参加者:
初めて(の参加)。脳出血に1年8カ月くらい前になり、「リハビリを一生懸命頑張って、体が楽になるようになってから旅行に行きたいね。思い出づくりを夫婦で今度からしようね」と主人も誘った

熊本保健科学大学2年・福田有紗さん:
自分も楽しみながら対象者(参加者)の方の背景とかを聞けるのが一番勉強になって、来てよかったなと思います
学生たちもツアーを通して、一人一人違う「介助のカタチ」について学びを深めていく。
介助必要だけど120%満足できる旅行
そして旅の締めくくりは、観光名所・虹の松原だ。

旅のよろこび・宮川和夫社長:
上から海とセットでの絶景を眺めていただくと「うわー!」という感じがします。全長約4.5km、幅は500メートルにわたって続く松は約100万本と言われています
充実の一日に、参加者たちも大満足したようだ。

参加者:
毎回のことだが、本当に皆さんに助けられて120%満足して帰る
参加者:
隣に若い方が来られてとてもうれしかったし、きょう一日、十分に楽しめた
最後、バスを降りるところまでしっかりサポートする。

参加者:
(学生のサポートに対し)まずはやっぱりハートね、思いやりの気持ちがあるからすごく安心していられた。なかなか上手でしたよ(笑)
熊本保健科学大学2年・森﨑千陽さん:
ありがとうございます。人生の先輩として、いろいろなことを話してくれたのでとても楽しかったです

熊本保健科学大学2年・杉本晴香さん:
きょう来ていた方の話を聞いて、一番良い生活が送れるように支援できる作業療法士になりたいと思いました
学校の勉強とは違う実習の一つ
宮川代表も、参加者や学生たちの反応に手応えを感じている。

旅のよろこび・宮川和夫社長:
これから福祉の分野、医療の分野で頑張ろうと思う学生さんにとっても、きっと学校の勉強とは違う実習の一つになったと思うし、逆にお客さまも若い人からのエネルギーをいただけた。相互にとてもいい感じの化学反応を起こせたのではないのかなと思います。参加してくださったお客さま、ボランティアさんがみんな元気になって家路に帰ってらっしゃるだろうと思うので、そこは大成功だったと。まさに「旅のよろこび」を感じていただけたのかなと思います
(テレビ熊本)