物価高が続く中、岸田首相は新たな経済対策の柱を表明した。対策は国民の負担感に寄り添ったものになったのだろうか。いま求められる経済対策は何なのか…日本総研関西経済研究センター・藤山光雄副所長に聞いた。

10月から値上げされるもの

“物価高”対策なので、10月もかなり値上がりするモノが増える。まず食料品はアイスなど4533品目が値上がり、そしてお酒だがワインや第3のビールなども値上がりの対象になる。そして三菱UFJ銀行からほかの銀行に振り込む際の手数料も値上がりする。さらに、電気代、ガス代などもそれぞれ値上げもある。

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Q:まだまだ家計の圧迫が続きそうですね

日本総研関西経済研究センター・藤山光雄副所長:
そうですね。もうしばらく続きそうな気がしております。われわれとしてはもう少し早くおさまるかなと思っていたんですが、意外に原油価格や円安が長い間続いているということで、もうしばらく値上がりも含め、物価の高い状態が続くのかなと思っています。

Q:いつぐらいまで我慢するのか見えていますか?

藤山光雄副所長:
いわゆる原材料の価格、小麦の価格などはかなり落ち着いてきているので、食料品とか物の価格というのは、そろそろ落ち着いてくるかなと。

Q:今がピークじゃないかなという見方ですか?

藤山光雄副所長:
はい。ちょっと懸念なのは実は今人件費が上がっています。給料、賃上げという形なんですけど、それはすごいいいことなんですけど、その分人件費のウエートが多いサービス業では、その分値上げしないといけないということで、その部分の値上がりがこれから出てくる可能性があります。

いろいろなものが値上がり、これは、私たちの暮らしに響きそうだ。 家庭への影響はもちろんだが、こんな影響もあるようだ。

物価高による企業の倒産

物価高による企業の倒産の数は、2022年は320件だったが、2023年は1月~6月だけで375件と過去最多を更新してしまっている。

Q:これはどうしてなんでしょうか?

藤山光雄副所長:
お店が仕入れる、さまざまなモノの価格が上がっているということと、光熱費も上がっているということで、お店としてはそれをそのままの価格転嫁ということで売るものに転嫁できればいいんですけど、なかなかすべて転嫁するわけにもいかないというところで、売り上げが減って、利益が減少して倒産してしまうという企業が増えているということだと思います。

Q:ではまだこれからの下半期も倒産する企業は増えていきそうという見方ですか?

藤山光雄副所長:
そうですね。どこまで価格転嫁ができるか、価格転嫁をしてもどこまでお客さんが来てくれるか、そういったところにかかっているのかなとという気がしています。

電気・ガス料金 ガソリンの重点的な対策

エネルギー価格をおさえるための補助金などは、2023年1月から9月までに約6兆円があてられている。

Q:延長という話も出てきていますが、いつまで補助金を出すべきだと考えていますか?

藤山光雄副所長:
今年の年末まであと3カ月ありますので、原油価格や円安の動向がどうなるのか次第というところが一つ。今、賃上げが徐々に進んできています。国民の負担感という点では“給料がどれくらいで…”というところに影響されますので、賃金の伸びが年末にかけて伸びてきているかどうかというところも判断しつつ、という形になる思います。そういったところに改善がなければ年明け以降も、もう一度延長という話も十分にありうると思っております。

補助金が出れば、私たちの生活は助かるが、結局、補助金には税金が使われることになり、どう考えるか難しい問題である。

Q:賃上げはいつ頃になりそうですか?

藤山光雄副所長:
経済全体で見ますと、徐々に賃上げ自体は広がってきているのかなと感じています。春の春闘の影響で徐々に広がってきているということなんですけども、上り具合はまだ低いでし、それがずっと今後も継続されるかということが重要ですのでもう少し状況をみないといけないと思います。

Q:今年の春闘の時から言われていましたが、まだまだ広がりきっているという感じではないですね。

藤山光雄副所長:
そうですね。これから広がるところを確認しないといけないということだと思います。

(関西テレビ「newsランナー」9月25日放送)

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