9月22日、日本銀行は金融政策を決める会合で、大規模緩和策の維持を決定した。これによって気になるのが私たちの生活に関するお金の話だが、住宅ローンは今後どうなっていくのか?借り時はいつがよいのか?さらに、今注目のエリアとは?不動産コンサルタントの岡原隆裕さんに聞いた。

住宅ローンへはどのように影響する?

日銀の大規模緩和策の維持決定が、私たちの生活にどのように影響してくるのか。

ーー今回の日銀の決定、どのように受け止めましたか?

不動産コンサルタント・岡原隆裕さん:
今までの植田総裁の意見を聞いていると、既定路線かなと思っています

住宅ローンに影響するとなると、これから借りる人もすでに借りている人も気になる。これから金利が上がるのであれば、買うなら早めに買っておいたほうがよいのではと考える方も少なくないと思う。

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そもそも住宅ローンは、大きく分けて固定金利と変動金利の2つがある。固定金利とは、借りた時の金利がそのまま変わらないというもの。対して、借りたあとに変動するのが変動金利だ。

指標となる長期金利の金利が上昇しているため、固定金利の現状は上昇傾向にある。そして変動金利は、現状は横ばい。こちらは指標となる短期金利が維持されているからだ。

固定金利と変動金利 どちらを選ぶべきか

これから住宅ローンを組む場合、どちらを選ぶのがよいのだろうか。

不動産コンサルタント・岡原隆裕さん:
今は変動金利がよいと思います。固定金利と変動金利の乖離幅が大きいためです。変動金利はネット銀行などを見ていると、0.3~0.5%くらいの数字になっています。固定は2%などです

ーーしかし変動金利は変わっていくものですが、それでも変動金利がよいのでしょうか?

不動産コンサルタント・岡原隆裕さん:
はい。変動金利の場合は125%ルールというのがありまして、段階的に金利が上がっていきます。例えば、いきなり0.5%から2%に上がるということはありません。そういった面から見ると、固定金利に追いつくのに時間がかかるので、変動金利のほうがおすすめです

金融緩和に関しては、日銀は現状維持の姿勢を示しているが、金利はいつ上がるのかという点が気になる。これについて岡原さんは、変動金利は2024年春から夏頃にかけて上昇するのではないかと見ている。

不動産コンサルタント・岡原隆裕さん:
植田総裁の発言を聞いていると、消費者物価の上昇に賃金がついてきていないといった発言をしています。ということは賃金が(物価上昇に)追いついてきたら、今より少し金利を上げてくる(と思われる)。固定金利が上がると変動金利も上がってくる。変動金利が上がる時期が2024年春から夏頃ではないかという見立てをしています

ーーそのタイミングで借り時を決めたほうがよいということ?

不動産コンサルタント・岡原隆裕さん:
そうですね。それが一つの選択肢になるかと思います

金利が上がると良いこともある?

金利が上がると困ると考える人が多いと思うが、良いこともある。まず、マイホームの買い時は2024年末から2025年頭ということだ。

ーー先ほどの変動金利が上がる時期より遅れたタイミングですが、これはどういうことでしょうか。

不動産コンサルタント・岡原隆裕さん:
まず、金利が上がると消費者マインドが下がり、不動産の価格が下がるといわれています。そして、住宅ローンを組む際、返済比率というものがあります。約3割前後です。金利が上がると、総支払額の中で元金の割合が下がります。そうすると(住宅の)購入価格は下がる。(金利が上がると)住宅の価格を下げざるを得なくなります

現在は金利が低く住宅価格は高いという状況にあり、そして、金利が高くなると住宅価格が下がるということになる。

ーーどちらが得なのか?

不動産コンサルタント・岡原隆裕さん:
不動産は高価なものですので、1万円や2万円下がるということはなく、100万円単位で下がっていきます。金利の増額分と、購入金額の下げ幅を見比べて、どちらが良いかという考え方になると思います

住宅価格が下がるタイミングと金利が上がるタイミングによって買い時を見極めるということだが、判断が難しい。

不動産のプロが注目するエリア

また、来る買い時に向けて気になるのが、今後注目すべきエリアについてだ。不動産のプロとして岡原さんが関西で特に注目しているのは、兵庫・明石市だという。

不動産コンサルタント・岡原隆裕さん:
明石市は子育て政策が充実しているなど、ファミリー層にとって住みやすい街であること。また、海や山が近いことも人気の理由かと思います

さらに、大阪で注目のエリアは「十三」ということだが、これについては、「2031年(予定)に、新路線“なにわ筋線”の開業で新大阪などへのアクセスが良くなります。単身やDINKsの方に人気になっていくのではないかと考えています」とのこと。現在、タワーマンションの建設が進んでいる十三は、今後より注目されるエリアとなりそうだ。

住宅ローンの借り時、不動産の買い時。いずれも悩ましいが、今後も日銀の政策に注意しつつ、タイミングを見極めていく必要がある。

(関西テレビ「newsランナー」9月22日放送)

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