7月1日、タイ全土のほぼすべての学校が新学期を迎えた。タイの学校は2学期制で、前期は5月から10月まで、後期は11月から3月までとなっている。新学期は当初5月16日から始まる予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大で1カ月半ほど遅れることになった。笑顔で友達と再会した子供たち。教室のそれぞれの机の上にはついたてが置かれるなど、感染予防策が徹底される中での学校再開となった。

「友達と会えてうれしい」

テーブルで朝食を食べる子供たち

バンコク・プラカノン地区にあるワットラッドサッタータン学校。幼稚園児と小学生737人が通うバンコク都が管轄する公立学校だ。この学校は、新型コロナウイルスの流行が広がりつつあった3月6日から閉鎖されていた。再開はおよそ4カ月ぶりとなる。同級生との再会を果たした児童たちは、「友達に会えてうれしい」と口をそろえた。

徹底されている感染予防策

消毒と検温をする子供たち

タイでは、非常事態宣言下にあるものの、新規感染者は国外からタイに帰国した人だけで、市中感染は5月26日以降、確認されていない。日本と比べ、感染拡大は抑え込まれている状況だ。

それでも、取材した学校では、感染予防策が徹底されていた。子供たちが学校に入ると、まず手を消毒し、当番の児童が検温をする。登校後、全校児童が校庭に集まる朝礼はなくなり、代わりにそれぞれの教室で国歌を歌う。以前は1クラス36人前後だったが、「密」の状況を少しでも減らすため1クラス20人以下に制限された。また、教室の机と机の間隔は1m以上の距離が保たれ、それぞれの机の上にはついたても設けられた。

給食も、これまでは食堂に集まってみんなで一緒に食べていたが、それぞれの机で食べるように変更された。体育の授業は、体を動かすことはせず、体やスポーツに関する本を読むことになったという。さらに、休み時間は、全校児童が同じ時間にとるのではなく、重ならないよう学年ごとに時間を分けてとるようになっている。大勢の子供たちが集まる「密」の状態にならないよう、休み時間にも感染リスクを減らす工夫がされている。

互いに距離を保つ幼稚園児たち

赤い枠の中で体操する園児たち

一方、小学校に併設されている幼稚園の遊戯室では、園児たちが友達と距離を保って先生の指示に従い、遊戯を楽しんでいた。床には、1m四方ほどに仕切られたスペースが赤い線で示され、園児たちはそれぞれそのスペースの中から出ないようにして、体操や踊り、お絵かきなどをおこなう。幼稚園の場合、遊戯室以外の教室では、1クラス15人以下に制限されている。

コロナ対策で教員の負担増

校庭に集まった小学新1年生

感染予防策の一環で、子供たちは全員マスクを着用しているが、これらの布マスクは学校から支給されている。授業が終わると、この布マスクは回収され教員が洗濯するという。また、この学校では、「密」を避けるため、1クラスあたりの人数を減らしたことで、全校27クラスから36クラスに増えた。このため1人の教員が受け持つ授業が増え、負担が大きくなっている。

タイでは日本と同様、教員の長時間労働が問題となっていたが、新型コロナウイルス対策によって、さらに残業が増える傾向にあるという。学校は清掃のスタッフを増やすなど、教員の授業以外の業務を減らそうと努めているものの、新型コロナウイルスの流行は、教員の働き方改革にブレーキをかける状況を招いている。

【執筆:FNNバンコク支局 武田絢哉】