アート作品や商品を通して福祉の「ものを作る力」を広めようと、長崎・東彼杵郡東彼杵町に拠点がオープンした。福祉と社会とのつながりを模索する、新たな取り組みだ。
約100種類のアート作品が並ぶ「=VOTE」
東彼・東彼杵町に2023年2月にオープンした「=VOTE(イコールボート)」。
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コインランドリーの跡地を改装した店の中には、約100種類のアート作品やアクセサリーなどの雑貨が並ぶ。
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=VOTE・坂井佳代代表:
私たちの身近でアートを見に行く、買いに行く店が少ないのではというのと、VOTE=投票するという意味がある。消費者に私たちの活動に賛同してもらい、そこに投票するという気持ちで応援してもらえればと思う
作品を手がけたのは障害福祉サービスを利用する県内の障害者だ。事業所のひとつが佐世保市にある。
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2023年佐世保市内に点在していた事業所が集まって新しい社屋を建てた。明るく開放的な作業スペースは「無印良品」を展開する企業が手がけた。約60人の利用者がそれぞれの得意分野を生かして商品を開発している。
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豊島来人さん:
かわいく描きたいし、もっと面白く描きたい
知的障害や精神的な課題があり、一般企業で働くことが難しい人が利用する「就労継続支援B型」の事業所は、2023年5月現在、県内に285ある。
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自立を促すためスタッフは一人一人の技術や特性を生かしながら、自分のペースで働けるようサポートする。
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=VOTE・坂井佳代代表:
1つの会社を皆さんで運営しているイメージで仕事をしているので、部門ごとに職員、スタッフ関係なく配置している。それぞれが責任をもって仕事をしている
利用者全員が能動的に「ものづくり」に関われるよう、作業工程を細かく分けている。
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河谷啓輔さん:
職員の方が最初に方法を教えてくれて、あとはメンバーで創意工夫というか、自分たちが決めたノルマが達成できたら「やった!」となる
贈り物として人気の「方言シリーズ」
商品の企画から製造・販売まで行っていて、長崎らしさを前面に出した商品も生まれた。
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前田泰佑さん:
佐世保ではトビウオのことをアゴという。魚のアゴが突き出ているところを掛けている
方言シリーズはちょっとした贈り物としても人気だ。
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前田泰佑さん:
長崎や佐世保を離れて県外に出ても、ふと思い出してもらえたらと。手にとってくださるお客さんを見ることがあるので、刺激になる
アートを「仕事」にして業界全体の向上へ
商品化する狙いの1つは、給与にあたる「工賃」の向上だ。B型事業所では障害や体調に合わせて自由に働くことができる分、対価が抑えられる。工賃は全国平均で月に1万6,507円、時給にすると233円。
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一方、長崎は(2021年度)平均で1万9,150円と、全国よりも高い水準となっている。アートや創作活動を「仕事」にすることで、業界全体の向上につなげたい考えだ。そのうえで福祉の「ものを作る力」の発信は欠かせない。
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佐賀・鹿島市から:
(作ったのが)障害がある方と聞いたが、それ以上に商品が素晴らしいなと感じた。デザインは何にでも関わってくる。簡単に皆さん入れる入り口かなと。障害者と一緒に共感できればいいなと思う。
長崎・大村市から:
(障害者がすべての行程に関わっていることは)知らなかった。物としてすてきだなと思って見ていた。商品もおしゃれで、「実は福祉につながっているよ」となっている方が、商品の手に取りやすさとか、敷居が低く感じた
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=VOTE・坂井佳代代表:
福祉施設でできたものそうでないもの、どちらにしてもこれが好き、という感覚で選んでもらえるというのが一番良いと思っている
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企業との協業も進めている。これまで捨てられていた木材を活用した商品を作る「アップサイクル」にも取り組んでいる。
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=VOTE・坂井佳代代表:
他の事業所や企業とコラボすることで幅が広がっていくと思う。市場に出していける力を養っていくことが必要なのかなと。色んな人たちがこの取り組みに福祉施設、企業関係なく入ってきてもらい、一緒に何か作りあげることができればいいなと思う
アートを通して福祉と社会をつなげていく。 賛同の輪は少しずつ広がっていて、この仕組みを全国展開できればと考えている。
(テレビ長崎)