秋田県内に甚大な被害をもたらした記録的な大雨から2カ月がたった。生活再建に向けた動きが見られる一方で、住み慣れた家を手放す選択をした人もいる。被害が大きかった地域では、いまだ多くの人が厳しい生活を強いられている。

大雨で甚大な被害…生活に影響

7月14日から降り始めた大雨。

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秋田県内では1人が亡くなり、5人がけがをしたほか、住宅の被害は8,773棟にのぼった。被害額は、農林水産関係が138億円、土木施設が232億円を超えるなど甚大な被害が出ている。

あれから2カ月がたった。

秋田市東通は7月の記録的な大雨の直後、車が乗り捨てられていたり、災害廃棄物が山積みになっていたりと日常の風景が一変した。いまは落ち着いているようにも見えるが、休業を余儀なくされている店があるなど、生活への影響はいまだ続いている。

工事が進められている住宅
工事が進められている住宅

通りから住宅街に入ると、至る所で工事が進められている。
取材に応えてくれた住宅は、床上浸水の被害に遭い、和室2部屋分の畳を廃棄した。

住民は「来年同じような被害が出ると困るから」と、浸水した和室はフローリングにリフォームすることに決めた。

自宅を手放す決断した人も

秋田市楢山地区は周りより土地が低くなっているため、一部は、当時2メートル以上の高さまで浸水。取材に応えてくれた住宅は、床上1.3メートルまで水が上がった。

浸水被害を受けた男性
浸水被害を受けた男性

浸水被害を受けた住民はキッチンを指さし「そっちには食器棚があったが、全部廃棄した。すごかった、泥で」と話す。住民がいま使っているのは、ボランティアから譲り受けたり、中古店で購入したりした家電や家具だ。

住民:
業者が忙しくて見積もりに来ないので、保険の金額と工事の金額で施工できるかできないか判断できない。それによっては、ここを諦めて他に行くか、直すかを判断しようかと思っている。覚悟するしかない、手放すとすれば。浸水した直後のすごい状況をもう一度経験するというのは絶対嫌だから

地区住民の中には、長年住んでいた家を手放す人が出ている。

楢山町内会・伊藤達男会長:
家をつぶしてしまう、たたんでしまうという人が5軒ほどいる。町内から離れていくのは非常にさみしい

“復旧し、生活の再建を” 課題は山積

地区に残った住民は気力を振り絞るが、課題は山積みだ。乗り越えなければならない壁は、2カ月たったいまも高く立ちはだかっている。

楢山町内会・伊藤達男会長:
生活していくために必要な必需品が、どんどんなくなっている状態なので、それを元の生活を取り戻すためには、充実させていかなければならない。早くリフォームをして冬を越したいという人が圧倒的に多いが、いま大工さんが忙しくて簡単に来られないので、そこが一番心配しているところ

住宅の改修には、自治体の支援金を活用する人が多いが、被害の規模によって金額が異なる。
自分が想定していた被害規模と査定結果が異なり、思っていたよりも支援金がもらえず、落ち込んでいる人もいるという。
生活再建に向けた動きは進んでいるが、経済面と時間が大きな問題になっている。

(秋田テレビ)

秋田テレビ
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