湯気が立ち昇るスープに麺、チャーシュー、味玉。日本人の国民食とも呼ばれるラーメンだが、2023年は年間最多ペースでラーメン店の倒産が増加しているという。
原材料費が高騰 電気・ガス代は1.5倍に
埼玉・越谷市のラーメン店を訪れると、ランチタイムの店内は客でいっぱいになっていた。

濃厚な豚骨ラーメンで、オープンから多くのファンを虜にしてきた「ら~めん破ぐん星」。男性客は「週1は必ず来る、5年間。大好きです」と話す。
しかし、店の入り口には「閉店のお知らせ」と書かれた張り紙があった。9月いっぱいで閉店するというのだ。

店主 中純一さん:
2~3カ月前から(閉店するか)ずっと悩んでいて。来てくれるお客さんいるので、簡単にすぐ辞めるとは決断できなくて…。
閉店を決断した一番の理由は、麺をはじめしょうゆ、メンマ、背脂など原材料費の高騰だという。

店主 中純一さん:
電気代は1.5倍とか、ガスも同じくらい上がりました。大体(原価率)3割で抑えていたのが、4割近くから4割以上になってきてしまった。

2023年3月に値上げをし、人件費も削るなどギリギリの努力をしてきたが、ついに営業継続が困難な状況になったという。
すでに去年1年間を上回る倒産数
常連客らは、5年間週1で楽しんできた味が9月限りとなることに、「閉店のお知らせって書いてある!と衝撃でしたね。まさか」「このラーメンは他では食べられないので、超大ショックです。なんで、こんなにおいしいのに…」と落胆を隠せない。
ラーメン店が置かれた厳しい状況は、数字にも現れている。

東京商工リサーチのデータによると、2023年1月から8月までのラーメン店の倒産は28件。すでに2022年1年間の倒産数21件を上回り、2021年の年間倒産件数と並んでいる。このペースで推移すると、2019年の41件を超える可能性があるという。
食のビジネスに詳しい専門家は、ラーメン店の倒産急増について次のように分析する。

消費経済アナリスト 渡辺広明氏:
ラーメン屋はコロナ前から、新規開店したら3年で8割以上つぶれるという、大変厳しい業態なんです。ただしコロナ禍は、時短協力の補償金や雇用調整助成金などがあったので、経営が保たれている場合があったんです。補助金が終わった後に、閉店を決断したところが多くなっているのではないかと思います。
(「イット!」9月14日放送)