独立プロ野球の「火の国サラマンダーズ」は優勝までのマジック“1”で迎えた9月8日、大分B-リングスを破り、九州アジアリーグ3連覇を果たした。チームの主砲と、その活躍を陰で支えた妻の思いを取材した。

元ヤクルトスワローズの中山翔太選手

サラマンダーズの4番・中山翔太選手(26)は元東京ヤクルトスワローズで右の長距離砲として活躍した。

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しかし2022年に戦力外通告を受け、熊本での現役続行を決意した。

客席で見守る妻のミシェリ愛由美さん
客席で見守る妻のミシェリ愛由美さん

中山選手の妻・愛由美さんも関東から熊本に移り住み、プロ12球団復帰を目指す夫の試合を見守る。

妻・ミシェリ愛由美さん:
夢というかNPBに戻ることをあきらめずに、本人が頑張るなら私も熊本で頑張ろうという、その思いだけでした

愛由美さんは今シーズン、中山選手の全打席で動画を回している。

火の国サラマンダーズ・中山翔太選手:​
「昨日とこう違うよ」とか言ってもらって、そこで自分で気づくことが結構あって、それで次の日につなげてるという感じ

妻の支えもあり、中山選手はここまでチームトップタイの6本塁打を放っている。

優勝かかった大分B-リングス戦

9月8日の優勝のかかった大一番、先手を取ったのはサラマンダーズだった。

3回、ワンナウト3塁1塁のチャンスで3番・アルバレス選手がショートの頭上を破りレフト前へ、ランナーが2人生還。2塁を狙ったアルバレス選手は惜しくもアウトになったが、サラマンダーズが2点を先制した。

サラマンダーズの先発は松江優作選手(23)。序盤は制球が定まらなかった。

4回、フォアボールのランナーを1塁において、大分B - リングスの川上選手に手痛い一発を浴びた。たちまち2 - 2の同点とされた松江選手だったが、「気持ちをぶつけた」と立ち直りを見せた。

ホームランの後は丁寧に低めを突き、2者連続三振で味方の反撃を待った5回、フォアボールで出たアルバレス選手が連続盗塁。ワンナウト3塁のチャンスで4番の中山選手に打席が回ってきた。

妻の願いと力投に4番がバットで応える

場内アナウンス:
4番・ライト中山翔太~!

ーードキドキですね?

妻・ミシェリ愛由美さん:

気が気じゃないですね

妻の願いと松江選手の力投に4番がバットで応え、勝ち越しのタイムリーを放ち、3 - 2とサラマンダーズが再びリードした。

試合後、中山選手は「厳しい試合だったので、ここで何とか僕が一本打ってチームに流れをと思っていた」と、打席に立った思いを語った。

妻・ミシェリ愛由美さん:
かっこいいです。はい、かっこいいですね

サラマンダーズはこのあと9番・キャプテン高山選手、1番・晴樹選手の長打などで着実に追加点を挙げ、6 - 2とリードして最終回を迎えた。

最終回は元広島カープの山口翔投手

マウンドを託されたのは、元広島カープで熊本工業出身の山口翔投手(24)。

大分打線を相手に、この日は全てまっすぐで勝負を挑んだ。自己最速に並ぶ154km/hを連発する圧巻のピッチングで2者連続の三振を奪った。優勝、そしてリーグ3連覇まであとアウト一つ、ラストボールもストレートだった。

火の国サラマンダーズ・山口翔投手:
ガッツポーズは「優勝だ!」っていう思いが自然と体から出ちゃったので、最高の気分でした。一番の強みのまっすぐがさらに強くなってるので。最後まであきらめずにプロ(12球団)を目指して、もう一回はい上がりたいと思います

火の国サラマンダーズ・中山翔太選手:
もう一度、夢であるNPB(12球団)復帰に向かって精いっぱい頑張る。妻と最高の景色を見ようという、その2人の気持ちだけですね

グランドチャンピオンシップに出場へ

3連覇を果たした馬原監督は、選手たちの手で3度宙に舞った。

火の国サラマンダーズ・馬原孝浩監督:
やりました~!昨年度の(独立L)日本一の優勝杯を持っておりますので、愛媛に行って、日本一になりすぐまた持って帰ってきます。今日は本当にありがとうございました!

九州アジアリーグで3年連続3回目の優勝を果たした火の国サラマンダーズは、9月29日から愛媛・松山市で行われる日本独立リーググランドチャンピオンシップに出場する。
サラマンダーズは30日の準決勝・第1試合からの登場だ。

(テレビ熊本)

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