ふるさと納税といえば、工夫を凝らした返礼品が魅力のひとつだ。鹿児島・大隅半島の鹿屋市に登場した返礼品は、なんと牛1頭! 1500万円寄付すると、好きな黒毛和牛を1頭分プレゼントするという。その狙いはどこにあるのだろうか?

1500万円の寄付で驚きの返礼品

9月6日、鹿屋市役所・ふるさとPR課を取材すると…。

異様な雰囲気の鹿屋市役所
異様な雰囲気の鹿屋市役所
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牛肉模様の法被を着たり、角が生えたかぶり物に黒い覆面の職員がいたりと、異様な雰囲気。これは一体!?

かぶり物をした鹿屋市役所担当職員
かぶり物をした鹿屋市役所担当職員

鹿屋市役所担当職員:
この格好は鹿屋の黒毛和牛を見立てています。9月6日は黒(くろ)の日なんで、このような格好をしてきました。今回、鹿屋市の事業者さんがすごい返礼品を作ってくださったので、担当として何かできないかと思いましてこのような表現になりました

地元特産の黒毛和牛をPRしようと気合十分。そんな鹿屋市の目玉となる新しい返礼品が「黒毛和牛1頭まるごと」だ。

新しい返礼品はなんと牛1頭
新しい返礼品はなんと牛1頭

1,500万円寄付すると返礼品として牛舎から好きな牛を選び、それがもらえる!というものだ。

「命を頂く」とは 返礼品に込められた思い

返礼品を手がける鹿屋市の焼き肉店
返礼品を手がける鹿屋市の焼き肉店

今回、鹿屋市の焼き肉店が返礼品を手がけた。直営農場で約5000頭の黒毛和牛を飼育し、毎月約250頭が出荷されている。

うしの中山・荒木真貴専務
うしの中山・荒木真貴専務

うしの中山・荒木真貴専務:
去勢とメスというのが違いますし、それによっては肉質も変わってきますので、その辺から納税者にまず話をして。血統や格付けも話をして、勉強してもらいながら選んでいただくようにしています。

好みに合わせて肉のプロと一緒に選ぶというとっておきのプラン。同時に、牛1頭を自分で選ぶという体験には、生産者としての思いもあった。

返礼品への思いを語る荒木専務
返礼品への思いを語る荒木専務

うしの中山・荒木真貴専務:
肉だけ見るんじゃなくて、処理されて皆さんの手元に届くまでには、彼らの命を頂かなければならないというシーンが来るわけで、それを真剣に考えるきっかけにもなるかなと思いました

込められた願い「牛たちに感謝を」
込められた願い「牛たちに感謝を」

「命を頂くということに触れてほしい…」。最近は、人気のロース以外の部分が余る傾向にあるため、1頭分をまるごと余すことなく食べ、牛たちに感謝しようとの願いも込められている。

荒木専務
荒木専務

多くの消費者にとっては肉が出荷され手元に届く、というのが普通だが、荒木専務は「牛さんの生体を見て、牛さんがどうなって皆さんの手元に届くのかまでを、ストーリーを持ってお届けしたい」と話す。

モモは110kg! “牛1頭”合計すると…

ところで、牛1頭分とはどれくらいの量なのか。

牛1頭 合計すると約300kg分に
牛1頭 合計すると約300kg分に

肩ロース60kg、サーロイン20kg、バラ150kg、モモ110kgなど、あわせて約300kgにもなる。「ステーキで食べたい」「焼き肉で食べたい」などオーダーに応じたカットも可能で、300kgがまとめて届けられる。

ふるさとPR課の平川陽祐さん
ふるさとPR課の平川陽祐さん

鹿屋市役所ふるさとPR課の平川陽祐さんは、「会社のちょっと変わった福利厚生だったり、社内の感謝祭とか、そのようなイベントに使ってもらうのもよいと思っています。返礼品の特徴から月1頭とさせていただいていて、早い者勝ちというところで、どしどし寄付をしてほしいと思っています」と語る。

黒毛和牛を1頭味わう新しい体験。意外性と話題性で、寄付者の心をもつかむ、スケールの大きな“驚きの”取り組みだ。
(鹿児島テレビ)

鹿児島テレビ
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