北九州市のZ世代のグラフィックデザイナーが、地域の飲食店や商店街に活気を取り戻そうと、飲食店のユニークな“大将”をモチーフにトレーディングカードを製作した。
実在する飲食店の“大将”がカードに
JR小倉駅の構内に設置された“ガチャガチャ”。「何出た?凄くないない?」「プレミアつくんじゃない?」などと大人が夢中になっているのは、1回100円でランダムにカードが出てくる『カードガチャ』だ。

カードには、『満面の笑みで手を合わせる男性』や『ピンク色の短髪にサングラス姿の女性』が描かれている。一体、誰なのか?「もしや有名人?」などと思いつつスタッフに尋ねると、「実在する飲食店の『店主』」なのだという。

カードは、何と飲食店の『店主』をモチーフにしたもの。考案したのは、北九州市内のデザイン事務所に勤務しているグラフィックデザイナー、栗山友良さん(21)。
グラフィックデザイナーとしてのスキルを生かして手掛けているのが、飲酒店の店主を描いたその名も『大将カード』だ。

カードには、インパクトのある店主のイラストに加え、店名や概要、客の平均単価などの情報も載っている。

店を回ってカードの“主人公”探し
栗山さんは、生まれも育ちも北九州市。地元の飲食店を元気にしたい、もっと市内の飲食店の魅力を広く伝えたいと考え、自分で30軒以上の店を回った。実際に食事もして『大将カード』にする店を選んだと話す。

更に、「外に行って食事するというのは、お店の雰囲気や飲食店で働いている人達の人柄だったりするのかなと思い、そこにフォーカスして『人柄が分かるカード』を作ることにした」と製作の狙いについても語る。

この日、栗山さんは、完成したカードを手に小倉北区の『寿司処 和さび』へ。モチーフにした店の『大将』に見せに行くのだという。

その日にあがった天然物の新鮮なネタやバッテラが人気の店。栗山さんは、やや緊張気味に出来上がったカードを見せると「若い人の発送がね、面白いなと思って」と大将の日高睦男さんも気に入ってくれた様子だ。

続いて訪れたのは、赤いのれんが目印の『小倉食堂』。大将の三浦京子さんの肩書は、『空腹救世の女帝』。

「どっちがいいですか?女神と女帝」と栗山さんが尋ねると、「女帝もいいですね」と三浦さんが笑顔で答える。

この『大将カード』には、ゲームとして楽しめる要素も盛り込まれている。カードそれぞれに『技』があり、三浦さんの技は、『お腹いっぱいにさせ、戦意喪失』させること。

店のカウンターには、お皿から溢れんばかりの様々なお総菜が、ずらり。日替わり定食を頼むと、このお総菜が、プレートに盛り放題だという。

「初めて店に来たのに、凄く温かく迎え入れてくれて、『はじめまして』なんだけど、凄く落ち着く空間だったから」と三浦さんを『大将カード』に加えようと思った理由を栗山さんは、思い出すように語った。
Z世代のアイデアを北九州市が応援
『大将カード』をきっかけに街に賑わいを取り戻したい!そう考えていた栗山さんは、2025年8月、北九州市の活性化を目指し開催された『Z世代はみだせコンテスト』に応募。

若者の自由な発想を全国から公募していた北九州市は、栗山さんのアイデアを採用し、市が補助金で栗山さんの取組みを支援することになった。

「今まで商店街とか飲食店の支援というのは、北九州市としてもやってきたが、そこにカードゲームだったり、大人じゃ考えつかないZ世代らしいアイデアということで採択された。若い人にも興味を持ってお店に足を運んでもらうことに繋がると信じています」と『北九州市Z世代課』の柏木佳奈子課長は栗山さんに強い期待を寄せている。
いよいよ『大将カード』お披露目の当日。北九州市が主催したイベントの一角に『大将カード』のブースが設けられた。

ブースを訪れた人達が、楽しそうに“ガチャガチャ”を回していく。「『誰のカード持ってる?』とか、自分のカードを友達と見せ合って、街に繰り出すきっかけになるかな」と話す男性。自分がアルバイトをしている店のカードが偶然、出てきた女性は、「バイト先です、嬉しいです!帰ってオーナーに見せます!」と目を輝かせていた。評判は上々だった。

『大将カード』は、現在14種類。栗山さんは、これからもカードにする店舗数を増やしていきたいと意気込む一方、「シリーズ化できたらいいなと思います。『僕の街でもやってくれない?』みたいな感じで依頼が来たら本当に嬉しい」と今後の活動に手応えを感じていた。

北九州市で誕生した『大将カード』。JR小倉駅前のショッピングモール『セントシティ』で、3月11日から期間限定で販売されている。
(テレビ西日本)
