大分県の北東部、瀬戸内海に浮かぶ人口1600人ほどの島「姫島村」。この姫島村で、国の選択無形民俗文化財に指定されている「姫島盆踊り」が4年ぶりに開催された。一方、少子化で人気の踊りが実施できないという事態も…

「島が沈む」人口の倍以上の観客が

大分県の北東部、瀬戸内海に浮かぶ人口1600人ほどの島「姫島村」。年に1度、「姫島盆踊り」の時期には、島の人口の倍以上の観光客が訪れる。

キツネに扮した子どもたちが可愛らしく踊る人気の「キツネ踊り」をはじめ、創作踊りやアヤ踊りなど、地区ごとに趣向を凝らした踊りが観客を魅了。鎌倉時代の念仏踊りが起源とされていて、国の選択無形民俗文化財にも選ばれている。

新型コロナウイルスの影響でことしは4年ぶりの開催。それぞれの地区の踊り手がユーモア溢れる踊りの数々を披露し、以前と同様の盛り上がりを見せていた。「島が沈む」といわれるほど観客が集まるこの盆踊り。ことしも県の内外から多くの観光客が訪れていた。

姫島盆踊り
姫島盆踊り
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可愛いらしく人気の「キツネ踊り」

盆踊りの最後を飾ったのは、おなじみ、キツネ踊り。北浦地区の踊りで、白塗りの顔に赤いひげを描いた子どもたちが太鼓の音に合わせて踊る。可愛らしいキツネのしぐさに観客から大きな拍手や歓声が送られていた。

キツネ踊り
キツネ踊り

タヌキ踊りには少子化の影響…

コロナ禍前と変わらぬ盛り上がりを見せた島の伝統行事。しかし、ことしはある変化が…。

島内の大海地区では子どもたちがタヌキに扮するタヌキ踊りが有名だが、ことしは開催を断念したという。

タヌキ踊りは、タヌキに扮した子どもがお腹をさするなどして踊るユーモア溢れる人気の踊りのひとつで、40年ほど前にキツネ踊りに対抗しようと考案された。

タヌキ踊り(2017年)
タヌキ踊り(2017年)

しかし、踊りを行う大海地区では少子化で子どもが5人ほどしかおらず40年ほど続いたタヌキ踊りをことし初めて断念した。大海地区によると、踊りには少なくとも子どもが10人は必要としている。

地区の人からは寂しいという声の一方、子どもが少なくなっているから仕方ないという声も聞かれた。

大海地区の男性は、
「子どもが増えることがないので、おそらく来年以降もないと思う。正直仕方ないと思う」と話す。

大海地区
大海地区

他の地区でも子どもが少ないため、ことし踊りを一部取りやめる事態に陥っていて、村によると例年1日に20ほどの踊りが披露されるが、ことしは15の踊りに留まっている。

4年ぶりに島ににぎわいをもたらした伝統行事。その一方で、伝統をいかに繋いでいくかが課題となっている。

(テレビ大分)

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