石川県津幡町出身で二所ノ関部屋の大の里が2023年の名古屋場所で勝ち越し、十両へのスピード昇進を決めた。会見ではふるさとへの思いも語った大の里。大の里を育て上げた父や恩師にも話を聞いた。

わずか2場所で十両にスピード昇進

十両への昇進が決まった大の里は「いい知らせを聞けて、とにかくホッとしている。嬉しい気持ちが一番です」と喜びを噛みしめた。

大の里
大の里
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石川県津幡町出身の大の里は日本体育大学に入学し、2年連続でアマチュア横綱に輝いた。2023年5月に幕下十枚目格付け出しとして初土俵を踏んだ。幕下三枚目で臨んだ名古屋場所では4勝3敗と勝ち越し、初土俵から2場所での十両昇進となった。同じく石川県出身の遠藤関と同様に、異例のスピード昇進だ。

日本体育大学の卒業式
日本体育大学の卒業式

「名古屋場所は『決めな、決めな』って自分で自分を追いつめていた場面がありましたが、1日でも早く関取に上がりたい一心でずっと稽古してきた。ここからがスタートラインで、まだ髷も結えていないので、謙虚に頑張っていきたいと思います」と新十両は気を引き締めている。

被災した故郷に「明るいニュースを」

二所ノ関親方は「1つ目標が叶って非常に嬉しい。相撲に関してもまだまだ伸びしろがある。まだ完成されていない感じなので、他の力士よりも厳しい稽古をやれるかが、これからの出世にかかってくるかなと思いますね」と激励した。

二所ノ関親方
二所ノ関親方

また会見で大の里は、豪雨で大きな被害を受けた地元の石川県津幡町について「名古屋場所中に津幡町が豪雨で浸水があったり暗いニュースばかりだったので、僕が昇進して明るいニュースを地元に届けられて嬉しい。良かったです」と故郷への思いを語った。

父と恩師が語る大の里の優しい人柄

十両昇進の報せを受け、向山侑希アナウンサーが大の里の地元、石川県津幡町を訪ねた。話を聞いたのは大の里の父、中村知幸さんだ。

大の里の父、知幸さん
大の里の父、知幸さん

2023年7月22日に名古屋場所で最後の一番を見に行った知幸さんだったが「勝ったら話しかけに行って、負けたら黙って帰ってこようという思いで見に行きました。本人はびっくりしていましたね。『えっ、おったの!?』って」と、微妙な距離感を保っていたようだ。向山アナが「勝ち越しの瞬間を見てどうでしたか?」と尋ねると、「嬉しかったですね。とりあえず一人前のお相撲さんになれたということで、ホッとした感じですね」と嬉しそうに話してくれた。

知幸さんは息子の成長を振り返り「尊敬しますよ、本当に。小学生で県外に出て行って、結果を残して帰ってくるなんて。夢の話かなと思っていたら、本当に実現して帰ってくる。すごい男だと思いますよ」と誇らしげ。今後については「スピードじゃなくて最終的にどこにいるかが大事だと親方も言っているので、最後は一番高いところにいてくれたら嬉しいですね」と我が子の飛躍を楽しみにしている。

小学生時代の大の里
小学生時代の大の里

小学校時代の大の里に相撲を教えたコーチの長井恒輝さんは「初めて町内から関取が誕生した。私が教えている相撲教室の卒業生ということで嬉しさが込み上げています」と話す。

長井恒輝さん
長井恒輝さん

2022年には、大の里が相撲教室に顔を出してくれたそうだ。大の里の本名が中村泰輝(なかむら だいき)であることから「子どもたちも泰輝さんと呼んで、近い存在なのでみんなも応援してくれる。彼のいいところかなと思いますね」と、長井さんは大の里の親しみやすい人柄を語った。

相撲教室を訪れた大の里
相撲教室を訪れた大の里

2023年8月には金沢などで地方巡業に参加した後、9月の秋場所に臨む新十両の大の里。「誰からも愛される関取になりたいですし、小さい子が『大の里みたいになりたい』と憧れを持たれるような力士に向けて、今後頑張っていきたい」と活躍を誓う。

(石川テレビ)

石川テレビ
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