連日厳しい暑さが続いている。熱中症リスクの中で、特に命の危険が高まるのが、炎天下の車内に子どもやお年寄りが取り残される状態だ。短時間だからといって油断すると思わぬ事故につながる恐れがある。その危険性を取材した。

 “キー閉じ込み”での救助要請は2022年に27件

7月に入り、日中の最高気温が30度を上回る日が続き、沖縄本島地方をはじめ各地で熱中症警戒アラートが出されている。県内では2023年7月16日までの1週間に、この夏で最も多い93人が熱中症で救急搬送された。

暑い日が続き、車で移動することも多い中注意したいのが「キー閉じ込み」だ。

「キー閉じ込み」とは、車のカギを車内に残したままドアがロックしてしまい、開けられない状態のことをいう。

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この「キー閉じ込み」により、子どもが暑さで命を落としかねなかった現場に遭遇し、救助したのが、JAF(一般社団法人 日本自動車連盟)の平良克哉さん。

JAF 平良克哉さん:
(車に)毛布をかけて、さらに水をかけてというような状態もありました。車内に取り残されている子どもがまだ元気で泣いているような状態だったのでよかったです。それを確認して急いでカギを開けたので、大事には至りませんでした

一般社団法人 日本自動車連盟(JAF)によると、子どもを車内に残した「キー閉じ込み」での救助要請は、2022年の1年間では27件で、7月、8月の2か月で8件発生している。

2023年は、まだ夏場の期間での要請はないが、1月から6件発生している。

エアコン停止後わずか15分で危険レベル

JAF 平良克哉さん:
窓ガラスも閉まっていてエンジンが止まっている状態なら、車内の温度が上昇し、熱中症の危険が生じます

「キー閉じ込み」の危険性について知ってもらおうと、JAFは実験動画を公開している。

実験では、気温35度の炎天下で駐車した車内の暑さ指数は、窓を閉めきった状態において、エアコン停止後わずか15分で危険レベルに達した。

県内では、保育園の送迎や買い物の際に、寝ていた子どもを起こすのがかわいそうという理由で車に残し、戻ってくるとカギが開かないという状況があるという。

また、おもちゃ代わりでカギを渡し、遊んでいる拍子に「キー閉じ込み」が起きてしまうこともあるそうだ。

子どもを車内に残して離れないで 熱中症になるリスクは一分一秒を争う

沖縄テレビも独自で検証してみた。

沖縄テレビ 髙良琉海子 記者:
現在、手元の温度計は32度です。これから、「キー閉じ込み」が起きたことを想定して、実際に車内の温度を検証してみたいと思います

25度にエアコンを設定した車内に温度計を置き、24度になったところで検証スタート。

使用した温度計は、暑さ指数に応じて顔が表示されるが、検証前の24度は注意レベルだった。

検証から15分たつと、車内の温度は5度上昇し30度になり、暑さ指数も熱中症「警戒」レベルになっている。

さらに15分たつと、車内の温度は35度になり、およそ30分で暑さ指数が熱中症「厳重警戒」レベルに達した。

沖縄テレビ 髙良琉海子 記者:
車内の温度を確認したいと思います。けっこう温度が上がっていますね。いま手元の温度計で37.3度です

撮影を準備しているわずかな間でも、車内の温度は上昇し、最終的に熱中症「危険」レベルに達した。

熱中症になるリスクは一分一秒を争う。

もし「キー閉じ込み」が起こってしまった場合は、どうすればいいのだろうか。

JAF 平良克哉さん:
もしお子さまを車内に閉じ込めてしまった場合は、自分でどうにかしようという親御さんも多くいるのですが、躊躇(ちゅうちょ)せず速やかにJAFへ要請依頼と119番への出動要請を行ってください

JAFは、子どもを車内に残して車を離れることがないように注意を呼びかけている。

(沖縄テレビ)

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