秋田県内各地に被害をもたらした大雨は、観光業界にも影響を与えている。コロナ禍からの巻き返しを目指す宿泊施設が打撃を受けた。現状を取材した。

コロナ禍の巻き返し図る矢先の記録的大雨

秋田市添川の「秋田温泉さとみ」。

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今回の記録的大雨では、2kmほど離れた場所で土砂崩れが発生し、住宅など4棟が巻き込まれたほか、周辺の道路が冠水した。

施設は、一歩手前まで危機が迫ったものの、幸い浸水などの被害は免れた。

一方で、各地で被害が起きたことに加え、秋田新幹線が運休した影響で、7月15日から18日までの間に約300人からキャンセルの連絡が入った。宿泊客の数が、ほぼコロナ禍前の水準に戻り、これから巻き返しを図ろうという矢先の災害だった。
7月1日に就任したばかりの下河良社長は、肩を落としている。

秋田温泉さとみ・下河良社長:
8月がハイシーズンになるので、秋田は危険な場所という風評被害などでキャンセルが続かないか、非常に心配

余った食材の活用も…苦しい状況下で地域に貢献

予約客のキャンセルが相次いだことから、大量の食材が余ってしまった。

食材を有効活用するため急速冷凍し保存する
食材を有効活用するため急速冷凍し保存する

余った食材はなるべく廃棄するのを防ぐため、急速冷凍して冷凍保存する。
通常の冷凍庫よりも温度が低い約氷点下60度で保存することで、食材がより長持ちするという。

運営するデイサービスの食事に回すなど、食材を有効活用できるよう工夫している。

観光やビジネス目的の客からキャンセルがあった一方で、自宅が浸水した人や交通機関の運休で秋田から県外へ戻れなくなった人からの予約が増加。下河社長は、苦しい状況ではあるものの、地域に貢献できていると感じている。

秋田温泉さとみ・下河良社長:
地元の企業なので、地元の人に使ってもらえるとありがたい。コロナ禍も明けてきたので、旅館としては観光業を盛り上げていきたいと思う

(秋田テレビ)

秋田テレビ
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