四国4県が早期実現を目指す四国新幹線。5月に四国4県が、岡山から四国に入るルート「岡山ルート」で一致し、「岡山ルート」という言葉が、6月にニュースやネットで話題になった。四国新幹線は実現するのか?

新幹線が瀬戸大橋を走る?

香川県・池田豊人知事:
岡山ルートを優先的にやっていくのはいいこと。心強い

この記事の画像(16枚)

6月5日、香川県の池田知事は「岡山ルート」を歓迎する意向を表明した。香川県が大きな関心を持つ「岡山ルート」の正体は、四国新幹線の構想だ。

四国4県が早期実現を目指す四国新幹線。関西から淡路島を経由し徳島県に入るルートと、岡山から四国に入るルートの2つが検討されてきた。これまで徳島県だけが淡路ルートを支持していたが、5月に方針転換したため、4県の方針は「岡山ルート」で一致した。

「岡山ルート」が実現すれば、新幹線は瀬戸大橋を走る。実は、35年前に開通した瀬戸大橋はすでに新幹線を想定して建設されていた。

在来線の線路の隣には、新幹線が通る事を想定したスペースがある。

また、香川・宇多津町には新幹線の駅のための場所も確保されている。新幹線を受け入れる準備はできているのだ。

しかし夢のようなこの話、本当に実現するのだろうか?

香川県民は、四国新幹線の実現をどのように考えているのか聞くと「難しいんじゃないですか」、「人口も多くないので」、「莫大(ばくだい)なお金がかかりそう」、「私の生きている間は無理」、「実現すると思う。してくれたらありがたい」と様々な声が聞かれた。

高松市内で50人に聞いたところ、「四国新幹線は実現する」と答えた人は13人、「しない」と答えた人は37人だった。

一番の課題は「県民の理解」

多くの香川県民が「無理筋」と思っている四国新幹線。しかし、地元経済界は本気で実現を願い、活動を続けてきた。

香川経済同友会:佐藤哲也代表幹事:
関西圏まで1時間半になる。今が2時間半。この1時間は大きい。関西が通勤圏になる

各方面に四国新幹線の実現を働きかけ、新幹線をイメージした応援キャラクターも登場させた。

ここまで本気になるのは、四国の行く末に不安を抱えているからだ。四国では、人口減少が全国に先駆けて進行するとみられている。高齢化のペースも全国を上回る。

香川経済同友会・佐藤哲也代表幹事:
まずはやろうとしないと。諦めたら終わり。今後の四国のビジョン、リスクも含め考えないと

四国新幹線の事業費は概算で約1.6兆円。莫大なコストはもちろんだが、一番の課題は、岡山県の理解だと佐藤さんは言う。というのも、瀬戸大橋から岡山駅まで、新幹線の線路をつくらなければいけないからだ。

香川経済同友会・佐藤哲也代表幹事:
建設には岡山県民のご協力が必要。一番は住民(の理解)

まだ具体化にはほど遠いものの、新幹線の計画には四国の地盤沈下を食い止めるためにただ見ているだけではいけないという思いが込められている。

一方、岡山にもメリットがあるという意見もある。ネット上には、「交通網がますます発達した岡山が、日本の首都になるかもしれない」という記事が上がり、多くのコメントが寄せられるなど、高い関心が集まった。

四国新幹線の構想は、ただの“夢物語”で終わらせるのではなく、岡山県・香川県の未来を真剣に考える“一つのきっかけ”にするべきと感じた。

(岡山放送)