2023年5月27日に岡山・津山市にある橋(昭和町1号橋)で自転車に乗っていた男性が橋から転落し、死亡する事故が起きた。今回、現場を検証取材したところ、“危険な橋”のさまざまな事実が明らかになった。

階段が見えない…見え方が違う橋

津山市中心部の国道53号から少し入ったところに、事故のあった「昭和町1号橋」がある。

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5月27日、岡山市に住む50歳の男性は、早朝、自転車で自宅を出発したとみられる。約70kmの道のりをサイクリングし、正午過ぎ、津山市中心部に近いこの橋を渡り終わったところで、高さ1メートルほどの段差から道路に転落、全身を強く打って死亡した。

実はこの橋、自転車の進行方向から見るのと逆から見るので、まったく見え方が違う。

男性が走ったとみられる道を自転車で確認した。吉井川沿いの景色が美しい遊歩道。緩やかにカーブしながら橋に入っていく。すると…。

段差の直前に来るまで、階段があるのがまったく見えなかった。

もう一度、自転車に乗った目線で見てみると、段差が見えないだけでなく、目の錯覚によっては、交差する道と橋が、水平のように見えることがわかる。

地元の人に聞くと、「事故は今回が初めてではない」という。

地元の人:
車が落ちたりもする。ナビで誘導するのでは。夜中に何回か落ちた

橋は延長約12メートル、幅2メートル。軽自動車なら通ることができる。過去に県外ナンバーの車が迷い込み、落ちたことが何度かあったという。

現場でスマートフォンのナビを設定してみると、歩行者の設定では、この橋を通るルートが出てきた。

ーー地元の人も危険は認識していた?

地元の人:
危険は認識していた

にもかかわらず、橋に注意を呼びかける看板などはない。

段差の前にはかつて“防護柵”があったという。穴は残っていたが、柵はずいぶん前に撤去されたということだった。

地元の人:
小学校の通学路にもなっていたので外したのか、いつの間にかなくなっていた

事故増加の原因に 市が対策を検討

橋の管理はどうなっていたのか?津山市役所の都市建設部を尋ねた。

この橋は、昭和50年代後半ごろ作られ、近くの小学校の通学路になっていた。ただ、「防護柵がいつどうして撤去されたのかはわからない」ということだった。昔の航空写真をみると、橋の周辺の遊歩道などは今ほど整備されていない。

警察では、自転車ブームで昔からの地元の生活道に外から入ってくることが増えているとみて、対策を検討している。

津山警察署・原田洋平副署長:
県内外から(自転車で)入ってくるという事実はあると思う。そういう方が事故にまきこまれないためにいかにしていくか。事故が起きた事実を重く受け止め、できる対策をしっかりとっていく必要がある

津山市と警察が現場を検証

事故から11日たった6月7日、道路管理者の津山市は警察と合同で現場を点検した。再発防止のための点検で、県警の交通事故分析官や津山市都市建設部の職員が橋の状況を詳細に確認した。

そして階段の前には、仮の措置として、「この先階段あり」と表示された三角コーンが置かれた。

この日は、「自転車に乗って入れないよう、防護柵をいくつか設置したほうがいい」などの意見が出され、今後、市は警察と協議して設置を急ぐとしている。

今は自転車ブーム。小回りが利き、スピードが出るものも増えている。一方、それを想定していない昔からの道路設備も多々あるだけに、早急な対策が求められる。

(岡山放送)

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