農業県の岡山で多発している用水路転落事故。全国的にもニュースになり、対策もとられているが、あまりの用水路の多さに対応が追いついていないのが現状だという。なぜ転落事故が相次いでいるのか? その理由を探った。
相次ぐ用水路転落事故
2022年7月に用水路転落事故があった現場。夜になるとあたりは真っ暗だ。女性は午前2時過ぎ、この細い道を自転車で走っている時に、誤って用水路に転落し、亡くなった。
![事故があった現場 夜になると真っ暗に…](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/4/b/700mw/img_4be7baed956b0a2f0dde256217a80a71225735.jpg)
亡くなったのは、アルバイト先に出勤中の当時53歳の女性。
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岡山・中区倉田の市道に沿って流れる深さ1メートル、水深当時50cmの用水路。女性は何らかの理由で転落し、溺れて亡くなった。
あたりは田園地帯で事故の後、反射材がつけられたが、夜は真っ暗だ。
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事故は街中でも。倉敷駅に近い老松町では2022年12月17日午後9時過ぎ、帰宅中の54歳の女性が自転車で用水路に転落した。死因はやはり溺死だった。
![事故があった現場の夜の様子](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/b/4/700mw/img_b492950b9de32e5fd0c488ab42da0741222295.jpg)
街中とはいえ、夜になれば周辺は真っ暗になる。
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岡山県警・神門敦交通事故抑止対策官:
当時はガードパイプが無かったので、そのまま転落した。水深は当時30cmくらいしかなかった
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ーーそれほど深くないですね?
岡山県警・神門敦交通事故抑止対策官:
落ちた時に脳振とうを起こしたとも想像できる
状況によっては、水深10cmでも溺死するという。
検証するも原因不明…
道路を管理する自治体は「どんな場所で用水路転落事故が起きやすいのか」、過去のデータを分析した。ところが結果は「どんな場所でも、年齢、性別を問わず転落する可能性がある」という結果が出た。
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岡山市道路港湾管理課・岡村満課長補佐:
どこでも落ちる可能性がある、点在していることがわかった。幅の広い、見通しのいい所、昼間でも転落している。原因がわからないのも問題
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岡山市では8年前から危険箇所の安全対策を順次進めているが、事故が目立って減った結果は出ていない。というのも、対策できるのはごくわずかだからだ。
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岡山市道路港湾管理課・岡村満課長補佐:
4,000kmのうち90km。かなりの延長が残っている
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農業県の岡山には用水路が張り巡らされていて、岡山市だけで全国の1%にあたる4,000kmあるという。
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岡山市道路港湾管理課・岡村満課長補佐:
(ガードパイプなどを)全部を付けるのはものすごく難しい。付けているうちに古いのがダメになってしまうので、直さないといけない。追いつかないです、正直
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また、近隣住民の生活や農作業の利便性を考えると、単純にガードパイプをつければOKという訳にはいかない。
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岡山県警・神門敦交通事故抑止対策官:
見ての通り田んぼがたくさんあって、水を引く時など工作物を設置すると水をくみにくくなったりする
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用水路の周りでは、通行する側が危険を認識し、特に安全に配慮することが必要だ。しかし取材中にもスマホを操作しながら自転車に乗る人など、危険な光景が何度か見られた。
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岡山県警・神門敦交通事故抑止対策官:
自転車の飲酒運転も禁止されているので、酒を飲む時は公共交通機関を使って、間違っても自転車を利用しようと思わないでいただきたい
岡山市の用水路は総延長4,000kmある。市は13億円をかけて2,500カ所の安全対策を行った。その距離は90km。2%あまりにすぎない。すべての用水路で対策が必要というわけではないが、あまりの用水路の多さに対策は追いついていない。
このため市は、ハード面だけでなくソフト面の対策として、「用水路転落事故防止」を呼びかける啓発チラシを作り、区役所や公民館などに置いている。
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用水路の転落事故は高齢者だけではなく、今回取材した現場では、いずれも50代の女性が犠牲者になっている。飲み会も増え、夏休みも近づいてきた。もう一度、身近にある用水路を確認してみてほしい。
(岡山放送)