石川県のJR金沢駅にある観光案内所には能登半島専門のスタッフがいる。ツイッターフォロワー数は約1万5000人でフォロワーからは「能登デスクさん」と親しまれている。このスタッフの仕事に密着した。
能登のことなら「能登デスク」に!
石川の玄関口、JR金沢駅。構内にある石川県観光案内所で能登半島を目指す旅人にアドバイスをしている能登半島専門のスタッフがいる。「能登デスク」の中山智恵子さんだ。

能登デスク 中山智恵子さん:
この花火大会はめちゃくちゃおすすめです!
駅の利用客:
そうなんですか。
中山さん:
間近で花火が上がるんですよ。もう、感動しました!

記者:
大分、熱くおすすめしてましたね。
中山さん:
もう絶対行って!みたいな。自分が説明した場所に「行く」とメモしてくれたり、スマートフォンのメモに「ここ」って入れたときはよっしゃ!って思います。伝わったなって。
朝、観光案内所に着くとまずは、能登に関するものだけでも50種類はあるというパンフレットをチェックする。

中山さん:
期限が切れているのを出していないかなとか。間違って出していたら大変なことになる。
2015年、北陸新幹線の金沢開業にあわせて設置された能登デスク。現在は中山さんを含め3人が能登への移動手段や観光地、イベントなどを案内している。
案内はアナログ?!“地図”での説明が人気
中山さんにとって旅行客を案内するのに欠かせないのが能登半島が描かれた大きな地図だ。

中山さん:
お客さんは地図を見たいんです。もちろんネットでデジタルマップもいいんですけど、やっぱり目で全体を見て、ここに何があってこう行って…と話すのに地図は絶対欠かせない。地図を出すと「能登ってこんなに広いんだ」って絶対言われます。
この地図を使ってイタリアから来た2人を案内した。レンタカーを使って能登を巡るそうだ。

駅の利用客:
漆芸とかを見たいかな。
中山さん:
では輪島市ですね。車だと金沢からノンストップで2時間かかります。
利用客:
2時間…結構遠いんですね。
中山さん:
そうなんですよ。

この2人は輪島からさらに富山へ向かい、夜には金沢に戻りたいという要望だ。中山さんは現地で滞在できる時間や最適なルートを丁寧に説明した。
中山さん:
能登に行って富山に抜けたいという方、結構多いんですよ。そういう方はもう能登での観光は1か所だけです。
記者:
完全に頭に入っているんですね。
中山さん:
自分の中でこの時間にはここを出なきゃいけないとか、そういうのはだいたい決まってるんで。
能登に“沼る”実体験から魅力を発信
福岡県出身の中山さん。夫の転勤で石川にやってきたため、能登に詳しかったわけではないが、今ではこの仕事にすっかりはまっている。
中山さん:
もっとお客様に伝えられるものがあるはずだと。例えば外国の方は違う視点で見ていたりとかするので、未知の世界です。能登は本当に沼ってるって感じ。
そんな中山さん、ツイッターのフォロワー数は約1万5000人。投稿した能登の風景や食事などが人気を呼び、今では「能登デスクさん」と親しまれている。

中山さん:
会いに来てくれる方もいらっしゃいますね。SNSをきっかけに旅に来てくれる方もいらっしゃるので、「能登デスクさんのところに一回来て話聞いてから能登に行こうと思った」とか言ってくださったりとか、ありがたいですね。
7月7日、能登町を訪れた中山さん。仕事を通じて親しくなった友人の家に招かれ、祭りの際に親戚や友人をもてなす能登の風習「ヨバレ」を初めて体験した。

中山さん:
こんなに受け入れてもらえることに驚き。「こんにちは」「お疲れ」ってみんな入ってこられてアットホームな感じで能登の良さが出てる。
中山さんの友人 蔵はる香さん:
ツイッターで「ちょっと会わない?」みたいな感じで声かけられて。能登デスクさんと回ることで能登をより知ることもできて、とても魅力的な人だなと思う。
中山さんのお目当ては能登町の「あばれ祭」。夏の風物詩、キリコ祭りの始まりを告げる勇壮な祭りだ。

祭りの熱気を伝えようと中山さんは何枚も何枚も写真に収めた。
中山さん:
能登半島は思っている以上に活気がある。こんなに人と人とのつながりがあるんだとか、元気な町なんだと伝わればいいなと思います。

金沢駅で数多くの旅人を能登へと誘う中山さんにとって能登デスクの仕事とは…。
中山さん:
本当に楽しい仕事。色んな方と出会えて自分が調べてる情報や知識を伝えて、その方が旅に出て満足してもらえるという。本当にそれがうれしくて、この仕事を続けられる理由かもしれないです。

(石川テレビ)