貨物の取扱量「日本一」の名古屋港でシステム障害が発生し、物流への大きな影響が懸念されている。

ロシアを拠点とするハッカー集団による仕業か…?

貨物の取扱量が日本一の名古屋港。7月4日午前6時半ごろからシステム障害が発生した。

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コンテナの積み下ろし作業がストップし、7月5日には、コンテナターミナル周辺にトレーラーが大行列をなしていた。

コンテナターミナルでは、無人でコンテナを運ぶトラックも全く動いていなかった。

トレーラーの運転手A:
1時間半(待っている)。復旧した後が怖いですよね。何時まで仕事になるか

運転手B:
神戸の大震災の時もこんな感じでしたね。情報を僕らは携帯で見ているんですけど、そのサーバーがもう繋がらないんです。困りますね。物流が完全に止まっちゃう感じですよね

貨物の取扱量が21年連続で日本一の名古屋港で起きた大規模障害。物流への甚大な影響が懸念されているが、このシステム障害の原因は、身代金要求型ウイルス「ランサムウェア」だ。

ランサムウェアとは、機密情報のデータを暗号化し、その復元と引き換えに身代金を要求するサイバー攻撃。システムを運用する名古屋港運協会などによると、7月4日朝に職員が出勤したところ、パソコンが起動せず、さらにシステムとつながるプリンターから脅迫文が印刷されたという。

脅迫文は全て英語で、ランサムウェアである旨の記載のほか、特定のサイトにアクセスするよう要求する内容が書かれていて、ロシアが拠点のハッカー集団「ロックビット」の名前が記載されていたという。

このランサムウェアによる被害は、過去にも度々起きていた。

2022年3月、トヨタグループ「デンソー」に送られた脅迫文。

「Pandora」と名乗るサイバー犯罪グループが、身代金を支払わなければデンソーの機密情報を公開すると、犯行声明を出して脅迫した。

ほかにも2022年2月、トヨタの仕入れ先の部品メーカー「小島プレス工業」でも、ランサムウェアによるサーバーの障害が発生。

トヨタが一時、国内全ての工場で稼働を停止する事態に発展した。

経済活動に大きな影響を与えるランサムウェア。今回感染した名古屋港のシステムも、まさにコンテナターミナルの心臓部だった。

障害が発生しているのは「NUTS」というコンテナの搬出入を効率化するシステム。コンテナを運び入れるトレーラーが受付をする管理ゲート、さらにターミナルのどの場所で、どの車両がコンテナを積み下ろすのかなど、あらゆる情報を一元管理するもので、5か所ある名古屋港のターミナル全てに導入されている。

NUTSが正常に運用されない限り、ターミナル内の情報が把握できず、搬出入が滞る状況が続くことになる。

日本経済を担う港で起きているシステム障害。システムを運用する「名古屋港運協会」は、当初、5日夜までにシステムを復旧させ、6日朝から積み下ろし作業を再開すると発表していたが、復旧したのは6日午前7時半で、作業の再開予定も大幅にずれ込んでいる。

(東海テレビ)

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