有明海でしか生息が確認されていない二枚貝「ウミタケ」。伝統漁法のひとつが長い鉄の棒で海底のウミタケを捕獲する“ネジ棒漁”。17年ぶりの漁の復活は、その技術をベテランから若手につなぐ大切な機会だ。
最長10mの“鉄の棒”で海底を狙う
この記事の画像(13枚)川浪沙貴記者:
ネジ棒漁は、先に金具のついたこの長い棒を使って、ウミタケを絡めてとっていきます
ウミタケの水管を鉄の棒に絡めて一気に引き上げる「ネジ棒漁」。棒は水深によって長さを変え、最長で10メートルほどにもなる。
今回、佐賀市川副町の漁業者、藤川直樹さんの漁に同行させてもらった。
漁業者・藤川直樹さん:
もともとウミタケはどこにいるかわからないから、仲間同士で協力して、どのあたりにいるか探す
姿が見えない中でウミタケをとる「ネジ棒漁」。まずは多く集まる漁場を周辺の船と情報共有しながら探す。漁場を見つけたあとは長年の経験がものを言う世界だった。
漁業者・藤川直樹さん:
棒を差した感じでウミタケがいそうな土を探す
ーーウミタケがいそうな土とは?
漁業者・藤川直樹さん:
口では言えない、カン
「ネジ棒漁」に記者が挑戦
もちろん経験はないが、この伝統的な漁法に川浪沙貴記者も挑戦してみた。
川浪沙貴記者:
ウミタケをとるその前にこの棒を持ってバランスをとるのがまず難しくて…
まっすぐ上に持ち上げることができなかったため、藤川さんに棒を海底に差すところまでやってもらった。そして、順調に引き上げられると思ったのもつかの間…バランスを崩し棒の上部が舟の反対側に落ちてしまった。
藤川さんのご厚意に甘え、何度も体験させてもらった一方、網をもってお手伝いもしてきた。
藤川さんが棒でウミタケを捕まえ、川浪記者が網で受け…。
川浪沙貴記者:
とれた!人生初のウミタケ
漁の技をベテランから若手へ
17年ぶりの本格解禁となったウミタケ漁。
技術を学ぼうと、2023年は若手漁師も参加している。ネジ棒の調整に悪戦苦闘しているが、ベテラン漁師からしっかり教わっていた。
漁業者・藤川直樹さん:
ゆるんだろ?
若手:
直樹さん、これを早く教えてほしかった
漁業者・者藤川直樹さん:
若手が見よう見まねで挑戦するという気持ちが初めは大事だから、それで面白いと思い、また来年も来て、若手のウミタケ漁師が増えてくれたらまたうれしい
古くから愛される有明海だけの珍味ウミタケ。
漁の再開は伝統漁法の技術をつなぐ意味でも大きな価値がある。
(サガテレビ)