「異次元」と銘打つ少子化対策に向け、経済的な支援の充実を一番の柱にした戦略方針が示された。親が働いていなくても時間単位で保育園を利用できる「こども誰でも通園制度」には保護者からも様々な声が聞かれた。
これまでは預かりに条件が
「仕事がないと保育園に入れない、けど保育園に入らないと仕事ができない、という状態だったので、どっちも決めることが出来ない状態が何か月も続いたので大変でした」

保育園に子どもを預かってもらうまでの過程について、保護者からはその「大変さ」が聞かれた。というのも、保育園は保護者が仕事や介護のほか、病気やケガなどをして「子どもを保育できない」場合に子どもを「保育する」と定められているから。条件を満たしていても、定員が一杯で利用できない「待機児童」も発生している。

こうした現状がある中で、岸田首相が打ち出した「こども誰でも通園制度」は、保護者が仕事に就いていなくても時間単位で保育園を利用できるようにして育児の負担軽減を狙う。

歓迎の声と保育園を心配する声
4歳の娘を育てる女性は、就職活動をしようとしているため「3時間でも2時間でも、ちょっとの間見てもらえるととても助かる。色々な歳の子たちと会ったりすることが成長に繋がると思うので、とってもいいと思う」と話し、短い時間でも子どもを預かってもらいたいと考えている。

一方で「いつでも入れるのはありがたいなとは思うが、保育士がすごい大変そうなのを見ていたので、保育士の負担がすごく増えるんじゃないか」と保育園を心配する声も聞かれた。

保育士不足…園の負担
保護者が心配する通り、保育園も負担が増すおそれを指摘する。
「今本当に保育士不足で、なかなか保育士が見つからなかったり定着しなかったりというのが現状なので、そこの所をしっかりしていかないと負担感だけ大きくなってしまう」と話すのは、三育保育園の山崎麻弥子さん。

保育士16人で81人の子どもを受け入れている、福島県福島市の三育保育園。
子どもの年齢に応じて必要な保育士の人数が法律で定められているため、「誰でも通園制度」で新たに子どもを受け入れるには、保育士を増やす必要がある。

また山崎さんは「保護者とコミュニケーションをよく取って、信頼関係を築かないとやっぱり一番そこが子どもにも響いてしまう」と話し、不定期に短時間の「保育」となった場合、安全に子どもを預かるには性格や持病などの情報を保護者から得ておく必要も感じている。

国民に追加の負担は求めない
保育士の確保など予算が必要だが、国民に追加の負担は求めないとしている。政府は支出を見直して財源を確保する方針だが、それだけで足りるのか?また、今回は示されなかったが望んでもなかなか子どもを授かれない人への手当ても、少子化対策では必要と感じる。

少子化対策のポイント 主なもの
◆児童手当の拡充・・・現在中学生までとなっている支給の対象を、高校生まで拡大し月1万円。第三子以降は3万円に増額。
◆保険適用外となっている出産費用・・・2026年度を目途に保険適用の対象にする。
◆男性の育児休暇・・・仕事を休んでも給料の約8割が手取りで支給されているが、これを10割に引き上げる。

(福島テレビ)