18歳の自衛官候補生の男が訓練中に銃を発射し、2人が死亡した事件。発生直後、射撃場の周囲が騒然とする様子を近所の住民が目撃していた。

岐阜市の陸上自衛隊日野基本射撃場 訓練中に自衛官候補生が発砲した
岐阜市の陸上自衛隊日野基本射撃場 訓練中に自衛官候補生が発砲した
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自衛官候補生が訓練中に発砲、2人死亡

14日午前9時半ごろの岐阜市。

緊急車両のサイレンが鳴り響く中、自衛隊員らが走る。

慌ただしく出て行く救急車
慌ただしく出て行く救急車

慌ただしく救急車が出て行く様子もあった。

14日午前9時過ぎ、岐阜市の陸上自衛隊日野基本射撃場で、自衛官候補生の男(18)が訓練中に小銃を発射し、隊員3人が撃たれた。

撃たれたのは52歳の男性隊員と25歳の男性隊員2人で、52歳と25歳の隊員、2人の死亡が確認された。

事件直後の現場には、仲間の隊員に肩を抱かれて歩く自衛隊員の姿もあった。

発砲した自衛官候補生の男(18)は、殺人未遂の現行犯で警察に逮捕された。男は、3月末に名古屋市の守山駐屯地の第35普通科連隊に入隊したばかりで、6月末まで新隊員向けの訓練を受ける予定だったという。

「AEDを探せ!」隊員の叫び声が…

この日、日野基本射撃場では、訓練生およそ70人と教官などおよそ50人が参加して訓練が行われていた。

自衛官候補生の男(18)は、実弾射撃訓練中の午前9時8分頃、指導部の自衛官3人に向け自動小銃を発射した。

事件発生直後、射撃場の周囲が騒然とする様子を近所の住民が目撃していた。

近隣住民:
隊員の方のすごい叫び声が聞こえたので外を見たら切迫してるような感じで、「お~い!」とか「早くしろ!」と聞こえました。その後に「AEDを探せ!」というのは聞いています。パトカーとかも来る前だったので、火事だと思って。

この日は、男の入隊後4回目の実弾射撃訓練だった。使用した銃は89式5.56mm小銃で、男は発砲した後、周囲の自衛隊員に取り押さえられた。

現場の射撃場のすぐ横には住宅街が広がっている。この射撃場は、以前は屋外施設だった。

自衛隊の広報誌によると、昭和30年代から陸上自衛隊が使用していたが、近隣住宅が増えたことなどから、2015年に屋内施設にしたという。

施設内を見学した地元の住民に話を聞いた。

――的までの距離は?
施設内を見学した地元住民:
奥行きは300mくらいある。
――何人くらい並んで撃てる?
3人くらいだと思ったけどな。

その際、安全管理についても説明を受けたという。

施設内を見学した地元住民:
3人やな。撃つ人がいて、弾を管理する人と、管理する人を見る人がいて、3人くらいいた。

射撃場には、事件を知って献花に訪れる人の姿があった。

献花に訪れた人:
ニュースを見て来たんですけど、ちょっと今はご冥福をお祈りすることしか……。

「誤射はありえない」陸自OBが指摘

午後、陸自トップの森下泰臣陸上幕僚長は、臨時会見で謝罪した。

森下泰臣陸上幕僚長:
武器を扱う組織として、決してあってはならないものであり、陸上幕僚長として非常に重く受け止めております。故意だったのかどうかというところは、今後の調査を待ちたい。

自衛官候補生(18)は、なぜ自動小銃を指導部の隊員に向けて発砲したのか。元陸上自衛隊幹部の山下さんは「誤って撃つことはありえない」と指摘する。

元陸上自衛隊陸将・山下裕貴さん:
誤射するような姿勢だったり、持ち方だったら射撃はさせませんから、射撃係の指導の通り撃てば誤射というのはありえない。目的はわかりませんけれども、意図的に撃ったということになると思います。

防衛相経験者からは……。

石破茂元防衛相:
まさしく前代未聞で、あってはならない事がなぜ起こったのか。

小野寺五典元防衛相:
私どもからしたら殺人事件だと思います。まだ入隊して間もない若い自衛官がこのような行動をとるということ。背景に何があるかは、しっかり調べて欲しいと思います。

浜田防衛相は、事件を謝罪した。

浜田靖一防衛相:
国民の皆様に大変ご心配をかけたことを心からおわびを申し上げたいと思います。大変申し訳ございませんでした。

事件の背景に何があったのか――。浜田防衛相は、原因の究明や再発の防止などに全力を挙げる考えを示した。

(「イット!」6月14日放送より)

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