通常国会の会期末に向けて与野党の駆け引きが激しさを増す中、自民党の萩生田光一政調会長は11日、フジテレビ系『日曜報道 THE PRIME』(日曜午前7時30分)に出演し、立憲民主党が検討している内閣不信任決議案の提出について、提出されれば衆議院解散の「大義になる」と強調した。

立憲民主党が、重要法案の「防衛費増額に向けた財源確保法案」の採決前に不信任案を提出するのではないか、との見方があることに関し、萩生田氏は「どこで出されても大義になる」と述べ、立憲民主党をけん制した。

一方、立憲民主党の小川淳也前政調会長は不信任案の提出に否定的な考えを示した。「この恣意的な解散と野党の年中行事のような不信任案の提出は、国民にとって得るものは何もない」と言い切った。

天皇陛下が17日から海外ご訪問を予定されていることから、国民民主党の玉木雄一郎代表は岸田首相が16日に解散に踏み切る可能性があるとの見方を示した。玉木氏は、立憲民主党が不信任案を提出した場合、「年中行事的な不信任案には同調しない」と明言した。

同時に玉木氏は、「立憲民主党の泉(健太)代表は『(次期衆院選で)150議席を取れなければ辞める』と言っている。報道では、(立憲の候補者は)いま140人ちょっとだ。そうなると、解散を打たれた瞬間に泉氏は辞任しなければいけない」と指摘した。

自民、公明、維新、国民の4党が修正合意し、9日に衆院内閣委員会で可決されたLGBT理解増進法案をめぐり、番組コメンテーターの橋下徹氏は「理念は賛成だが、生物学的身体的特徴での区別は認めるべきだ」との持論を展開。萩生田氏は「区別は必要だ。法律が成立した場合、国が基本計画を立てガイドラインも作る。その中で明確にするべきだ」と語った。

以下、番組での主なやりとり。

松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):
LGBT理解増進法案は、自民、公明、維新、国民4党が修正合意し、衆院内閣委員会で可決された。         

萩生田光一氏(自民党政調会長):
これは理念法で与党だけでなく、多くの人の理解を頂いて成案を得るべきだとの判断になった。提出された3案は内容的にはそれほど差はないが、与党が法案提出後に国民からあがった不安の声に対する一定の答えが維新・国民案には盛り込まれていた。我々はプライドではなく中身を尊重しようということで協議を呼びかけ、協力を得て修正に至った。国民の間で理念そのものに反対する人は少ないが、「性自認は女性」となりすまして女性の更衣室や風呂に入ってくる人がいるのではないかということをすごく心配する声があった。そういった点は国会答弁でピン止めさせてもらったつもりだ。

橋下徹氏(弁護士・元大阪府知事・元大阪市長):
法案の理念には賛成だ。だけど、今回の法案で一番重要な論点は生物学的な身体的な特徴だ。生物学的には男女の違いはあるわけだから、この区別を認めるのかどうなのか。これはいろんな意見がある。生物学的な身体的な特徴による区別は認めるべきだというのは僕の持論だ。LGBTの理解増進は大賛成だが、生物学的な区別をしていくのかどうなのかというところを国会ではっきり議論してもらい、政府としてどうなのだというところを聞きたかったのに、どうも選挙目当てにシャシャシャっとまとめてしまった。この法律ができたとしてもその点がはっきりしないが、生物学的な身体的な特徴の区別はあるのか。          

萩生田氏:
私も区別はある、必要だと思っている。これから参議院に議論の場が移り、当然議論がある。法律が成立した場合、国が基本計画を立てガイドラインも作る。その中で明確にするべきだ。いずれ法律が世の中に出るときにはきちんとしていきたい。

松山キャスター:
マイナンバーカードで他人の年金記録が閲覧できる問題が発生し、政府が調査を行っている。

萩生田氏:
様々問題が露呈した時に、役所がお互いに「うちじゃない、うちじゃない」と言い合ったのは非常に醜くかった。いま河野大臣の下で失敗は失敗としてしっかり見直し、改善をしようと取り組んでもらっている。これはシステムの不具合ではなく、入力段階の人的ミスだった。誰かが人為的に入れなかったらデジタルは始まらない。そこまでさかのぼってしっかり精査して、この機会に課題を全部あぶり出し、信頼されるマイナンバーカードにしていく必要がある。我々与党としてもそれを見守り応援していきたい。

小川淳也氏(立憲民主党前政調会長):
本当に恥ずかしいやらみっともないやら。国民の信頼失墜だ。健康保険証との紐付けでは、同姓同名、同一生年月日、この人かなと「えいやっ」で登録してしまっている。それが7,000件ぐらいになった根拠だ。他人の口座の登録は、金融機関は仮名で登録し、マイナンバーは漢字で登録しているから、照合、突合のしようがないまま見切り発車した。システム上、誰の口座でも登録できる状態で見切り発車しているわけだから、こうなるのは当然だ。この責任はやはり大きい。

玉木雄一郎氏(国民民主党代表):
いくつか根源的な問題を解消しなければいけない。銀行口座はカタカナで、戸籍はふりがながなかった。漢字でも、「高」と「髙(ハシゴダカ)」は違う。このことをまず一つ綺麗に揃えるため「ベース・レジストリ(公的基礎情報データベース)」を整えようというのがようやくできるようになった。突合しやすくするための環境を整えること。あとは様々な制度ごとに分散管理しているが、マイナンバーで一元管理をするところに設計思想としてもう踏み込んで行かないと、いつまで経っても同じことが起こる。この一元管理に発想を変えていく。それを可能とするようなベース・レジストリを整えることをまずはきちんとやるべきだ。           

橋下氏:
先週、河野デジタル相が番組に来た。大臣の立場でなかなか言えなかったと思うが、この設計思想が一番重要だと思う。今までは政治的な、いろんなところへの配慮で、マイナンバーはなるべく使わないという思想だったものだから分散管理だった。これ、マイナンバーで照合するのではなく、マイナンバー以外の符号という、また別の記号で実は照合をしている。もう本当に大変なシステムになっている。でも、マイナンバーをこれから広く使っていこうということになるのであれば、玉木さんが言うように一元管理だ。今まで政治が排除していたが、一元管理は世界各国もやっている。デジタル社会に向けていままでの分散管理から一元管理に、野党も政府与党の尻をたたくことは必要だ。小川さんは、一元管理についてはどうなのか。

小川氏:
私もそう思う。つまり、そもそものところで任意に取得して使いたい人だけが使うということでスタートしているところに覚悟の足りなさがある。やるなら本腰を入れて、その代わりあらゆるリスク、責任を引き取る覚悟でやってきていれば、こんなことにはならなかった。

橋下氏:
では、義務化に賛成なのか。

小川氏:
基本的なインフラだから、しかるべく安全管理を担保した上できちんと利用できるように整備すべきだった。

橋下氏:
であれば、義務も…。           

小川氏:
義務というのか、これに本当に一本化、一元化すればいいわけだ。私はそう思っている。

松山キャスター:
いま解散総選挙があるのかないのかで永田町で大いに議論になっている。自民党の森山裕選対委員長が9日民放の番組で、野党が内閣不信任案を提出した場合は「内閣を認めないということだから、解散の大義になり得る」と発言した。萩生田さんは同じ考えか。

萩生田氏:
内閣不信任案は常に解散の大義にはなる。ただ、解散は総理の専権事項で総理が最終的に判断する。

松山キャスター:
岸田政権が何としても成立させようとしている法案に、例えば、防衛費増額のための財源確保法案がある。この確保法が成立する前に不信任案が提出されるのと、成立後に提出されるのとでは意味合いが違ってくると思うが、法が成立したあと会期末に不信任案が提出されたら大義になるか。

萩生田氏:
常に大義にはなると。どこで出されても大義にはなる。それを受けて粛々と否決するのか、あるいは解散をするのかというのは、総理に与えられた専権事項だ。

松山キャスター:
立憲民主党が内閣不信任案の提出を検討しているとの観測が出ている。本当に出すのかどうか。出すとしたら、財源確保法が成立する前に出すのか、後に出すのか。

小川氏:
執行部はいろいろ悩んでいると思う。仮に出すとすれば、それこそ出す大義が必要だ。財源確保法に徹底的に反対なら、その前にというのが筋だ。しかし、私見だが、この恣意的な解散と野党の年中行事のような不信任案提出は、国民にとって得るもの何もない。わざわざこの不義に満ちた解散にこちらから口実を与えてやる必要はないというのが私の個人的な考えだ。

松山キャスター:
衆院解散は天皇の国事行為も絡んでくるので、天皇陛下が今度インドネシアに行かれる日程を外すと考えると、玉木さんは16日にも解散があるのではないかとの見方を示している。

玉木氏:
このスケジュールを見ると、もう16日しかないのかなと思う。ただ、野党の側も年中行事のようにとにかく出す、否決は前提と。やるなら覚悟を決めてやらなければいけない。確か立憲民主党の泉(健太)代表は150議席取らないと辞めると言っている。200人は立てると言っているが、いま報道で聞くと140人ちょっとだ。そうなると解散を打たれた瞬間に辞任しなければいけない。全部取っても150はいかないのだから。そういうことも含めて、やはり与党も野党も本気なんだと、国のための解散なんだと、国益のための解散なんだと国民が本気で思うことにならないと、なかなかね(難しい)。また政治家が自分の保身のために、やる側も受ける側もやっているのではないかというのはダメだ。いま政治的空白をつくってはいけない。賃金上昇が見られる、株価も上がっている。ここは持続的な賃上げ、経済回復に与党も野党もまずは最優先で取り組むべき時だ。

橋下氏:
野党が一つにまとまることは無理だと思う。せめて候補者をひとつにして、自民党に対決することが必要だと思う。ただ、きょうの新聞報道を見ると、玉木さんはどうも自民党との連立政権も考えているなどということが報道で出ていた。

玉木氏:
そんなの出てたのか。

橋下氏:
ええ、出ていた。

玉木氏:
あとで読んでおく。

橋下氏:
やはり連立も選択肢にあるのか。

玉木氏:
我々としては、選挙は小選挙区制度なのでできるだけ野党候補者を一本化したらいいと思う。しかし、野党第一党と第二党がもう直接対決しようと言って、どう調整するのかが見えないなかで、我々が与するメリットはない。さらに難しいのは、1対1にする小選挙区と比例の選挙を同時に戦うので、比例のことを考えると、小選挙区はもう負けが分かっていても候補者を立てていこうというインセンティブがそもそも制度に入っている。

橋下氏:
候補者をいっぱい立てたほうが、比例票を取れるということで。

小川氏:
そう。だから制度矛盾だ。

玉木氏:
野党全体として、我が党としても、小選挙区と比例を全部足して最大化するというのはどうするかという連立方程式を解いているし、多分、立憲も維新もそうだ。 

橋下氏:
でも、それは結局は国会議員の利益の話ではないか。自分の政党を拡大するということ。

玉木氏:
ただ、野党全体でどう大きくするのかということで考えれば、必ずしも個別の政党の利益だけではない。

松山キャスター:
野党がまとまれるかというところで言うと、例えば、立憲民主党が内閣不信任案を提出した場合、国民民主党として、玉木さんとして、これに乗れるのか。

玉木氏:
我々はその年中行事的な内閣不信任案には同調しない。

松山キャスター:
なるほど

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