2023年春、世界一になった野球の話題と言えば…そう、ワールドベースボールクラシック、WBCだ。この決勝で、大谷翔平投手が投げた最後の1球。それが「スイーパー」そのスイーパーを石川県かほく市の企業が作ったピッチングマシンが完全再現していると聞いて、取材した。
魔球!?「スイーパー」を完全再現するピッチングマシン
日本中を歓喜の渦に巻き込んだ侍ジャパン。WBC優勝に導いた大谷投手が決勝で最後に投げたボールがスイーパーだ。その魔球を完全に再現したと言うピッチングマシンが石川県かほく市にある西野製作所の「ピッチ18」
向山侑希アナウンサー：
と言うことで、再現されたスイーパーを確認するため、プロにも来ていただきました。石川ミリオンスターズの宮澤選手です。
宮澤和希選手：
はーい、よろしくお願いします！
プロ野球独立リーグ、石川ミリオンスターズの宮澤和希（みやざわかずき）選手。長野県出身のベテラン、宮澤選手と大谷投手のスイーパーを体感してみた。まずは、野球経験ゼロ、バットの握り方さえも知らない、向山アナが160キロのストレートを体験してみたが…。
向山アナ：
うわー、いひひ、怖い！
宮澤選手：
消えましたね
向山アナ：
消えましたね。ボールが速くてなにがなんだかわかりません！。
プロと一緒に「スイーパー」を体験
いよいよスイーパーを投げてもらうと…
向山アナ：
ではスイーパーお願いします！
ピッチングマシンから大谷投手が投げるスイーパーが放たれる！
向山アナ：
わかんない！なに!?
ボールが速すぎて、動体視力のない向山アナには違いが全くわからなかったようだ。
向山アナ：
わたしにはただ速すぎて、わかんなかったです。
宮澤選手：
任せて下さい！
それでは、プロに見てもらおう。
向山アナ：
人生初スイーパーですか？
宮澤選手：
人生初スイーパーです！
向山アナ：
どうなるんでしょう。ちょっとたのしみですね！
再びピッチ18からボールが放たれると…
宮澤選手：
おおーなるほどなるほど。なんていうんでしょう。横にものすごく大きく変化する。
宮澤選手によると、普通のスライダーはちょっと縦に落ちる感じがあるのだが、スイーパーは、スピードが落ちずに横に曲がる。縦に落ちずに横に曲がるって感じなんだそうだ。
向山アナ：
魔球と呼ばれるのは、わかりますか？
宮澤選手：
わかります。消えるといったらおおげさかもしれないけど、本当にスピードも落ちず、横に変化も大きくて、対応しづらいんじゃないかな？とはすごく思いますね。
一般的にスライダーは、重力でやや落ちながら横にスライドするが…大谷投手のスイーパーは重力に逆らうかのように、あまり落ちずに大きく横に曲がっていくのが特徴だと言う。
3つのローラーで自在にボールを操るすごいマシン
そのスゴイ魔球を再現した西野製作所のピッチングマシンは、約10年前に金沢大学と共同で開発された。3つのローラーがそれぞれ回転速度を変え、様々な変化球を再現。さらに…
西野製作所 西野十治社長：
AI、人工知能が入っていますので、瞬時にいろんなものが投げ分けられるというのも一番の特徴ですね。
マシンにあらゆる投球パターンを覚えさせてあるため、球種やコースを選ぶだけでAIが角度やローラーの速度を計算し、注文通りのボールを投げることができるそうだ。
宮澤選手：
150キロのスイーパーで…次は150キロのフォークを…160キロのスイーパー行きましょう！
宮澤選手、ここぞとばかりに次々とすごいボールを体験していく。
向山アナ：
他に体験したいボールはありませんか？
宮澤選手：
あ、ツーシームとかなげれるんすか?
西野社長：
大丈夫です！
宮澤選手：
え！じゃあお願いします。
宮澤選手、このピッチングマシンは初体験ということもあり、次々といろいろな球種を試していた。
向山アナ：
ここまで色々できるマシンってどうですか？
宮澤選手：
チームに一台ほしいですよね、っていうくらい、欲しいです。
向山アナ：
実は石川県内の高校にも、いくつも導入されているんです。
宮澤選手：
そうなんですか!?うらやましいですね！僕たちでも使ったことないのに…うらやましいなぁ。これあったらもう簡単に、甲子園いっちゃいますよ（笑）
向山アナ：
プレッシャーですね！
なお、先日、東京工業大学の研究室が大谷投手のスイーパーを、石川県で製造されている、あのスーパーコンピューター、富岳などで解析した結果を公表した。その研究成果によると、大谷選手のスイーパーはボールの回転が1分間に約2600回と、高速回転していて、回転軸がバッターの方向に傾いていることから、横に大きく変化すると共に揚力が生まれて落ちにくいボールになっていることがわかったそうだ。
（石川テレビ）
