知らないうちにあなたのスマホが他人に乗っ取られ、不正送金される被害が増加している。1000万円の被害を受けた男性が語る恐怖、その手口とは。

スマホ乗っ取り 約1000万円取られた被害者が語る恐怖

被害に遭った谷川龍二さん:
携帯電話の番号さえあれば何でもできちゃう。(銀行に)電話かけたら「きょう午後3時前に2カ所に500万円と498万円振り込まれましたよね」みたいな。やっていませんっていう話で

こう話すのは、神戸市に住む谷川龍二さん(61)。谷川さんは2022年、まさかの方法でおよそ1000万円を不正に取られた。

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その方法とは…「SIMスワップ詐欺」。

まずは、ターゲットの選定。偽サイトに誘導してIDやパスワードを入力させ、個人情報を盗み取るフィッシング行為をする。次に、この不正に取得した個人情報を基に、免許証などの身分証明書を偽造。

そして携帯電話ショップなどに行って「SIMカードをなくした」「他社へ乗り換えをする」などと言って、偽の身分証で店員をだまし、SIMカードの再発行や番号の持ち出しをする。この時点で、被害者のスマホは乗っ取られてしまい、使用不可能となる。

犯人は、再発行したSIMカードを別のスマートフォンに入れて、被害者に成り済ますことで、インターネットバンキングから送られてくるショートメッセージなどの二段階認証も突破して不正に送金。

「SIMスワップ詐欺」犯行の“一部始終”

1000万円がいきなり奪われる…。被害男性がその一部始終を語ってくれた。

被害に遭った谷川龍二さん:
電話かけたら音がしなくて…見たらアンテナが立っていなかった。故障だなと思って

携帯電話ショップに行くと、店員から驚きの言葉を告げられた。

被害に遭った谷川龍二さん:
「解約になっています」と言われ、ええ!みたいな

谷川さんは電話番号はそのままに、他社に乗り換えができる「ナンバーポータビリティ」の制度を悪用された。

被害に遭った谷川龍二さん:
その日の午前11時半ぐらいに僕の(偽の)免許証を持った男がやって来て、「ナンバーポータビリティで乗り換えをしたい」と。「(店員が)分かりました」っていうことで、引き継ぎ番号みたいなのあるんですかね…ナンバーポータビリティで、「それ(番号)を渡しました。その後、楽天さんで契約されたみたいです」と

知らないうちに解約されていた谷川さんのスマートフォン。

その後、犯人は、乗っ取った谷川さんのスマートフォンを使い、銀行のアプリを経由して合わせて1000万円を盗んだ。

被害に遭った谷川龍二さん:
振り込んだ時点で銀行は、こんなの普通ではないので、問い合わせするんだけど、問い合わせ先の電話に犯人が出るんですね

銀行も高額な金が一度に引き出されたことに気付き、本人確認のため、谷川さんのスマホに連絡したが、その相手は…谷川さんではなく、犯人。結局、1000万円の送金を止めることはできなかった。

増加しつつあるSIMカードを巡る犯罪 大金を簡単に手に入れられる“道具”

当時、携帯ショップではどんな方法で本人確認が行われたのか。取材班は谷川さんを装った男が利用した京都の店舗に取材を試みたが、回答は得られなかった

谷川さんによると、利用していた携帯電話会社のマニュアルでは、「スマホ本体を実際に確認する」となっているようだが今回、スマホ本体の確認は行われず、免許証での本人確認のみだったと説明されたということだ。その後、谷川さんに成り済ました男は、免許証を偽造した疑いで逮捕された。

偽造した身分証でスマートフォンを乗っ取る“SIMスワップ詐欺”。SIMカード巡る犯罪は、いま増加している。

5月11日、警察は全国で初めて「SIMスワップ詐欺」を行った疑いで30歳の無職の女を逮捕した。およそ3カ月間で25人の口座から合わせて9000万円以上を不正に送金したとみられている。

警察の調べに対し女は容疑を認めた上で、「お金がなかった。高収入の副業“闇バイト”をツイッターで検索していたら見つけた」と話している。

2023年3月には、東京で他人名義の運転免許証を使い、SIMカード7枚をだまし取った疑いで33歳の男を逮捕。さらに、大量の保険証を偽造し SIMカードをだまし取ろうとした疑いで22歳のベトナム国籍の男を逮捕。男は SIMカードを違法に転売するベトナム人グループの指示役だった。

“金を手に入れる道具”として、いま狙われるSIMカード。

被害に遭わないためには? 個人情報の流出どう防ぐ?

被害に遭わないためにはどうしたらいいのか?警察は、個人情報を守るという意識を高める必要があると警鐘を鳴らす。

大阪府警 サイバーセキュリティ対策課 天見博明警部:
気が付いた時には携帯がつかえなくなっていますので、原因を追究している間に犯行を終わらせてしまう。偽装運転免許証を使っている時点で、個人情報を抜かれている可能性が高いのでIDとパスワードを使いまわさない、送られてきたメールに添付されているURLを簡単に開かない、個人情報を安易に入力しない、この3点を守っていただけたら。あらゆる手を使って相手は犯罪をしてきますのでより慎重にしていただく

警察によると、初めて摘発されたSIMスワップ詐欺事件では、スマートフォンが乗っ取られてからわずか15分で不正送金されていた。そのきっかけは、このフィッシング詐欺に遭っているところから始まっていることが多いようだ。

フィッシング詐欺とは、例えば…ある銀行をかたったメールが送られてきて、「重要・緊急、入金制限のお知らせ」と不安をあおるような見出しで、内容に「お客さまのお取引きを制限させていただきました」と書かれている。さらに解除するために、青文字になっている「規制解除」をクリックすると、本人確認として、住所や氏名、口座のIDやパスワードなど個人情報を入力する画面に入る。実際にはこれが偽のサイトになっていて犯人グループに個人情報が漏れてしまう。

このような偽のメールにだまされないためにはどうしたらいいのか?大阪府警のサイバーセキュリティ対策課天見博明警部によると…

▼身に覚えのないメールのURLにはアクセスしない
▼(銀行など)正規サイトを“お気に入り”に登録し、そこからアクセスを!

ある日突然、スマートフォンがつながらなくなる…こういったことが起きると、普通、通信障害かな?とか故障を疑い、詐欺に遭っているとは思わない人も多いと思うが…

関西テレビ 神崎博解説デスク:
スマホが急に使えなくなったら注意。乗っ取られて被害に遭っている場合もある。その場合は速やかに携帯会社などに連絡をして大丈夫かどうかを確認しましょう

詐欺の手口はどんどん巧妙化していく。最新の情報をアップデートし、被害に遭わない対策をしていかなければならない。

(関西テレビ「newsランナー」2023年5月18日放送)

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