春らしい暖かい日も増え、日中は汗ばむ場面も出てきた。そんな日はお風呂が気持ちがいいが、入浴後に汗がすぐに引かないことが気になる人もいるだろう。温泉の脱衣所のように扇風機があればいいが、自宅には置くスペースがない。
そんな悩みを解決してくれそうな画期的な製品が、4月21日にサンコー（東京・千代田区）から発売された。
体重計のように乗るとスイッチON
その名も「お風呂あがり全身爽快！『のれる扇風機』」で、体重計のように本体に乗るとスイッチが入りファンが回転。足元から吹き上がる風で涼むことができるというわけだ。
本体から降りると自動で止まるので、スイッチを切る必要もない。また、防水仕様で体がぬれた状態でも乗ることができ、お風呂上がりのほてった体をすぐにクールダウンできそうだ。
大きさは、幅258×奥行255mm、高さは乗る部分が40mmで、吸気口部分が105mmで、重さは約1.2キロ。一般的な体重計と同程度というコンパクトさが特長で、扇風機が使えないような狭い脱衣所でも置くことができる。耐荷重は120キロとなっている。
価格は1万2,800円(税込）。
風の強さは二段階で調節ができ、最大風速は秒速35メートル。かなり強い風だと思うが、一体どんな体感なのだろう。また、なぜ下から風が吹き上げるスタイルにしたのだろうか。
開発したサンコーは「面白くて役に立つ」をコンセプトに、毎週企画会議を行い、週に2点の新商品を発売している。
「のれる扇風機」の開発経緯などをサンコーの広報担当・えき晋介さんに聞いた。
足元からの暴風が「めちゃめちゃ気持ちいい」
ーーどんな経緯で商品化された？
この商品の企画は、商品企画部にいるお風呂好き・温泉好きの社員が考えたものです。夏のお風呂上りはどうしても暑いので、ぬれたまま全身で扇風機の風に当たって涼みたい。でも、温泉の脱衣所にあるような扇風機を自宅の脱衣所に置くと邪魔になってしまう。
そこで、乗るタイプにすれば、コンパクトで全身に風を浴びられる扇風機が実現できるのではないかということで作り始めました。
ーー下から風が吹き上げる方式の良いところは？
従来の扇風機だとどうしても風が体の一部にしか当たらないので、涼しい部分とそうでない部分が出てきてしまうのですが、下からだと風が全身に当たるので、より涼しい体感になります。
ーー風速35メートルの風が下から来るというのはどんな感じなの？
めちゃめちゃ気持ちいいです！特に真夏のお風呂上りに使うとより気持ち良さを実感できると思います。ちなみに秒速35メートルは、一般的な扇風機の10倍程度。台風並みというか、「暴風」のレベルです（笑）。
ーーどんな仕組みになっているの？
中央前方部の吸気口から空気を取り入れ、土台部のファンで下から風を起こしています。
ーー売れ行きは？
順調です。発売から1週間で300台ほど注文をいただきました。
ーーちなみに、乗るタイプの扇風機は他社でも販売している？
弊社が開発している間に海外のメーカーから発売されましたが、他社の商品は限りなく少ないです。
3Dプリンターで試作を繰り返し小型化に成功
ーー開発の流れを教えて
まずは車の防水のラジエーターファンを使って手作りしてみて、下から風を受けるとどういう感じなのかを実験しました。そして気持ちがいいということがわかったので、量産できるような構造を考えて3Dプリンターで試作品を作りました。
ところがそれを脱衣所に持っていくとどうしても大きい。そこで、小型化していき、最終的に体重計と同じくらいの大きさにしました。
収納するときは縦に置くこともできます。多くの脱衣所には洗濯機と洗面台の横に隙間があると思うので、そこに収納していただくこともできます。
ーーデザインや機能で工夫したポイントは？
購入しやすい価格で防水設計にするために、下に水抜き穴を設ける構造にしました。水抜き穴のキャップを閉じた状態で、使ってから溜まった水を抜いてもいいですし、キャップを外した状態でタオルやマットを敷いて使っても大丈夫です。
また、最初は吸気口が下に付いていたのですが、床のホコリを吸い込まないように、途中から上に変更しました。
乗り降りでスイッチがオンオフになる仕組みも途中で追加しました。最初は電源コードの途中にスイッチを付けようとしていたのですが、結局、スイッチを入れたり切ったりする動作が面倒に感じたので。
ーーどんな人に使ってもらいたい？
夏場、脱衣所が暑くて困っている方にはぜひ使っていただきたいですね。一番効果を実感できるのが、お風呂上りにドライヤーをかけているときです。ドライヤーをかけている間、涼しい風が足元から吹いてくるのでとても快適です。髪の長い人には特におすすめですね。
足元から吹き上がる扇風機というのは経験したことがない人が多いと思うので、本格的な夏を前に、興味のある人はチェックしてほしい。
