2022年4月、鹿児島・鹿屋市の山林で、当時86歳の女性の遺体が見つかった殺人・死体遺棄事件は、遺体の発見から1年が経過したが、事件は未解決のままだ。あの時、現場で何があったのか?事件から1年、取材を進めると当時の状況が見えてきた。

事件から1年…いまだ犯人は捕まっていない

安楽遥記者:
遺体発見から1年となりました。福山さんの自宅には、いまだ規制線が張られたままとなっています

この記事の画像(12枚)

2022年4月13日、鹿屋市永小原町の自宅近くで福山京子さん(当時86)が遺体で発見された。福山さんは、自宅裏の高さ約6メートルの斜面の下で見つかり、出血をともなう外傷が複数あった。死因は外傷性ショック。警察は殺人・死体遺棄事件として捜査本部を設置し、捜査を続けているが、犯人逮捕には至っていない。

近くの住民:
不思議な話。これだけ捜査しても、あそこに家があるなんて知らない

近くの住民:
犯人が見つかってほしい。自分たちも疑われるので…モヤモヤがある

事件から1年、取材を進めると当時の現場の状況が見えてきた。

警察は、これまでに福山さんの自宅から血痕のようなものが発見されたことを明らかにしている。さらに捜査関係者への取材で、その血を拭き取ったような跡があることがわかった。犯人が証拠隠滅を図った可能性がある。

捜査関係者によると、福山さんに見られた複数の外傷の中で致命傷と考えられるのは、鈍器のようなもので頭を殴られたこと。いまだその凶器は見つかっていない。さらに、遺体で発見された福山さんは、靴を履いていなかったことがわかった。

これらの状況から捜査本部は、福山さんが自宅で殺害されたあと、斜面に突き落とされたとみている。

自宅へと続く道路…2時間で車は1台も通らず

未解決のまま1年。なぜ捜査は難航しているのだろうか。

福山さんの自宅周辺は木々に囲まれ、一番近い家でも直線距離で約200メートル離れている。福山さんの自宅へと続く道路は、交通量の多い国道から入った細い道で、車1台がやっと通れるほどしかない。木々が生い茂り、道路の上には落ち葉が重なり、うっそうとしている。この道路に定点カメラを設置したが、2時間で車は1台も通らなかった。

近所の住民:
この道を通る車はほとんどない。普通車は来ない。軽トラックぐらいじゃないの?

抜け道や通勤通学など広く利用される道路ではないことから、事件当時の目撃情報は乏しく、警察は顔見知りを含め、あらゆる可能性を視野に捜査を進めているが、目立った進展はない。

「落ち着かない日々…早くホッとしたい」

これまでに延べ1万5,000人の捜査員を投入してきた鹿児島県警。4月13日、捜査本部が置かれる鹿屋警察署には捜査幹部ら約40人が集まり、捜査会議が開かれた。

会議で鹿児島県警の井上昌一刑事部長は「被害者、遺族の無念を晴らし、地域住民や県民の不安を払拭(ふっしょく)するためにも、絶対に事件を解決する」と強い決意を示した。

未解決のまま時間だけが過ぎていく中、殺害された福山さんの親族は、鹿児島テレビの取材に「1年間、落ち着かない日々を過ごしてきた。とにかく早く犯人が見つかってホッとしたい」と話した。事件の一刻も早い解決が待たれる。

(鹿児島テレビ)

鹿児島テレビ
鹿児島テレビ

鹿児島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。