2022年の暮れ、鹿児島・南九州市の県道で89歳の女性が車にはねられるひき逃げ事件が発生した。女性は年明けの1月2日に死亡し、警察は死亡ひき逃げ事件に切り替え、捜査を続けている。
女性の遺族が鹿児島テレビの取材に応じ、苦しい胸の内を語った。

ひき逃げで突然…母を失った息子

「もう、悔しさしかないですよね。どうしたって母は帰ってこないわけですから」と語るのは、亡くなった高吉サチ子さんの息子だ。

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事件が起きたのは、2022年の12月24日の朝だった。午前7時前、南九州市頴娃町牧之内で、自宅近くの県道を横断していた高吉さんは、何者かが運転する車にはねられた。車は現場から逃走し、警察はひき逃げ事件として捜査を始める。

高吉サチ子さんの息子:
(病院の先生から)とにかく後ろからすごい圧力の衝撃を受けていますねと言われた。肋骨(ろっこつ)が何本か折れて肺に刺さって、呼吸がだんだん浅くなってきて。同時に出血もある。即死でもおかしくなかった

無念の思いを語る高吉さんの息子
無念の思いを語る高吉さんの息子

当初は、重傷とされていた高吉さんだが、2023年に入り、容体が急変。事件から9日後の1月2日に帰らぬ人となった。

高吉さんの死因は、車にはねられたことによる外傷性ショックとみられ、警察は死亡ひき逃げ事件に切り替えて捜査を続けている。

集落では以前から危ぶむ声も…

丸山純平記者:
集落の人たちは、ゴミを捨てるためにこの道路を横断するということです。近くに横断歩道はありません

危険性が話し合われていた道路
危険性が話し合われていた道路

事故があった交差点は、住民がゴミ捨てに行く時など、必ず渡らなければならない場所で、高吉さんがはねられたのもゴミ出しの帰りだった。

近所の住民:
車のスピードが出るよねという話をしていた。横断歩道や押しボタン式横断歩道が必要かなと話していた

集落では以前からその危険性が話し合われ、何度も横断歩道設置の要望が出される中、ひき逃げ事件の発生という最悪の事態となった。

生きていてほしかった…高吉さんを惜しむ声

近所の住民:
高吉さんは、おしどり夫婦という感じがした。見習いたいような人たち。できれば生きていてほしかったですね

生前、高吉さんは家庭菜園の畑仕事に精を出し、近所の人の農作業を手伝うほど元気だったそうだ。

高吉さんの息子:
自分たちからするとおせっかいで、口うるさい母親と思っていたけど、今になると、それが母親の優しさだったのかなと。元気だったからこそ9日間も生きながらえたのかな。ひき逃げですからもう殺人です。あまりにも突然すぎて

さらに高吉さんの息子は、「もう悔しさしかない。どうしたって母は帰ってこないわけですから」と続けた。

一日も早い事件の解決が望まれる。

(鹿児島テレビ)

鹿児島テレビ
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