統一地方選挙の前半戦となる石川県議会議員選挙は4月9日に投票が行われ即日、開票された。馳知事の刺客とベテラン県議の激戦など注目選挙区が目白押しだった今回の選挙。結果は?

12年ぶりの選挙戦はわずか190票あまり…大激戦の輪島市選挙区

宮下さん陣営:
143票差!
支援者:
おぉー!

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投票日の午後10時過ぎ。輪島市の宮下正博さんの陣営に吉報が届いた。

支援者:
正博!正博!

正博コールとともに登場した宮下さん。支援者一人ひとりと握手し、喜びをかみしめた。

宮下正博さん:
皆さんの思いが天に通じました!西田代議士をはじめ、多くの仲間のみなさんとしっかりとやってまいります。本当にありがとうございました!

定数1の輪島市選挙区。自民党・現職の宮下さんに馳知事の元秘書、北村麻記子さんが挑む構図だった。結果はわずか190票差、大激戦となった。

宮下さん:
正直ホッとしました。10票、20票差ではないか、そんな思いもしていた。勝たせていただいたことは支持者のみなさまのお力による、それだけであります。

一方、敗れた北村麻記子さんは…。

北村麻記子さん:
あと一歩のところで勝利を掴み取ることができませんでした。この輪島市に新しい時代を作っていきたいその一心でみなさんとともに思いを1つに出来た。そのことを誇りに思っています。本当にありがとうございました。

父親の北村茂男元衆議院議員は…

父 北村茂男元衆議院議員:
まだ若い彼女です。いずれの日か皆さんと新しい時代を作るべく頑張ってくれることを期待をしておりますし、またその際、みなさんのお力を貸していただければありがたいと思っています。

馳知事の元秘書として知事から全面的なバックアップを受けていた北村さん。最後には知事への感謝を口にした。

北村さん:
私の恩師であり憧れの政治家ですので、知事に応援していただけるのは本当にただただありがたく思っていました。

2022年3月に行われた知事選では馳知事の対立候補を支援していた宮下さん。12年ぶりの選挙戦は馳知事の刺客との市を二分する戦いとなった。

記者:
知事から連絡はありましたか?
宮下さん:
ありました。ちょうど獅子舞をしている最中でちょっとにぎやかだったので、聞き取りにくい部分はありましたけど『県政のためにお互いに頑張ろうという』そんな内容だった。

選挙戦最終日を含め、馳知事が何度も北村さんの応援に輪島入りしたことについて尋ねられると…

宮下さん:
正直来るやろうと思っていたから別に…テレビ撮ってると言いにくいけれど、まあまあ…どうなのかなとは思ってたけどね。以前話した時には終わったらどっちがどうなろうとノーサイドで と、本当に「そうですね、ありがとう」と北村さんもそんなお答えでありましたし私はそう思っております。

保守分裂の知事選の影響に注目が集まっていた輪島市選挙区。馳派の刺客を僅差で破り、奥能登の束ね役、宮下さんが6選を果たした。

保守系新人3人で争った羽咋郡北部選挙区…現職後継が勝利

石田忠夫県議会議長の引退表明を受け、保守系新人候補3人で1つの議席を争った志賀町を選挙区とする羽咋郡北部選挙区。

約700票差の激戦を制したのは石田県議の義理の息子、自民党の石田章さんだ。

石田章さん:
皆さんの期待に応えることができて大変うれしく思っています。本当にありがとうございました。

後援会長として選挙戦を支えた志賀町の小泉町長も祝福した。

志賀町 小泉町長:
志賀町のために頑張っていただきたいと思います。今後は私と一緒になって志賀町を盛り上げていきましょう。

無事、後継に議席を譲ることになった石田県議は…

石田忠夫県議:
大変うれしく思います。私は県会議員も県の職員も知っていますから、章氏から相談を受けたらつないで他の県議に負けないようにしっかりとやっていきたい。

石田章さん:
託された4年間をこの当選に恥じないように、私も一生懸命志賀町のみなさんとともに頑張っていきたいという気持ちでいっぱいです。

一方、馳知事の支援を受けて戦った高岩勝人さんは悔しさをにじませた。

高岩勝人さん:
皆さんの期待に応えられなかった。私の不徳のいたすところです。それしかありません、申し訳ありませんでした。

珠洲市鳳珠郡選挙区は自民党が2議席確保も馳知事の支援は届かず…

一方、自民党の現職と新人、馳知事が支援する無所属の新人が2つの議席を争った珠洲市鳳珠郡選挙区。

能登町の現職の後継として立候補した自民党・新人の堂前利昭さんがトップで初当選を果たした。

 

定数減の羽咋市羽咋郡南部選挙区 自民現職が僅差で勝利

また今回から定数削減で現職同士の一騎打ちとなった羽咋市羽咋郡南部選挙区は…

稲村陣営 支援者:
建男!建男!建男!

自民党の現職、稲村建男さんがわずか200票あまりの差で激戦を制し、11回目の当選を果たした。

稲村建男さん:
想像以上に薄氷を踏む思いでした。しかしながら、勝ちは勝ち。勝利をいただいた以上はしっかりと頑張ってやっていく覚悟でございます。

僅差で敗れた本吉淨与さんは…

本吉淨与さん:
本当に一生懸命やっていただいたんですけども、私の不徳の致すところでここまでやっていただいてダメだったんなら、玉が悪かったとみなさん思って下さい。誠に申し訳ございませんでした。

定数減の加賀市選挙区 新人と現職が当選

同じく定数が1減った加賀市選挙区。

現職の後継で自民党推薦の新人、高辻伸行さんが1万票近くを集めトップ当選を果たした。

高辻伸行さん:
初めての県議選ですので、私にとっては大変長い・辛い・厳しい選挙戦でありましたが、本当に多くの皆さんに支えられてここまで突っ走ってこられました。やる気・根気・元気・本気の4気でしっかりと頑張ってまいりますので、どうか皆さんのご指導ご支援をよろしくお願いしたいと思います。

唯一の与野党対決!鹿島郡選挙区は立憲民主の現職が死守

前回26票差の激戦だった中能登町を選挙区とする鹿島郡選挙区。立憲民主党の現職・岡野定隆志さんが議席を死守した。

岡野定隆志さん:
これからもっと皆さんに教えていただいて、皆さまにふさわしい活動をしなくてはいけない、そう改めて銘じているところです。今晩はひとまず喜びたいと思います。

前回に引き続き、与野党一騎打ちの激戦を制したことについて、弟の近藤和也衆議院議員は…

近藤和也衆院議員:
役職ある方のご支援はいただけなかったんですけれど、そうでなくても選挙は戦えるんだと。今回のV2というのは大きな大きな歴史の転換点だという風に思っています。衆院選では選挙区で勝たなければいけないんだということは、私たち執念として持っていますので何とか追い風にしていきたいなと思います。

一方、438票差で涙を飲んだ自民党の新人・土本稔さんは…

土本稔さん:
あとわずかのところで届かず、ひとえに私の不徳の致すところであります。今後の私の人生の経験として活かしていきたいな、そのように思っております。多くの皆様に本当に本当に感謝いたします。ありがとうございました。

一夜明け…

岡野定さん:
ありがとうございました。

当選した岡野定さんは朝から近藤さんとともに街頭で手を降り続けた。

岡野定さん:
1万7000人の方との絆だと、つながりだと。それが武器ですとお話したので、それがこういう票差につながったのかなと。違った視点からの提案もしていくというところで存在感を示していければいいなと思っています。

自民独占狙った野々市市選挙区は自民現職が涙

現職2人と新人1人が2議席を争った野々市市選挙区。

自民が2議席独占を狙ったが、新人の馬場弘勝さんがトップ当選を果たし、現職の徳野さんが涙を飲んだ。

馬場弘勝さん:
野々市の選出議員としての役割をしっかり果たしていきたいと思いますので、皆さんこれからもご支援頂きますと共に、まずこの場ではこれまで本当にありがとうございました。ありがとうございます。

地域間競争 能美市能美郡選挙区は旧寺井の新人と旧辰口の現職

能美市と川北町を選挙区とする能美市能美郡選挙区。能美市と合併する前の旧3町からそれぞれ候補者が立ち3人が2議席を争った。

開票の結果、唯一候補者がいない川北町の大半を抑えた現職の善田さんがトップ当選。新人で旧寺井町出身の亀田豊さんが初当選を果たした。

亀田豊さん:
多くの皆様のお力添えがありまして、なんとか当選という結果を勝ち取ることができました。しっかり頑張ります。これからもどうぞよろしくお願いします。

金沢市選挙区は美絵子旋風…元衆院議員が圧倒的得票

金沢市選挙区でトップ当選を果たしたのは、無所属で新人の田中美絵子さん。2位に3000票以上もの差をつけ、前回の金沢市議選と同様、再び美絵子旋風を巻き起こした。

田中美絵子さん:
わたしひとりの力では到底戦うことはできませんでした。みなさんのおかげで勝利を勝ち取ることができました。本当に心から感謝を申し上げます。この御恩はしっかりと県政で仕事で御恩返しをさせて頂きます。

また公明党で新人の小松実さんも初当選を果たした。

小松市選挙区で初の平成生まれ県議誕生

石川県議会では初めてとなる平成生まれの県議が誕生した。今回の最年少、34歳で当選したのは竹田又男 元小松市長の孫、竹田良平さんだ。

竹田良平さん:
強い後ろ盾とか僕はなかったんですけれども、僕一人の力では出来なかったので本当に感謝と喜べる感謝の方が大きいのともっと気を引き締めていかないとという気持ちもさらに大きくなりました。

新人8人が初当選を果たした県議会議員選挙。任期は4月30日から始まる。

刺客を送るも馳チルドレンの誕生ならず

今回の選挙、ポイントは「馳知事の刺客」。2022年に行われた知事選の影響がどのように出るかが注目された。

馳知事は、知事選で対立候補を応援した現職の選挙区に刺客を立てたり、馳派の新人候補の支援に回ったりした。こうした選挙区で馳派の県議が誕生すれば2期目に向け盤石な体制ができるからだ。

結果はどうだったのか。知事が応援に力を入れていた能登地区の輪島市選挙区、羽咋郡北部選挙区、珠洲市鳳珠郡選挙区ではいずれも自民党の刻人候補に敗れた。これについて知事は次のように話している。

馳知事:
私が出ろと言って出た人は1人もいません。去年の知事選でご支援をいただいた県議・新人の方には選挙でいただいたご恩はまた選挙、という立場でですね、恩返しをしたいという思いで
ありました。

馳知事の元秘書、北村麻記子さんが現職に挑んだ輪島市選挙区については…

馳知事:
最初からですね宮下先生に迷惑かけたらいかんよ。次の県議選にしたらどうなんやと。説教というか言ってきたんですが本人の意思が固かった。この結果も本人は厳粛に受け止めていると思います。

2022年の知事選後、馳知事は次のように述べていた。

馳知事:
今回の知事選挙は三つ巴の保守分裂という大変厳しい状況であり、熾烈な戦いでもあった。これを修復するためのノーサイドの精神で取り組んでまいりたい。

今回の県議選、本当にノーサイドの精神だったのか。馳知事は会見で、「ようやく知事選が終わった気がする」と述べ自身の行動に知事選の影響があったことを認めている。

知事選から続くしこりに知事や当選した県議たちがどう向き合っていくのか。今後の知事と県議会の関係にも注目していきたい。

(石川テレビ)

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