子供たちが楽しみにしている給食の時間、福井市内にある日之出小学校を訪ねると、配膳する給食当番は白衣ではなくチェック柄やキャラクターが描かれた、色とりどりのエプロンを身に着けていた。ある社会問題を背景に、いま、配膳用の白衣の供用を取りやめる動きが広がっている。
各家庭で洗濯し共有…“香害”の恐れ
福井市では、配膳用の白衣を市が各学校に貸し出している。日の出小学校でも、以前は白衣を共有で使い、毎週当番が交代する際に家に持ち帰って洗濯し、次の当番が使うという流れだった。
しかし…
「世の中の動きとして、強いにおいで気分が悪くなったり、学校に行けなくなる子供がいると聞いたため、本校ではマイエプロンを導入しました」
家庭ごとに異なる洗剤や柔軟剤の“におい”が、一部の子供たちにとって心身の不調を引き起こす「香害(こうがい)」の問題が背景にあったのだ。エプロンに変更したことについて「困ったという声は聞いておりません」と学校側は話す。
コロナ禍以降、衣服の“共用”に不安の声も
この“香害”への配慮から、福井市は2024年7月、学校ごとの判断で個人エプロンの使用を認めると各学校に通知した。
市の担当者は「香害だけではなく、コロナ禍以降、着るものの共用は時代に合っていないのではないか」と理由を説明する。
この動きは他の学校にも広がっている。県内で最多の児童数を誇る森田小学校でも、保護者に対し「各家庭の洗剤、柔軟剤等のにおいなどを起因とする健康被害への懸念や、白衣を共用することへの不安の声が寄せられています」と通知。
新年度から共有のエプロンをやめ、個人エプロンに変更することを決めた。
すでに福井市内4校が廃止、4校が廃止を決定
福井テレビでは、福井市内の全小学校51校を対象に聞き取り調査を行った結果、この動きが着実に広がっていることが分かった。
すでに白衣を廃止した学校は日の出小学校を含む4校、来年度から廃止を決めたのは森田小学校を含む4校にのぼる。このほか、共有か個人かを選べるようにした学校も1校あった。
この問題について県民に聞くと「気になる子は気になるんだろうなと思う。自分の家で洗ったものを自分で着るのが一番安心なのかな」と理解を示す声がある一方、「いろんな色や柄あるから、学校で統一した方がいいのでは」という意見も聞かれた。
また、実際に香りに敏感だという人は「香りを嗅ぐと咳が出てしまうので、自宅では柔軟剤を使っていない余計に(人の)においがきつく感じる」と切実だ。
戦後80年、給食の風景に変化
給食は戦後本格的に始まり、それに伴い給食当番の白衣も定着していったとみられる。
しかし、“香害”や衛生意識の変化で、長年続いてきた光景にも変化が迫られている。

福井市以外でも、例えばあわら市が個人のエプロンの使用を認めるなど、白衣を廃止する動きは今後さらに広がりそうだ。
