千葉・一宮町の海岸に現れた約30頭のイルカ。その群れは海の沖合ではなく、砂浜のごく近くを泳いでいた。

赤松伴明カメラマン:
水深はひざぐらいでしょうか。1mもないと思われます。

4月3日の朝、一宮町でサーフィンをしていた女性から、「波打ち際にイルカが打ち上げられている」と110番通報が入った。
難航する救助 荒れた海で押し戻されるイルカ
約30頭のイルカが砂浜に打ち上げられていたのは、東京オリンピックのサーフィン会場として知られる「釣ヶ崎海岸」。

千葉県の沿岸部には、波浪注意報が出されていて荒れ模様。

人の背丈を超える波が押し寄せ、沖へと戻す作業は難航した。

必死に尾びれを動かし、波に立ち向かおうとしても押し戻されてしまうイルカ。海岸では、そうした場面が何度も繰り返されていた。
冷たい海で“まひ”の可能性 専門家の見解
なぜ30頭ものイルカが砂浜に打ち上げられたのか?

専門家は、海水が温かい沖合に生息する「カズハゴンドウ」の群れではないかとした上で、こう指摘した。

銚子海洋研究所 宮内幸雄所長:
(カズハゴンドウは)北上しながらエサを求めてくるんですね、この時期ちょうど。(海水温が)25~26℃から、極端にいえば17~18℃くらいまでストーンと下がっちゃうと、身体のもちょっと“まひ”起こすわけではないが、そういうふうにして弱ってしまった。

イルカの群れはエサの魚を深追いするうちに、千葉県沿岸の水温の低いエリアに入ってしまい、体が動かず打ち上げられたのではないか、という見方だ。
約30頭のイルカ SNSでも救助求む
弱ったイルカの救助を見守る人たちからは、心配の声が上がっていた。
救助を見守っていた人:
見ていてかわいそうで…なんとかしてあげたいが何もできない。
救助を見守っていた人:
一つでも多くの命を助けてほしいなと思います。

近くでサーフショップを経営する男性は、3日の朝8時半ごろ、海岸の異変に気付いた。
サーフショップを経営 鵜澤清永さん:
8時半ごろは最初、そんなに(イルカに)気づいている人もいなくて、SNSで発信して、みんな集まってくれて、もうどんどん(イルカを海に)戻して。


その時の様子を捉えた映像(午前8時40分ごろ)では、波打ち際に横たわる2頭のイルカ。その先にも1頭、まだ尾びれが動いている。

砂浜に打ち上げられたイルカに、バケツで海水をかけるなどして、集まった人々が救助にあたっていた。この時、約30頭のイルカが打ち上げられていたとみられる。

一宮町によると、打ち上げられた約30頭のイルカのうち、5頭が死んだとみられている。
イルカが再び打ち上げられる可能性もあるため、町は海岸の巡回や確認作業を継続するとしている。
(「イット!」4月3日放送分より)