県議会議員選挙。森元首相のお膝元、能美市を含む定数2の能美市能美郡選挙区。能美市は辰口・寺井・根上の3つの町が18年前に合併してできた市で、現職の善田県議は辰口が地盤。橋本県議は根上が地盤。そして寺井は井出市長の地盤と、政治的に絶妙なバランスが保たれていた。しかし、三つどもえとなった県知事選のあおりを受けてか、2022年11月、根上の橋本県議が引退を表明。すると寺井から亀田豊氏が立候補を表明。その後、根上から中野廣志氏が出馬を表明し、12年ぶりの激しい選挙戦となっている。

保守分裂の争いの影にまたもや「県知事選」

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旧3町の絶妙なバランスが崩れたのは2022年3月の県知事選挙がきっかけだった。

根上出身の森元首相が推したのは馳浩前衆院議員。

しかし、現職で根上が地盤の橋本県議は辰口を地盤とする同じく現職の善田県議ともに山田修路前参院議員の支援に回った。

その結果…

橋本崇史県議:
僕は能美市で言うと根上地区が地盤の県議会議員だが、僕だと根上の地域がまとまって選挙をできる状況ではない。そういう状況を感じたので、それなら引退したほうがいいかと思って…。

地元の森元首相に反旗を翻した現職の橋本県議は、引退を余儀なくされたのだ。

現・能美市長の後輩はドラムや歌も巧みにこなす

現職の引退を受け、2022年12月、立候補を表明したのが…

亀田豊氏:
20代、30代といった比較的若い世代の皆様、現在子育てに奮闘中の子育て世代の皆様に、少しでも政治というものに関心をもっていただきたい。そういった思いで出馬を決意させていただきました。

一級建築士の亀田豊氏(47)。地盤はこれまで県議がいなかった寺井地区だ。応援に駆けつけた井出市長はー。

能美市 井出敏朗市長:
私の小学校中学校高校の後輩でもあります。どうか亀田豊を男にしてやってください。私からもお願い申し上げます、一緒に頑張りましょう!

知名度をあげたい亀田氏。

公民館で開かれたライブで、趣味のドラムを披露した。

さらに、よさこいや歌まで…

亀田氏:
よさこい踊るわ、しゃべらんなんわ、ドラムせんなんわ、歌は歌わんなんわ、こんなことになるとは思わなくて。途中で何をやっているか分からなくなったんですけど、とりあえず自分の素の姿を見ていただいて、少しでも”亀田豊”という人間を分かっていただきたいなという一心でステージに立っていました。こういったゆるい空気感で県民の声を吸い上げていく、そういった県議会議員になっていきたいと思います。

独自の路線で若年層への支持拡大を進めている。

森元首相の地元からは能美市議に白羽の矢

橋本県議が引退した根上地区としては、このまま不戦敗というわけにはいかなかった。

自民党根上支部 高塚善衛支部長:
森元総理の築かれたこの支援者の組織をそっくりそのまま後世に伝えていきたいという思いから
、これは絶対根上支部として候補者を立てないといけないという使命感から頑張りました。

白羽の矢が立ったのは能美市議の中野廣志氏(62)だ。

中野廣志能美市議:
決意を決めたのは、地元の声、地元の思いをきちんと地元の方と一緒に県・国に届ける必要があるのではないかなと思い、今回出馬する決意をした次第です。

物流会社で定年まで勤め上げた経験を強みとして、市議としての実績と共に即戦力をアピールする。

中野氏:
金沢港の利活用については、仮に県議会議員になれば私が一番詳しいんじゃないかという自負はあります。金沢港を利用することによって物流コストが下がって地域にとってもメリットがあるんじゃないかなと。

応援に駆けつけたのはこの人だ。

馳知事:
根上が果たしてきた政治的な役割や根上の町民の皆さんの熱い思いをしっかりと井出市長とも協力して、県政で発揮してほしいと。これが”森元総理”からのお言葉です。私もきょうここにまいりました以上は中野さんを全面支援いたします。

中野氏:
はっきり言うと相当プレッシャーですよ。改めて森先生からああいう言葉をいただくと、ものすごいプレッシャーを感じますけども、逆にそれは使命としてやるしかないなと。

中野氏:
おはようございます。

出馬表明から約2カ月。出遅れた分を挽回しようと連日、つじ立ちなど行ない知名度アップを狙っている。

県知事選の影響はもう一人の現職県議にも…

この選挙区で自民党の公認となっているのは、辰口を地盤とする、現職・善田善彦県議。

2023年1月、約300人が集まった県政報告会で3期12年の実績をアピールした。

善田善彦県議:
2020年になりますけれども、石川県で113人目の県議会副議長を務めました。なかなか難しい
時期ではありましたが、みなさんのおかげで仕事を無事に終えることができました。

善田県議が初当選したのは2011年。この時は1万票あまりを獲得しトップ当選を果たした。

善田県議(当選当時):
この地域づくりにはやはり国と県との連携が必要ですから、森元首相と谷本知事(当時)と連携してしっかりと能美市川北町のために働いてまいります。

しかし、今の懸念は…

善田県議:
県知事選挙で私が支援した候補者が当選できなかったことがあったので、そういった意味で影響がないとは言えませんけれども、馳知事とも30年来の付き合いがありまして長いんですね。ですから、なんとか2カ月後、当選さえすればまた関係も改善できると思っています。

しかし…善田県議の後援会事務所開きに馳知事と井出市長の姿はなかった。

こうした中、父の善田晋作元県議が支援者に呼び掛ける。

父 善田晋作元県議:
私から見ればまだまだ未熟だが、どうかみなさんのお力で再度県政の場に送っていただけるとなれば、必ず私は善田県議に仕込んでやっていこうと思いますのでどうかお願いします。多分私の人生最後のお願いだと思いますので…よろしくお願いいたします。

善田県議:
議員というのは10年経たないと1人前じゃないと言われています。これからが働き盛りなので
”ぜん進ある能美”能美市・川北町のさらなる安心安全のために頑張っていきたいと思います。

現職として負けられない戦い。実績を強調し4期目を狙う。

能美市能美郡選挙区としては12年ぶりの選挙戦。旧3町の思惑が透ける激しい戦いとなりそうだ。

(石川テレビ)

石川テレビ
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