5月のG7広島サミットで、各国の首脳と被爆者の面会を実現させるために、署名活動を始めた若者がいる。そこには、核保有国の首脳らに被爆の恐ろしさを直接伝えたいという被爆者とこの若者の共通の思いがあった。

サミットを政治的パフォーマンスに終わらせず、被爆者の声を議論に

岡島由奈さん:
被爆者の方がどんどんお亡くなりになっている中で、これが最後の機会だと思う

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高校を卒業したばかりの18歳の岡島由奈さんが3月から始めたのが、オンラインの署名活動。

オンライン署名募集のサイト
オンライン署名募集のサイト

岡島さんが求めるのはG7広島サミットに出席する首脳たちが、被爆者から直接証言を聞いて議論に生かすこと。首脳たちが広島に集まるだけでは意味がないと訴える。

岡島さん:
このサミットが政治的なパフォーマンスでおわることがないよう求めていきたい

オンライン会見
オンライン会見

岡島さんがこの活動を始めたのは、ある出会いがきっかけだった。
それは、被爆者から直接証言を聞くことで、初めて伝わることがあると感じたこと。

17歳の時、広島駅近くで被爆した高見藤枝さん、95歳。

岡島さんが中学生の時に参加したボランティア活動で知り合い、文通などで交流を続けてきた。

高見さんの手紙にはいつも原爆への怒りや平和の願いがしたためられている。

高見さんから岡島さんへの手紙
高見さんから岡島さんへの手紙

岡島さん:
被爆証言を聞いたことがなかったので、ここまでひどいことがあったのかという衝撃。

岡島さん:
高見さんに突き動かされたなと思う。高見さんがいらっしゃらなかったら、自分もここまで活動していなかった。出会えて感謝

3月10日、岡島さんは高見さんのもとを訪れた。

3月10日
3月10日

コロナ禍でなかなか会えなかった2人。およそ3年ぶりの再会だ。

3年ぶりの再会
3年ぶりの再会

被爆体験を語り継がないと「原爆が誰にもわからんようになってしまう」

高見藤枝さん(95):
会いたかった…

高見藤枝さん(95)
高見藤枝さん(95)

久しぶりの温かい交流。近況を語り合い、岡島さんは高見さんへの感謝の思いや署名活動を始めたことを伝えた。

高見さん:
原爆はこわい。死ぬか生きるかの境だったのにね…。がんばってちょうだい。あとはあなたたちがやってくれなきゃ、原爆が誰にもわからんようになってしまう

高見藤枝さん(95)
高見藤枝さん(95)

高見さんの言葉に、岡島さんは平和への思いを一層、強くした。

岡島さん:
核保有国や核による安全保障に頼っている国の首脳たちが被爆地に集まるのは、本当に最後の機会だと思うので、必ず被爆者と面会して核廃絶を決意してほしいし、そのための具体的な議論を必ずここでしてほしい

被爆者の生の声を核保有国首脳に届ける岡島さんの取り組みは5月に向けて一層熱を帯びてきている。オンライン署名は「change.org」のサイトから。3月15日現在で18,000人以上の署名が集まっている。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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