人口減少や消費の落ち込み、原材料の高騰などが続く中、秋田県内の企業は、海外販路の拡大で活路を見いだそうとしている。
世界の市場に挑戦する県内企業「Orbray(オーブレイ)」を紹介。
幅広い分野で活躍する独自加工技術
携帯電話や医療機器などの精密部品を製造している「Orbray」。その品質は世界から高い評価を受けている。生産拠点は秋田・湯沢市と横手市。世界に羽ばたく製品を支えるのは、地元出身の「匠(たくみ)」たちだ。

佐藤愛純アナウンサー:
湯沢市中心部を走る国道沿いにある大きな工場。ここで世界を超え、宇宙での活用が期待されるものが作られています

2023年、社名を変えて新たなスタートを切った「Orbray」。前身のアダマンド並木精密宝石は、東京で電気メーターの部品となる宝石を作る町工場として、1939年に創業した。

硬い宝石を「切る・削る・磨く」独自の加工技術は、現在、光通信や半導体、医療など幅広い分野で活用されている。

Orbrayで今、注目されているのが「究極の半導体」ともいわれる「ダイヤモンド基板」だ。これまでダイヤモンド基板は、4mm四方の大きさのものしか作れなかったが、Orbrayは直径55mmまで大きくすることに成功。
半導体の材料はシリコンが主流だが、ダイヤモンドの高い性能から、Orbrayの基板は宇宙空間での活用が模索されている。近い将来「メイド・イン・秋田」が宇宙で輝くかもしれない。
すべてがダイヤモンドで作られたレコード針

Orbrayは、音楽好きな初代社長の影響で、レコード針も作っている。加工から仕上げまですべて手作業だ。

秋田テレビでレコードを持参して聞かせてもらった。通常のダイヤモンド針と、針・接続部分すべてがダイヤモンドの「ダイヤモンド一体型感知レバー」で聞き比べてみると、コンサート会場に来たような臨場感があった。ノイズが少なく、深みが増し、音が大きく聞こえるという。
「降り続く雪に耐え忍ぶ文化」が役立っている
世界で再び人気が高まっているレコード。国の内外から注文が相次ぎ、Orbrayでは生産数・売り上げともに3年間で約3倍に増えている。この技術を支える「匠」は、約9割が県内出身だ。

湯沢市出身の女性従業員:
湯沢市出身です。すごく責任のある仕事だと思っています
湯沢市出身の男性従業員:
世界に発信するものを作れることを誇りに思って作業しています

横手市出身の男性従業員:
身近に世界に誇れる技術を扱っている場所・ものがあることにびっくりしました
佐藤愛純アナウンサー:
秋田県民のものづくりに対する姿勢をどのように感じていますか

Orbray・並木里也子社長:
粘り強く、コツコツと、まじめに取り組まれる方が多いと思います。降り続ける雪に耐え忍ぶ文化があると思うんですね。そういったことが精密機器の仕事に役立っていると思っていまして、助けられていると感じています
県民による「メイド・イン・秋田」を世界へ。そして宇宙へ!Orbrayは、これからも秋田とともに歩み続ける。

Orbray・並木里也子社長:
一番大きな生産拠点のある秋田に注力していきたいと思っています。秋田でものづくりをして、世界に向けて物を作っていることを、地元の方に知っていただきたいと思っています
(秋田テレビ)